武士の料理帖 (マイコミ新書)

著者 :
  • 毎日コミュニケーションズ
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本棚登録 : 31
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784839938826

作品紹介・あらすじ

"江戸の食文化"をモチーフに書き下ろされた二十篇のショートストーリーと、歴史雑学がちりばめられたエッセイがクロスオーバー。映画「武士の家計簿」の脚本家が描く江戸の食風景。

感想・レビュー・書評

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  • チャンチャンバラバラ(笑)が好きなので、殺陣シーンなしの時代劇は見ないのだが、
    【武士の家計簿】は面白かったなぁ、と述懐。
    あの映画の脚本をつとめた柏田道夫さんが、「月間ベターホーム」に連載していた
    食にまつわる読みきりの掌編小説をまとめたもの。
    特に時代物の方が評判が良かったらしく、その後もぽつぽつ書き溜めて20編となり、
    まかないエッセイと併せて読める面白い一冊になっている。

    まず、「江戸の食」がこちらが想像する以上に豊かなことに驚いてしまう。
    輸入食品も冷凍技術もない時代だというのが信じられないほど多種多様。
    旬のものを味わうことにどれほど楽しみを見つけ出してたか、時に羨んでしまうほど。
    そして、読みながらこちらの口の中が涎でいっぱいになった頃に終わる、その手際の鮮やかさ。
    そこに至るまでの、人と人との絡み方とそこに生まれる情けや思いやり。
    運命に翻弄される悔しさや惨めさ・やるせなさもごく自然に描写され、素直に共感できてしまう。
    短編のひとつずつは、せいぜい10ページか11ページ分ほどだが、
    書かれた食事がまるで目の前に見えるかのようだ。
    登場する江戸の食を、実際に作り、かつ味わいながら繰り返し読んでみたいと思ってみたり。

    心に残った作品は【 鯉のあらい】。
    藩内抗争に巻き込まれ、自裁させられた父親のしたたかさに、ひそかに喝采した。
    切ないのに、ふふっと笑いが漏れる一編。
    もうひとつは【たまごかゆ】。
    粗忽を絵に描いたような嫁がなぜか料理上手で、寝たきりの頑固な姑のお世話をしている。
    たまごかゆを食べさせるその描写に、目の奥がじわあっと来てしまった。

    『涙とともにパンを食べた人でなければ人生の味は分からない』
    ゲーテの言葉らしいが、まさにその通りなのだろう。
    江戸の食もさることながらそれぞれの隠し味が見事にきいて、お腹まで空いてくるそんな一冊。

    • darkavengersさん
      nejidonさん、こんばんは。

      殺陣ありの時代劇がお好きという事なので勝手ながら個人的なおすすめを幾つか紹介させてもらおうと思いおじ...
      nejidonさん、こんばんは。

      殺陣ありの時代劇がお好きという事なので勝手ながら個人的なおすすめを幾つか紹介させてもらおうと思いおじゃましました。

      先ず、自分の人生のバイブルとも言える必殺シリーズから田村高廣の父親譲りの殺陣の上手さが必見の「助け人走る」仕事人の時とは違い大刀を使った剣の達人としての主水がカッコイイ「江戸プロフェッショナル必殺商売人」。

      必殺以外ならどんな名刀でも二人斬ったら血と脂で斬れなくなるというリアルな設定で複数の敵をいかにして倒すかという緊張感に満ちた、近藤正臣主演の「斬り抜ける」、主人公が下半身不随の為 妻の押す箱車に乗って鞭、小刀、手裏剣を武器に戦う 中村敦夫・ジュディオング主演の「おしどり右京捕物車」。

      集団時代劇だと「影の軍団」シリーズ、天知茂主演の「江戸の牙」。

      映画だと勝新太郎も殺陣ではかなわないと言うほどの兄 若山富三郎の「賞金稼ぎ」シリーズ、「子連れ狼」シリーズがおすすめです。

      どれもソフト化されているので大きなレンタル店ならある筈なので、もし興味がおありでしたら観てください。
      2020/10/29
    • nejidonさん
      darkavengersさん、こんばんは(^^♪
      たくさんのお勧め、ありがとうございます!
      藤沢周平さんの描く「下級武士の切なさ」も決し...
      darkavengersさん、こんばんは(^^♪
      たくさんのお勧め、ありがとうございます!
      藤沢周平さんの描く「下級武士の切なさ」も決して嫌いではないのですが、殺陣がないと物足りません。
      こういうことを言うと喧嘩大好きみたいで恥ずかしいのですが、要はエンタメを求めているのです。
      いやぁ、どれも興味津々です。
      もう一度、ありがとうございます!
      2020/10/29
  • <閲覧スタッフより>
    江戸を舞台にした食の短編&江戸の食文化に触れるエッセイ。筍ご飯、鯉のあらい、稲荷鮨、きんつば、瓜茄子漬け…庶民の食にまつわる人間模様がしみじみと描かれてます。著者の柏田道夫さんは映画「武士の家計簿」の脚本家。
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    所在記号:新書||913.6||カシ
    資料番号:10207498

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  • 江戸時代の食のエッセイ20編。ほろりとさせる「武士の料理帖」。筍ごはん、みそ田楽、しじみ汁、秀逸です。「人生の深い味」にまいりました<(_ _)>(^-^)2011.5発行。

  • 読みやすさ  :★★★★☆(読みやすい)
    分かりやすさ :★★★★☆(分かりやすい)
    内容の充実度 :★★★☆☆(普通)
    全体のまとまり:★★★☆☆(普通)
    費用対効果  :★★★☆☆(トントン)
    読後感    :★★★☆☆(普通)

  • 江戸時代の下級武士や商人、町人など人々の食卓は貧しいながらも食材を活かしたものだった。大根飯に鯉のあらい、たまごかゆ、どじょう鍋、きんつば、文字焼き・・・。江戸の食卓を彩る20の料理を通して当時の生活が浮き彫りになる。どの話もホロリと、そして思わずよだれがでてきたところでさらりと終わる短編集。

  • 雑誌で見かけて。最近、時代小説を数冊読んでいる。特にリアルな描写に心引かれる。料理という生活に密着したモノを題材にした小説は、時代小説以外でもすきな分野だ。

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著者プロフィール

小説家、脚本家、劇作家、シナリオ・センター講師。
95年、歴史群像大賞を『桃鬼城伝奇』にて受賞。同年、オール讀物推理小説新人賞を『二万三千日の幽霊』にて受賞。
映画脚本に『GOTH』『武士の家計簿』『武士の献立』『二宮金次郎』『島守の塔』など。
著書に『しぐれ茶漬 武士の料理帖』『面影橋まで』(光文社時代小説文庫)『猫でござる』①②③(双葉文庫)ほか多数。

「2023年 『劇的! 小説術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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