- Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
- / ISBN・EAN: 9784839700164
感想・レビュー・書評
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しばらくぶりに新しい本をご紹介します。
本のタイトルもちょっとポップな感じを出していて、とても軽いノリの翻訳書です。
ですが、これが内容が素晴らしい、そして翻訳もすばらしいです。
普通悟った方が語った言葉となると、それなりの威厳とか体裁があるわけですが、ここで自分に起こったことを話している方々は、まったく普通の市井の生活を営んでいる方々です。
「悟り」が起こった後も、普通の生活をつづけている7人の方々のインタビューからなる本です。
いわゆるスピリチュアル教師たちが書いた本とは明らかに印象が違います。
最近は、実際は悟っていても、まったくそれふうに振る舞わない教師たちも現れていますよね。
でも自分からそのような話題について語る方々には、どうしても教師としてのそれなりの雰囲気があります。
でもこの『わかっちゃった人たち』のなかで話している七人の方々は、ほんとうに普通の生活をつづけているので、おそらく、ごく身近な方以外にはいわゆる悟った方とも認知されていないでしょう。
本人が特に隠しているわけでなくても、そんなことに興味のある人などまずほとんどいないわけですから。
普通の話題としては、話すタイミングがないのが当たり前です。
だからかえって、いわゆる覚者方の本にはない、人格にハマっている周囲の人たちとの距離感が際立つ場面もあるようです。
続きは→http://ameblo.jp/aurasoma-unity/entry-11935187156.html詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ラマナ・マハリシの言葉には、究極の真実からまっすぐに私たちの心に響いてくる。何の飾りもなくストレートに響いてくるところに、彼の言葉の計り知れない魅力がある。彼の言葉から伝わるものを表現するのに、「まっすぐに響いてくる」という以外の適当な言葉が見つからない。これだけ言えば、それで充分な気がする。「真実がストレートに伝わってくる」と、これだけ強烈に感じる本はまれである。
おそらく数年前の私だったら、これらの言葉が心の底に沁みてくるような感覚は味わえなかったかも知れない。たぶんそれは、私自身が少しばかり瞑想をするようになったからだ。瞑想をし始めたからこそ、これらの言葉が響いてくるのだ。たとえば「心が外に出てゆくとき、悲惨を味わう。心の願いが満たされるときには、実は、心は自身の本来の場所に戻って」いるというような言葉は、たとえごくわずかでも自分自身の瞑想の体験と響くものがあって、心に沁みてくるのだと思う。この本の全体をそんな感じで読んだ。
語られている事柄は、古今の賢者が語ってきた内容とそれほど違わないのかも知れない。しかし、何度もいうがその独特の率直さに、私たちの心を揺さぶる力が秘められている。翻訳された言葉でありながら、なぜこれほどに伝わるものがあるのだろうか。「真実」の率直な表現が、その人物のあり方のすべてを運んでくるからだろうか。
まっすぐな真実がまっすぐに響いて来る言葉。言葉の不思議をこれほど強く感じたことがかつてあっただろうか。あまりにシンプルではあるが、そのシンプルな真実を伝える表現のまっすぐさの中に、何かしら「詩的な」、人の心に呼びかける力が隠されているのだろか。もしらしたら、この本に散りばめられている写真の力も大きいかも知れない。写真、その真実と慈愛に満ちた表情、そこからストレートに響いてくるものも大きい。言葉と写真が響き合って何かを伝えるのかも知れない。
「幸福は平和から生まれる。平和は障害物のないところにだけいきわたることができる。障害は、心の内に起こる想いによって生じる。心そのものが空(から)になるとき、完全な平和があるだろう。人は、その心を絶滅しないかぎり、平和を得ることも幸福であることもできない。そして、彼自身が幸福でないかぎり、他者に幸福を与えることはできない。」(P138)
「あなたのみじめさの原因は、外部の人生にあるのではない。それはエゴとして、あなたの中にある。あなたは自分で自分の上に束縛を押しつけ、それを超えようとして空しくあがいている。すべての不幸はエゴの帰因する。エゴとともにあなたのすべての困難がやってくる。本当はあなたの内にある不幸の原因を、人生のできごとのせいにすることでどんな利益があなたにあるというのかね。あなた自身にとって外的なものにすぎない事物から、どんな幸福を得ようとするのかね。もしそれを得たとしてもどれほど長く続くものだろうか。
もしあなたがエゴを否定し、それを無視することによって焼き尽くすならば、あなたは自由になるだろう。」(P149)
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『 もしあなたが真理を求め,真理のみを求めるならば,世界を非現実のものとして受け入れる以外には方法がない.なぜなら,あなたが世界は実在であるという考えを棄てないかぎり,あなたの心は世界を追い続けるだろうという,単純な理由からである.』(ラマナ・マハリシ)