逆襲、にっぽんの明るい奥さま

著者 :
  • マガジンハウス
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838719419

感想・レビュー・書評

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  • 兼業主婦、専業主婦、子どものいない主婦、舅姑と同居の主婦。いろんないろんな環境の主婦たちが今日も笑顔を顔に張り付かせて頑張ってる!ときおりどうしようも無く拭き出そうになる「黒々とした思い」をなんとか笑顔の下に押しかくして。夫や子供に「今日何食べたい?」ときいて「美味しいもの」とか返事されてぶちキレそうになってる奥さま!ぜひご一読を!なんかもやもやがすっきりしますよ。

  • どこにでもいそうな「普通の」奥さん(お母さん)達が心に溜め込んでいるドロドロしたもの。表には出さない暗い部分の描写が秀逸でした。

    良い「妻」や「母親」でいるために日々何かと闘って、疲れて。
    報われていい終わり方をするお話もあったけど、決壊寸前の「先はやっぱりバッドエンドなんだろうか」というお話もあり、そこにリアリティを感じました。

  • 多分世代によって、夫婦観や家族観が異なるだろうから、私はドンピシャ。わかる、わかると頷きながらページを捲りました。結婚生活は年月を重ねると、パートナーに求めるものが蜜月時代とは異なるし、何といっても自分も相手も環境によって変わっていくのは当たり前。日常のなかで紡ぐ結婚生活って、本当は難しい。表紙の絵がちょっとイメージ違いかな。

  • 初めて夏石さんの作品を読みました。
    最後の逆襲奥様が好き。

  • 大変だなぁ…としみじみ。

  • 女の本音満載で面白く読めたが、毒が強過ぎる話もあって読後感はあまり良くない。特にラストの姑の話は、気持ちはわかるもののそのあまりに冷たい対応に暗い気持ちになった。反撃しても良いと思うけれど、そこに一片の愛が感じられなければ、それはとても空虚で独断的なものになる気がする。

  • 読むのは3度目か4度目の『逆襲、にっぽんの明るい奥さま』。私は何度か借りて読んだあげくに、この本を買ってしまったくらいだ。5年前に出たこの本のあとがきには、「続編のタイトルは、今のところ『突撃、にっぽんのきれいな奥様』を予定しています」(p.189)と書いてあるのだが、まだ続編は出ない。心待ちにしているあいだに、夏石鈴子のすでに出ている本を、時々また読んでみたりする。

    読んで、話に出てくる人の、声には出さない心のうちのご意見に、そうそうと思い、あるいは、話に出て来る人が口に出した言葉に、う、という気持ちになったり、私も似たようなことを言ったことがあると思い出したりする。こういう言動をする人はイヤだ、というところに共感もする。

    『逆襲、にっぽんの明るい奥さま』とか、『いらっしゃいませ』とか、夏石鈴子の書く話を私は何度も読んでいる。くりかえし読んで、同じところで、あーそうそうと思うときもあるし、こんなことも書いてあったかなと新たな発見をするときもある。

    『逆襲、にっぽんの明るい奥さま』のあとがきには、こんなことが書いてある。このあとがきも、数度目にしているが、こんなん書いてあったっけと今回思った一節。
    ▼最近のわたしは人間について、よく考えている。特に人間の才能を考える時、とりあえず何があっても外からは普通に見えるというのが、最大の才能ではないかと思います。「この人、大丈夫?」と思わせる人は、あまりいないものです。だいたいの人は、悲しみ苦しみがあっても、それは外に見せないものだ。だから、そんなことを今回、物語にしてみました。(p.188)

    私は、あとがきの中でも、この部分の、すぐ前にあるところをくっきりおぼえていた。

    夏石鈴子が書くもののおもしろいところはいろいろあるが、登場人物が、文句というか批判というか、アホかおまえ!というような相手に(おおむねは、口に出さずに心のうちで)ぶっつける罵詈がいい。

    私はたぶん、そういう罵詈を、登場人物の心をなぞって読みながら、自分がぶっつけたい相手に言ってる気になってるのかもしれへんなと思う。そして、登場人物の観察眼を自分も拝借しながら、罵詈をぶっつけたい相手を観察し、自分自身を省みているような気がする。

    たとえば、自分がパワハラをしている、などとは思ってもいないような人物の、しかしそれはどう考えてもハラスメント言動でしょうというものは、ほんとうに処置無しで困る。現実には、私も「なるべく避ける」くらいしかできないことが多い。面と向かって、アホかおまえ!と言えたらいいけれど、そう簡単には言えない。当たって、向こうが砕けてくれたらいいが、こちらが砕ける可能性のほうが高い。何の気なしにハラスメント人間になってる人は、そういう立場の人物だからだ。

    そういう苦しく、しんどいときに、夏石鈴子は効く。私はほんとに、いっときはお守りのように『いらっしゃいませ』を読んでいた。

    職場であれば、組合とか話せる同僚さんとか、それもすごく大切だけれど、自分自身の心の支えがあると、アホかおまえ!というような相手のいるような場をやりすごすのに、助かることもあるのだ。

    (8/27了)

  • 短編8作品。

    普通に見える主婦たちだって、いろいろ思ってるし、いろいろ考えてる。

    8人の主婦たち(専業主婦も正社員もパートも)の普通の日常を書いてます。
    同感したり、ふーん、そうとらえるかと思ったり。

    おもしろく読めました。

  • 最近読む本の主人公が自分より年下なことが多くて少し切なかったので
    これなら同年代以上のひとが出てくるんだろうなぁと思い
    タイトルを見て手にとりました。
    そしたら、自分よりだいぶ年上の奥さまの話だったのだけど。

    短編集で、色んな状況の、色んな思いを抱えた奥さまが出てくるけれど、
    どの奥さまもあまり幸せそうに見えなくてこれが現実なのか…と寂しくなる。
    私は幸せな奥さまを目指そう。

  • 8人の奥さま達の日常を切り取った短編集。

    専業主婦、ワーキングママ、子持ち、子なしと様々な奥さまが登場するが、何の心配もなく心が晴れやかな奥さまは一人も現れない。

    結婚、出産、子育て、家事、家事をしながらの仕事、姑との付き合い、等が非常に恐ろしいものであり、20代独身の私にこんなこと絶対やりたくないと思わせる効果がバツグンの小説でしたw

    基本的に完全なハッピーエンドはほとんどなく、鬱屈した気持ちを抱え込んだまま、彼女達の日常がこれからもこうやって続いていくことを予感させて、物語が終わる。歳を取ること、生きていくことは甘いもんじゃないということをド迫力で見せつけられます。

    すべて一人称で描かれており、愚痴をそのまま殴り書きしただけのように思える文章も多く、若干疲れる。

    でもこういう気持ちの主婦って現実にたくさんいるんだろうなー恐ろしい。

    自分の子供が可愛いと思えないという奥さまの話は興味深かった。

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著者プロフィール

1963年生まれ。著書は『バイブを買いに』、『いらっしゃいませ』、『新解さんの読み方』、『新解さんリターンズ』、『今日もやっぱり処女でした』(日本図書館協会選定図書)、『きのうと同じに見えるけど』などがある。

「2010年 『愛情日誌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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