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- Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
- / ISBN・EAN: 9784839701178
作品紹介・あらすじ
『青い鳥』のノーベル賞作家が死後の意識について考察する。カトリック教禁書目録に入れられたいわくつき問題作の新訳。
感想・レビュー・書評
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フランス語で創作したベルギー人作家、興味深い時代と世相を生きた人ということもあり、おいおい色々読みたい人のひとり。これはカトリックにおいて禁書指定……と聞いて気になっていた。現在においてもそうなのかな。
人は絶えず死のことを考えていても、正面から明晰に考えているのではない……「死」を正面から見つめ考察することで、「死」を不明瞭にする恐怖の雲を取り払い、死後の魂について論じるもの。魂の不滅は当然信じつつ、肉体の復活はあっさりと退けているあたり、もうキリスト教からすると異端になるのかもしれない。あらゆる痛み、苦悩は肉体に由来するもので、魂に直接降りかかるものではないとして、むしろ死=肉体の滅びを肯定的に受け止めようと述べているのに、そこはかとない魅惑を感じなくもない。生と死を同じように喜ばしく受け止められるなら、たしかにそんな幸福はまたとないのかもしれない。
降霊会の模様やSPRの会報を取り上げているのも見どころ。時おり皮肉っぽい論調に見えるのは穿ちすぎか。
キリスト教に対する直截な批判は端的に痛烈だった。神秘を矮小化し長らく抑えつけていたのに、それが保てなくなった時代への興味が募る。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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