佐々木丸美コレクション16 崖の館 (佐々木丸美コレクション 16)

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  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784835443690

感想・レビュー・書評

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  • 館シリーズ第1弾。

    なんだかサラっと読めてしまった。
    可もなく不可もなくというか。

    主人公を含め、出てくるキャラクターの味が薄いのがその原因かも。濃ゆいキャラ、毒のあるキャラがいないので、淡々としている感じ。

    館シリーズ第2弾もとりあえず読もう。

  • 百人浜(ひゃくにんはま)の断崖絶壁の場にそびえ立つ、白い館。そこには1人の老婦人が暮らしている。かつては姪の千波(ちなみ)も共に暮らしていたが、2年前に不運にも崖から転落し命を落としてしまったのだ。年に一度、千波のいとこたちが叔母を訪ね遊びにやってくる。千波を亡くした後もこの習慣は続けていた。しかしある日絵画のひとつが消える不可解な事件から、千波の死は事故ではなく殺人ではないかと皆が騒ぎ出す。事件を解く鍵は千波がつけていた日記帳にあるようだが──。館三部作の最初の話。
    文庫は大幅な加筆あるという話を聞き、創元推理文庫版と比較読み。語尾(「〜なのだ」「と思う」などを文庫では削除)だけでなく、いとこらの紹介文や日記帳の一部、詩人の引用文などをバッサバッサと切っていて、あまりの違いに驚きを隠せない。最初付箋を付けていましたが、あまりにも多すぎて文庫を無視して単行本だけ読みました。語り部の涼子以外、絵画や詩に対してこの表現や解釈に共感する云々と熱弁していて、その頭の良さに若干付いていけなかった。西洋絵画の展覧会はたまに行きますが、この会話の中にわたしは入っていけません。そして詩人の思想解釈といい、只々感心するばかり。1949年生まれで底本の講談社版を1977年刊行ということは、27〜28歳の時に執筆終えてますよね。言葉の表現力と知識の豊富さに圧倒され、開いた口がふさがらない。天才だと思う。ただ、好みでいうと『雪の断章』が断然好きです(笑)本書は涼子と哲文の恋愛ではなく千波を含めた哲学がテーマだと思うから。絵画や哲学に明るい方なら本書をより楽しめるのではないでしょうか。
    (単行本と文庫のちがい、本編除く)
    プロローグ、あとがきを収録。

  • 佐々木丸美さん初挑戦。読むまでは、叙情的ミステリテイストサスペンス、だと何かを勘違いしていました。きちんとトリックあり犯人探しありのミステリでしたね。妙な先入観は間違いのもと……。
    とにかく文章が綺麗。情景の描写が繊細で美しい。「崖の館」が目に浮かびます。そしてなんだかひどく淋しげな佇まい、という印象も。物語もなかなかに哀しいものでしたし。後味はすごく尾を引くけれど、悪くはないかなあ。

  • 古本で購入した当時、すでにぼろぼろだった文庫を覚えている。
    汚れを気にせず読み返していたのはもう十年以上昔になるのか。

    それはいつも真夜中で、でも壁の向こうには必ず誰かがいて、なのに
    とても孤独でしかたなかった。とても寂しい、冷たい、寒い、凍えるような。
    この世の果てに建っているかのごとき洋館が舞台なせいなのか。

    誰が、どうして、なんのために…

    涼子ちゃんの小さな疑問は不安に替わり、やがて恐れへと変貌する。
    伝染した緊張に後押しされ、ページをめくる手が止まらない。
    階段を転げ落ちるゴムまりのように、
    落ちるところまで落ちてしまうまで。

    これまでの私は、自分で小説を選ぶという事をしたことがなかった。
    本を読むという行為がまず、20年近くの人生で皆無に近いものだったから。
    課題図書すら覚えていない。
    感想文はいつもでっちあげ。枚数があれば点数が稼げる楽な宿題。

    そんな読書音痴が、どうして説明できるだろう。むしろ教えてほしかった。
    なんでこの本は面白いの?って。

    今なら、少しだけ助言できる。すべてではないけれど。
    昔から全然成長していない。
    お前が好きなのは謎と解決、これがいつも登場してるじゃないか、と。


    本作は積ん読の作品ではないけれど、
    やっぱり1冊目はこれかな、と思いました。

    すでに絶版になり久しく、著者が再販を望まれないこともあり
    図書館か古本屋で探すくらいしか読む手立てがありませんでした。

    そんな丸美先生の著作の全てを!このたび復刊していただける運びになったこと
    本当に有難く、ひたすら感謝です。復刊ドットコムありがとう。。

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