新版 歴史の終わり〔上〕: 歴史の「終点」に立つ最後の人間 (単行本)

  • 三笠書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784837958000

作品紹介・あらすじ

◆なぜ「一つの歴史」が終わったのか?
 人類の「普遍的な歴史」について考察した、不朽の名著!


・二十世紀がもたらした最大の「歴史的教訓」

・人間にとって「普遍的な歴史」とは何か

・社会進歩のメカニズムと資本主義体制

・民主主義の弱点・権威主義の美点

・近代史に登場した「最初の人間」


プラトン、カント、ヘーゲル、ニーチェなどの思想家をふまえて、
今、われわれが置かれている立場、そこから生ずる問題点を
鋭く論究した、画期的な歴史書!

【冷戦終結後の時代を回顧し、将来を展望するうえでも
本書の魅力は尽きない。 佐々木毅(東京大学名誉教授)】

感想・レビュー・書評

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  • 人類の歴史を経済のみならず、「承認を求める闘争」から捉えるアプローチは興味深かった。下巻も楽しみ。

  • 歴史の終わり。あらゆる政体の変遷の歴史の後、最も優れた政体が残るだろう。世界はリベラルな民主主義に行き着いて安定し、そこで変遷の歴史は終わる。歴史の終わりとはこのようなことである。
    本書はソ連崩壊と東側世界の民主化の時代に書かれた。故に、世界が最良の形態であるリベラルな民主主義に向かい、安定するという強い信頼が感じられる。
    歴史書であるが歴史的事件について事象の説明はほとんどなく、哲学を踏まえた人間の傾向の流れの読み解きが記されている。カント、ヘーゲル、ニーチェの思想が「歴史の終わり」の言葉の由来である。
    リベラルな民主主義への信頼感は時代ならではだが、問題点はきっちりと指摘されている。書かれていることは古くならず、基礎知識として重要だと思う。今と今後を考えるうえで役に立つ。
    哲学は大の苦手な私だが、わかりやすく示唆を与えられたことに感謝して読了。

  • 難しかった。久しぶりに読み応えを感じた本です。今まで読んできた本で、よく引用されていたので、チャレンジしてみました。いずれ再読します

  • (下巻に記載)

  • 歴史の終わり
     はじめに
      歴史の終点に立つ「最後の人間」の未来
      歴史が大きく方向転換した20世紀最後の四半世紀
      科学技術の限界と幻想の「約束の血」
      世界を動かしてきた人間の「気概」
      アングロ-サクソン的「思考行動」の限界
      自由主義経済の成功を裏から支える「不合理な気概」
      リベラルな民主主義が産み落とした「最後の人間」の正体

     第1部 なぜいま一つの歴史が終わりを告げるのか 世界史における歴史的「大転換」とその内部構造
      1 20世紀がもたらした最大の「歴史的教訓」
        ヨーロッパ諸国の自信を徹底的に打ちのめした第一次世界大戦
        空前の権力国家を生み出した「全体主義」
        見落とされていたコミュニズムの重大な裏側
        20世紀最大の「政治の危機」と「知性の危機」
        つぎつぎと崩れ去っていく強大な「全体主義国家」

      2 「強国」の致命的弱点
        「独裁」の正統性とヒトラー流ファシズムの自滅
        右翼独裁政府にとっての致命的な「アキレス腱」
        政治・経済の無策ゆえに自らの存在を危うくしていく軍事政権
        ラテンアメリカ・南ヨーロッパの民主主義移行に見る驚くべき一貫性

      3 あまりにも貧しすぎた「超大国」
        自由よりはむしろ「監禁生活」に満足していた入院患者
        「歴史の山」が着実に動き出した
        統計値だけからは計れない「超大国」の驚くべき脆弱さ
        ソ連全体主義の最大の失敗原因
        全体主義下でのロシア人の政治的成熟ぶり
        片肺飛行に終わった1980年代の中国近代化と改革
        共産主義のあとにやってくる偏屈でけんか腰の民族主義
        小ロシア主義-新しい民族主義の大潮流
        完全に失敗した全体主義下の「人づくり」

      4 「千年王国」の旗手
        歴史の荒波に耐えてよみがえる自由主義の力
        イラン・イスラム共和国に見る自由主義と民主主義の大矛盾
        イスラム原理主義の復活が真に意味すること
        過去四百年でもっとも注目すべき現象
        「歴史の窓」から見た将来の展望

     第2部 幻想のうちに崩壊した「自由の王国」 ヘーゲルの予言はなぜマルクスよりも正確だったのか
      1 人間にとって「普遍的な歴史」とは何か
        限りなく進歩発展する「科学的精神」
        「歴史には必ず終わりがあるはずだ」
        真の自由が実現するヘーゲルの「歴史の終点」
        ヘーゲルが見た「人間の欲望と本性」
        1806年の「イエナの会戦」で一つの歴史は終わった
        マルクス流の「歴史の終わり」
        ヘーゲルの予言はなぜマルクスよりも正確だったのか
        シュペングラーとトインビーの「ペシミズム」
        「近代化理論」に死を宣告した自民族中心主義
        なぜ「楽観論」より「悲観論」を選ぶほうが安全なのか

      2 歴史に見る人間の「欲望」のメカニズム
        歴史は「同じ道」を繰り返さない
        なぜ世界の歴史は一定の方向へ動いているのか
        戦争が「近代国家」をつくるという歴史の皮肉
        「規模の経済」がもたらす奇跡
        マルクスの理想「朝は狩り、昼は釣り、夕方は・・・」の大誤算
        万能とは言いきれない「歴史の舵取り役」としての近代自然科学

      3 歴史は決して「逆流」しない
        文明人へ警鐘を鳴らしつづけていたルソーの真意
        現代版「ルソー主義」の限界
        「健全な環境」を作り出すための富と経済のダイナミズム
        人類文明に対するテクノロジーの支配力と科学の「復元力」

      4 社会進歩のメカニズムと資本主義体制
        道徳的に悪臭を放つがゆえの「資本主義」の適応力
        なぜマルクス-レーニン主義は「脱工業化」に失敗したのか
        「中央計画経済」崩壊の最大原因
        共産主義の「墓堀人」を演じた技術官僚

      5 自由主義経済の圧倒的勝利
        南北の格差を資本主義の矛盾ときめつけたレーニンの「従属理論」
        東アジア諸国で見事に自滅した「従属理論」
        眠りから覚めた「四頭の虎」の歴史的背景
        ラテンアメリカや第三世界で資本主義がうまく機能しなかった歴史的背景
        経済への極端な「国家介入」で先進国から後進国へ凋落
        バラバラな社会を結びつけていく強烈な「求心力」

      6 民主主義の弱点・権威主義の美点
        東アジアに見る経済発展と民主主義の相関関係
        「歴史の流れ」から取り残された特異な中東諸国
        新たな利益団体を制御するための最良の道具
        公害と環境問題に驚くほど無知な共産主義世界
        独裁政権につきものの「自壊作用」
        教育の普及が生んだ「自分の頭をもった中産階級」
        アメリカ民主主義の独自性と最大の欠点
        民主主義も切り札にならない「分極化社会」
        「独裁制」ゆえの経済成長と中産階級の進出
        民主主義をうながす効果的な「潤滑油」
        自由主義経済と権威主義の「融合」の持つ力
        民主・共産の最良の部分を集めた強力な市場志向型「権威主義」国家

      7 近代をのし歩いた「悪魔」
        歴史の「袋小路」で消えた人たち
        大虐殺が持つ歴史的意味
        たとえ歴史が一時的に断絶しても・・・

      8 「自由の王国」のなかで
        名ばかりに終わったマルクスの「自由の王国」
        アメリカ建国の父たちの「純粋さ」の歴史的意味
        ヘーゲルが歴史に見た「人間の本性」とは何か
        世界史に下される「最後の審判」
        歴史における「最初の人間」と「最後の人間」

     第3部 歴史を前進させるエネルギー 「承認」を求める闘争と「優越願望」
      1 はじめに「死を賭けた戦い」ありき
        アングロ-サクソンの伝統のなかで脈々と生きつづける自由主義社会
        なぜ人間は「激しい死闘」へと駆り立てられるのか
        ホッブズとヘーゲルの相反する「人間」解釈
        「承認」への強烈な原始的欲望
        ヘーゲル流「真の自己創造」プロセス

      2 近代史に登場した「最初の人間」
        「メダル」や「旗」に命を賭ける人間の出現
        「リバイアサン(大怪物)」の首に打たれた鎖
        ロック、ホッブズ、ヘーゲルが描く三者三様の「最初の人間」像
        新しいタイプの人間「ブルジョア」の限界

      3 共産主義がつきつけたファウスト的「交換条件」
        人間を人間たらしめる「魂」の三分説
        「気概」の持つ歴史的意味
        共産主義が強いる数限りない妥協と屈辱
        魂のなかの「気概」が徹底的に抑え込まれた世界
    Free Press「The End of History and the Last Man」 1992年1月

    新版解説 佐々木毅
    「歴史の終わり」と現代政治
     1 「1989年の精神」がもたらしたもの
     2 「歴史世界」による逆襲
     3 歴史のなかの民主制の変遷
     4 ポピュリズムの台頭と「1989年の精神」 

  • 思っていた内容と違い、閉じてしまった。
    また再読したい。

  • 最近(2020年9月)、国際情勢に関する本を読んでいると、この『歴史の終わり』が引用されることが多く、気になって再読してみた。引用する書籍は軒並み『内戦もテロもなくならない、歴史は終わっていないのだ!!』という使い方をしている。フクヤマ本人が『歴史の終わりとは、歴史的な大事件が起きないということではない』とはっきり書いているのに・・・。私が見る限り、フクヤマの見立て通り世界はリベラルな民主主義に向かっていると思います。今の時代、ぜひ読んでみる本だと思います。

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著者プロフィール

1952年、アメリカ生まれ。アメリカの政治学者。スタンフォード大学の「民主主義・開発・法の支配研究センター」を運営。ジョンズ・ホプキンズ大学やジョージ・メイソン大学でも教えた。著書『歴史の終わり』(三笠書房、1992年)は世界的なベストセラーとなった。著書に、『「大崩壊」の時代』(早川書房、2000年)、『アメリカの終わり』(講談社、2006年)、『政治の起源』(講談社、2013年)、『政治の衰退』(2018年)、『IDENTITY』(朝日新聞出版、2019年)などがある。

「2022年 『「歴史の終わり」の後で』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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