ロンリのちから: 「読み解く・伝える・議論する」論理と思考のレッスン (単行本)
- 三笠書房 (2015年11月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (165ページ)
- / ISBN・EAN: 9784837926160
作品紹介・あらすじ
物語の舞台は高校の演劇部。意見が対立し、撮影が中断。そこに現れるのは、顧問の溝口先生。「ロンリのちから」で鮮やかに問題を解決していきます――。
ドラマ仕立てで「論理の仕組み」が楽しくわかる。NHK・Eテレ『高校講座』人気番組の待望の書籍化!
「あの『ロンリのちから』はスゴイ!」
「自分も学生時代に出合っておきたかった!」
……ビジネスマンにも話題となった『ロンリのちから』が内容をさらにパワーアップ、1冊に!
監修は、東大大学院教授の野矢茂樹先生。ロングセラー『論理トレーニング101題』(産業図書)をはじめ、「論理」「哲学」の第一人者。
書籍化にあたり、番組では伝えきれなかった「論理の仕組み」について、野矢先生の書き下ろし解説を収録。番組のファンばかりでなく、始めて知った人もためになること請け合いです。
本書で、仕事、勉強の底力、「論理力」をどんどん鍛えてください!
感想・レビュー・書評
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なるほど、しかしとただしの使い方にはそんな意味があったのか。分かってはいても言葉にはできないことが多いから、そして仕事上でもそうだし、この仕事を辞めたとしても、人生終わるまで、言葉の使い方と言葉の意味の把握というのはほんと大事だよな。
最後の合意形成も、人と人の対立にしてはいけないという話は大いに参考になったように思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
先に映像を全部見ていたのでわかりやすかった。
自分の考え方を感情ベースではなくもっと論理的にしたいと思って読んだが、今までわからないまま使っていた言葉も多かったと反省した。
特に「否定」については全く違った。
深く知ると数学の世界のよう。
この本を入門書に、もっと深く論理の世界に踏み込んでみたい。 -
■推論
いかなる推論も二段論法と三段論法で捉えられる
二段論法:一つの前提から一つの結論を導く
三段論法:二つの前提から一つの結論を導く
■正しい推論の二つの条件
①前提が正しいこと
→正しい事実認識が必要
②飛躍がないこと
→正しい論理が必要
■水掛け論をさけるために
水掛け論:理由の説明なく独断的に主張しあうだけの状態のこと
これを避ける2つの方法
①理由を挙げて意見を言う
②相手の挙げた理由を検討する
検討の際の観点は
a.前提が正しいか=正しい事実認識か
b.飛躍はないか=正しい論理か
■合意形成のために
合意形成:分かれた意見を一つにまとめること
その際の注意点
①意見の対立を人の対立にしない
→相手に勝とうとせず、自他の意見を客観的・俯瞰的に見ること
②他の意見から学ぶ
→それぞれの意見の利点欠点を出し、相互に補完する別の意見を形成する
■仮説形成
ある事柄の「なぜ?」を説明する仮説を立てること
①「なぜ?」を説明する仮説を考える
→独断的になるのを避け、複数の仮説を立てる
②仮説の正しさを検証する
→仮説が正しい場合どうなるかを予想し、その予想が的中するかを検証する
③検証結果から仮説を修正・再立案し、再び検証する
→①②を繰り返す
■正しい推論のためのサブ観点
・暗黙の了解
互いがわかっていると思って口に出さない前提
時に話を飛躍させてしまう
・全体と部分の推論
全体→部分=正しい
部分→全体=間違える
・逆は必ずしも真ならず
前提と結論をひっくり返すときは要注意
・接続表現
論理とは、言葉と言葉を適切に接続すること
根拠:なぜかというと
解説:つまり、どういうことかと言えば
付加:そして、しかも(累加)
転換:しかし、ただし
・否定の論理
主張Aの否定=主張Aの打ち消し(A以外の全ての可能性)
・類比論法
似ているものを持ち出して自分の主張に説得力を持たせる論法
→「似ている」は「同じ」ではない、相違点に注意
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逆は必ずしも真ならず。←これ普段から気をつけんと。意外と「〇〇だとすると、逆に●●だよね〜」とか、やりがちな気がする。
論理が確かか検証するには、前提と推論をチェック。 -
大学ですれ違った先生が持っていたので、興味を持った。NHKの番組『ロンリのちから』が書籍になったもの。
野矢茂樹監修なので期待したが、基礎的な内容が多く物足りなかった。
実践的に役立つと思ったのは、最後の「合意形成」の章。相手に勝つことばかり考えていると、相手の考えが聞こえなくなる。感情ではなく、客観的に考えることが大切だ。 -
論理学を知るのに同著者(野矢氏)の書いた「入門!論理学」が良いと紹介されていたのだが、論理学について全くのド素人であったため、読みやすそうなこちらの本も「入門!論理学」と併せて読んでみた。
こちらの「ロンリのちから」の方は、「入門!~」より、より「日常で議論する時に必要なこと、注意点」に焦点を当てられていたように思う。
本書は、演劇部4人と演劇部顧問の先生の計5人が、演劇の練習をする中で、「ロンリのちから」を使って、一つずつ問題を解決していくストーリーとなっている。
一見、基本的なことのように見えて、意外と日常で犯しやすい誤りが分かりやすく解説されていた。
個人的に、一番分かっていなかったなと思ったのは、恥ずかしながら04の「接続表現・ことばをつなぐ」の項目。「しかし」と「ただし」は、どちらも前後の文章で逆のことを言う接続詞なのだが、次の文章の違いが分かるだろうか?
「このレストランは美味しい。“しかし”高い」
「このレストランは美味しい。”ただし”高い」
私は、「ただし」は「しかし」の弱いバージョン(しかし>ただし)?くらいしかぱっと違いが思いつかなかったのだが…。
正解は、「しかし」は後の文章の強調(つまり例文だと「値段が高い」ことの強調)で、「ただし」は前の文章の強調(例文では「美味しい」ことの強調(美味しい方が重要))ということらしい。
言われてみれば確かにという気がする。
他にも、「三段論法」「誤った前提・危険な飛躍」「逆さまのロンリ(A=B逆に言うとB=A?)」と「水掛け論・理由を言う」「暗黙のロンリ(前提条件は?)」「仮説形成」「否定のロンリ」「類比論法」「合意形成」の合計10個のロンリについて、それぞれストーリーの中で説明されていて分かりやすかった。
論理学って何?という人だけでなく、議論しても意見が平行線になってしまう、感情的な言い合いになってしまう、相手の意見が何かおかしいと思うが反論できない、という人は、読むとヒントになる「ロンリ」が見つかるのではないだろうか。 -
論理的思考力を鍛えたいと思って読んだ本。
7つくらいの項目に分かれているが、その中で、
自分か仮説形成が弱いと感じた。
なぜ?という答えのないものに対して、
仮説がいつも1つしかない状況を創ってしまう。
今後は、なぜ?に対する答えを3つほど異なる視点から出せるようになりたい。(視点の違い:人、時間、場所)などなど。 -
高校の演劇部における問題場面の解決方法を考える、という流れで論理的思考について学習していく。
前半は三段論法や逆の主張などの数学の論理に近い話題が続き、後半は話の平行線状態を避ける、合意形成の方法などのコミュニケーションの話題が中心になってくる。数学で論理の学習をしたものの、あまりピンときていないくらいの高校1年生くらいの子におすすめしたい。
ただし、わかりやすく、読みやすい(1時間程度で読了)反面で、場面例として上がるものはやや極端な(実際は、ここまで論理的飛躍が明らかな会話ってないよね……と感じるような)ものがある印象だった。現実の議論で目にする論理飛躍は、この本に出てくる例が複合的に絡まっているものが殆どだろうから、本書に出てくる例はあくまで論理飛躍を確認する「視点」程度で考えておくとよいと思う。 -
NHKの高校講座ベースで作られており、ストーリー調で話が進むのでとても読みやすい。
三段論法や水掛け論など、聞いたことのある論法が具体例を持って解説されている。
飛躍の論理は気をつけたい。
強いていうなら印象的だったのは、否定の論理。
「Aが好き」の反対は「Aが嫌い」だが、否定となると「Aが好きではない」となる。
この反対と否定の違いを意識しておきたい。 -
この論理おかしいって、わかるけど、どうしたらいいか考えるのは難しい。しかし、たのしい。