御菓子司 聚洸の源氏物語

  • 光村推古書院
4.09
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838106059

作品紹介・あらすじ

源氏物語五十四帖を読み解き、

一帖ごとに想起されるイメージを基に、ひとつひとつ和菓子を製造(和菓子は非売品)。



和菓子を製造するのは、京都の老舗和菓子店・塩芳軒(しおよしけん)に生まれ、

現在は独立して西陣に店を構える人気店「聚洸(じゅこう)」の高家裕典。

そのお菓子をさらに美しく彩る器は、「うつわやあ花音」主人、梶裕子がセレクト。

さらに、お菓子のコーディネイトも梶裕子が手掛けた。



二人のコラボレーションによって誕生した、和菓子で表現する源氏物語の世界。

和菓子とうつわの美しい写真を見ているだけで癒される、ありそうでなかった、珠玉の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 源氏物語講読の会、京都「紫香の集い」。集いは、毎回の出席者への呈茶から始まる。
    そこでは、「うつわや あ花音」を営む梶裕子さんの選ばれた茶碗と菓子器が用意され、菓子器には毎回源氏物語の内容に応じて、梶裕子さんと和菓子舗「聚洸」さんとで、工夫・創作された主菓子が盛られている。
    うつわと和菓子と源氏物語。この美しさと美味しさがコラボレーションした雅やかな世界には、時間を忘れて見惚れるばかりだった。

    そのなかでも特にわたしが目を奪われたのは、第8巻『花宴』。淡い桜色のおだまきのきんとん「花」だ。
    桜が満開の時の宴。二十歳の源氏は朧月夜と恋に陥る……
    桜色には春爛漫を、もしかしたら源氏の直衣「桜の襲」をもあらわしているかもしれない。
    そしてやっぱり恋の色でしょう。
    源氏と恋をする朧月夜の小悪魔的な可愛さもイメージは桜色。
    おまけに、きんとんのコロコロとした形がまたキュートなんだから。
    わたしの1番お気に入りの御菓子だ。

    第22巻『玉鬘』の「舟」は、瀬戸内の海に見立てたブループレートと水羊羹。その写真が本当に素敵。
    玉鬘が幼い頃の、瀬戸内海を九州へと下っていく舟のイメージから、水羊羹は笹舟にのせられている。しっとりと艶やかな水羊羹に反射した笹の葉が、まるで水面に写る帆に見えるのだ。

    第41巻『幻』も印象的。
    紫の上を偲んで作られた「おもひで」のきんとんと、うつわのセレクトには、彼女のための極楽の花園が作り出されている。紫の上の幸せだったこと、うれしかったこと、それらが色とりどりの花となる。
    その御菓子には、彼女の美しさや知性、奥ゆかさ、優しさをも包みこまれているようだった。

    第49巻『宿木 その二』での「朝顔」は、露に濡れた朝顔をあらわしたういろう。
    ういろうに一滴の雫がそっと垂らされることで、御菓子に込められた物語に奥行きが出てくるなぁと感動した。

    第52巻『蜻蛉』では薫の眺める命短い蜻蛉を吉野羮であらわした「蜻蛉」。
    吉野羮の上には飴で作られた儚げな蜻蛉の羽。綺麗なガラスのうつわからは、ひんやりとした幻のような印象を受ける。

    どれもこれも紹介したいものばかりなんだけれど、わたしの下手っぴな文章では、この美を全くもって表現することができないのが至極残念でならない。もし機会があれば、これらの和菓子とうつわの美しい写真を眺めていただけたら嬉しい。きっとその時間はゆったりと流れ、ほっと癒された心持ちになるはず。

    わたしは本をはじめて開いた時には、芸術作品のような御菓子に目を奪われ、2度目は美しいうつわの数々に感嘆した。3度目は御菓子とうつわの組み合わせにインスピレーションを受け、4度目には源氏物語あらすじと御菓子やうつわに込められた想いをじっくりと味わった。
    それからも何度となく本を開いては、この美の競演を楽しんでいる。

    紹介してくださったmyjstyleさん、素敵な本をありがとうございました♪

    • 地球っこさん
      mofuさん、おはようございます。

      そうです、そうです。
      芸術作品のようでした☆ミ

      当時の御菓子を再現するのも面白いですけど、...
      mofuさん、おはようございます。

      そうです、そうです。
      芸術作品のようでした☆ミ

      当時の御菓子を再現するのも面白いですけど、こうやって物語から想像を膨らませていく御菓子はとても素敵でした。

      トゲトゲした気持ちも、なんだか平安のゆるりとした時の流れと御菓子で癒されました(*^^*)
      2021/01/28
    • myjstyleさん
      地球っ子さん おはようございます。

      レビュー 拝読しました。
      おすすめしてよかった。
      なかでも、朧月夜の御菓子のレビュー。
      愛が...
      地球っ子さん おはようございます。

      レビュー 拝読しました。
      おすすめしてよかった。
      なかでも、朧月夜の御菓子のレビュー。
      愛が詰まって、とてもチャーミングでした。
      「紫香の集い」
      こんな豊かに季節や時を彩る過ごし方があるのですね。
      2021/01/29
    • 地球っこさん
      myjstyleさん、おはようございます♪

      もう何度も眺めてますよ。
      見るたびに違うところに目がいって。

      「紫香の集い」、雅な...
      myjstyleさん、おはようございます♪

      もう何度も眺めてますよ。
      見るたびに違うところに目がいって。

      「紫香の集い」、雅な集いなんでしょう。
      こうやって豊かな過ごし方があるのを垣間見ることが出来ただけで、わたしも優雅な時間を過ごせました。
      ありがとうございました(*^^*)

      朧月夜の御菓子は、本当に可愛らしいですね♡
      わたしも、今からでもそんな可愛らしい女性になりたいものです……
      コロコロとした形には、ちゃんとなってるのですけどね 笑
      2021/01/29
  • 京都の祇園で開かれた「源氏物語」の勉強会である「紫香の集い」は出席者への呈茶に始まります。月ごとに提供された御菓子司聚洸の創作和菓子を綺麗な写真と文で紹介されます。最近復習した「玉鬘十帖」で、その一部を紹介すると、瀬戸内を京へと戻る玉鬘を現す水羊羹を笹の葉の舟に乗せた「菓子舟」。蛍に見立てた丸い御菓子に栗を包み一部現れた栗を蛍光に見立てた「菓子蛍」。「真木柱」では髭黒が浴びた灰をイメージした「灰かぶり」など、名前のついた御菓子が美しいだけでなく作品が目に浮かぶ趣向です。魯山人など選び抜いた器を見るのも楽しい。眺めて眼福、食して口福です。なんと雅なサロンでしょう。

  • 源氏物語54巻をひもときながら、各巻をイメージして創作された和菓子と器の取り合わせを楽しむ内容。物語から着想を得たお菓子は繊細で美しく、また器は新旧さまざまなものが絶妙なセンスで使われていて、見ているだけで目のご馳走。源氏物語をもっと深く知ると、さらに楽しめそうだ。何気に感動したのが、最後の「上生菓子の生地と材料」。浮島、こなし、ねりきり…などなど、これって結局なんだっけ?と思うものの材料が説明されていて、保存版にしたい。

  • 源氏物語の世界を和菓子で表現している。聚洸さんの和菓子をいただいたことがあり、どんな和菓子が載っているのか興味を持って手に取った。作り方が載っている訳ではないので、雰囲気を楽しむ本かもしれない。

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