絶頂美術館

著者 :
  • マガジンハウス
3.50
  • (4)
  • (15)
  • (19)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 127
感想 : 21
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838719402

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 借りたもの。
    観る人を魅了する、ヌードの主題となった物語、その表現するものを解説したもの。取り上げているのは近代西洋絵画。
    ヌードの魅力を‘人間という生命のあり方の根本にまつわる表現を含んで(p.18)’おり、画家と鑑賞者双方にとって、何を描き何を見出すかを映し出す、‘心の鏡(p.19)’であることを指摘。
    フランス語表現の「小さな死(petie mort)」という、性的な絶頂感、その後に訪れる深い眠り――全面的な無防備、すべてを相手に委ねてしまう、死に近い状態――を表現したヌード表現を多く掲載。タナトスとエロスの世界。

    本の冒頭から、足指のフェティシズム、眠れる美女、くびれ――身体のS字効果――、主題としてのトルコ風呂(ハーレム)、接吻、美少年愛、同性愛(男性)、レズビアン(男性不要の官能)、挑発目線、ファム・ファタル……
    といった、恍惚とするエロスの本質を要素分解して解説。

  • タイトルに惹かれて読みました笑
    感銘を受けるという感じではありませんが、
    深い考察で、勉強になりました。
    絵もちゃんと載っているので良かったです。

  • 何やらスキャンダラスかつ扇情的なタイトルではあるが、
    「裸像」というものを入口にして読者を美術の世界に招く
    良書。扱っている絵画作品がきちんとカラー口絵で紹介され
    ているのが良い。

  • カノーヴァの彫刻や、表紙にもなってるカバネルの絵など好みの絵がたくさん出てくるので楽しい。
    どちらかというと現在本流と考えられている印象派に反対する立場だった人の絵が多いかもしれない?
    あと全体的にヌードの話だった。

    720

  • く九九ははく九九 はく!ら

  • 本書は19世紀半ばに新しく台頭してきたクールベやアングルといった印象派に先駆する画家の絵画群と、そこに立ちはだかった官展(サロン)の画家たちとの攻防に焦点をあて、絵画史のエポックメーキングを語ったものである。表紙を飾るのはカパネルの『ヴィーナスの誕生』。こうした筆のタッチを全く後に残さない絵こそが、19世紀官展側の美の理想を体現したものであった。これに比べて、印象派がいかに革新的だったかは想像がつく。ただし、現在の私たちは印象派を経由した眼で見るがゆえに、それはそれで眼を曇らされていることに気がつくのだ。

  • 視点が 変わってて おもしろかった。 また 絵画の見方が 変わると思う。

  • 昔の人も、やっぱり「神話」にかこつけてエロを描きたかったんだよね。ヌード画の歴史がおもしろく、わかりやすく書かれている。

  • この絵画のどこらへんがエロスな感じなのか…めっちゃ分かり易く説明してる!実物をじぃーっくり見たくなる(*・ω・`*)

  • なんとも挑発的なタイトルのヌードをめぐる近代絵画史の本。西洋絵画史におけるヌードの名作を、その時代背景や当時の反響も含めて解説・鑑賞している。足の指のそりかえりとか、細部をよく見てる。また、もっぱら神話や古典古代を理想化して描くことを口実にヌードが描かれていたのに、19世紀以降になって「現実の女性のヌード」が描かれるようになった流れが興味深かった。マネの「草上の昼食」も、こういう経緯があったから騒がれたのか、と納得。絵画の見方については三浦篤や若桑みどりなどによるいい入門書もあるけど、これもまたお薦めの一冊です。

全21件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

多摩美術大学名誉教授・版画家

1952年生まれ。柳宗悦門下の版画家森義利に入門、徒弟制にて民芸手法の型絵染を修得、現代版画手法としての合羽刷として確立。日本版画協会展、国展で受賞(1977・78)、リュブリアナ国際版画ビエンナーレ五十周年展(2006)に招待出品。作品が雑誌「遊」(工作舎)に起用されたことを機に編集・デザインに活動の幅を拡げ、ジャパネスクというコンセプトを提唱。1992年国連地球サミット関連出版にロバート・ラウシェンバーグらと参画、2005年愛知万博企画委員。著書『絵画の読み方』(JICC)、『二時間のモナ・リザ』(河出書房新社)等で、今日の名画解読型の美術コンテンツの先鞭をつけ、「日曜美術館」等、美術番組の監修を多く手がける。著書多数、全集「名画への旅」、「アート・ジャパネスク」(共に講談社)を企画、共著にシリーズ「公共哲学」(東京大学出版会)がある。

「2024年 『柳宗悦の視線革命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

西岡文彦の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×