MORI LOG ACADEMY (4) 投げたらあかん!

著者 :
  • KADOKAWA(メディアファクトリー)
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  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840117715

作品紹介・あらすじ

森博嗣のブログ日記文庫化第4弾。2006年7〜9月のトピックスは、大阪で行われた鉄道模型コンベンションと、コカ・コーラとのコラボ企画の関連で数年ぶりに行われた名刺交換会。その上京の際に、本書装画を描いている羽海野チカ宅を森が訪問。よしもとばななも合流してのディープな集まりに。3人の不思議な交遊は、この3カ月でさらに深まったようだ。『カクレカラクリ』の映像化で、周囲は騒がしくなりつつも、マイペースをまったく崩すことなく、新作の執筆とゲラ校正を淡々とこなし、模型作りに精進する森博嗣。今回の特別講義の講師は、一児の母でもある謎のシティギャル。

感想・レビュー・書評

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  • 読むのに時間を掛けすぎて、最初のほうの内容を覚えてない。読むのをやめてないので、つまらなくはなかったのでしょう。
    最近読了していたので、吉本ばなな『ひとかげ』の感想が興味深い。

  • よくまあ、これだけの量を毎日書き続けられるものだ。日常における視点が細かいのだろう。

  •  モリログ、久しぶりに読みました。ただのブログと言ったらブログなのだけれど、森さんの思考がギュッと詰まっているので、なかなか充実していて、読むのに時間がかかり、且つ少し疲れるので(笑)読み進めるのを随分お休みしていたけれど、また読み進めるかも。4巻も早く買おう。

  • 『知識や経験が豊かであることも、そんなに大したものではない。知識に関していえば、教育を受けたばかりの子供の方が質が高いとさえいえる。大人の知識などは、身の回りの手続きに関するどうでも良いような卑近なものばかりだ。経験なんて、その人個人の視点・条件によるもよであって、他人に役立つようなものは極めて少ない。
    だからといって、大人や年寄りを馬鹿にしても良い、という話ではもちろんない。ただ、そんな立派な人間など滅多にいないのだ、ということ。だから、若者は安心して、自由に生きていけば良い、と思う。』

    『嬉しい悲鳴の反対は何だろう? 辛い笑顔?』

    『人は、いろんなものから自分にとって有意義なものを探し、それを見つけ出す。僕の書いたものを読んで、もしなにかを思いついたり、得たりすることがあったとしても、それはまちがいなくその人自身の能力であり、その人が勝ち取ったものである。』

    『社会のために貢献したい、という気持ちは貴重である。ただ、ほんの少し懸念するのは、やはり非常に局所的な、顔が見える範囲、手を握ることができる範囲の「感謝」、ほんの数名の個人的な「感謝」にあまりにも執着していないだろうか、ということ。たとえば、全世界のために、ずっと未来の人類のために、というスケールが失われてはいないか、ということである。』

    『スポーツでもそうだが、やる気がいくらあっても、勝つことはできない。負けたときに、気合いが足りなかったとか、精神的に脆かったとか、そんな言い訳をしているが、多くは戦略的に、あるいは技術的に不足していただけである。歴史的などんな偉業も、不屈の精神力だけで成し遂げられたわけではない。綿密な計算と知恵の集結のうえに、労力と資金が必要だったし、最も不可欠な要因は個人の秀でた才能だった。偶然訪れた幸運によるものでも、それを見逃さなかった才能が必要だった。
    しかし、偉大な業績を挙げた人は、きまって自分の才能を謙遜し、ただ情熱を持ってひたむきに努力した結果だと語るだろう。これは、情熱や努力があった方が有利だ、という意味にはちがいないけれど、それが最も大切で不可欠なものだ、というふうに誤解してはいけない、と僕は思う。勘違いしている人が多いはず。「情熱をもって努力せよ」とは美しい言葉であるが、あくまでも綺麗事である。』

    『自分に対しての法則を、それぞれが持っていれば良い。それが素晴らしい。たとえば、僕は1日に1回の食事で充分だと考えている。その習慣をみんなに押しつける気はまったくない。』

    『僕は、亡くなった方のご冥福なんてものは信じていないし、それを祈ることはしない。それよりも、その人の高い意志を、生きている者が少しでも受け継ぐことの方が大切である。それをしなければ、人類としての発展はない。』

    『お金は、自分の時間と労力に依存した評価値だ。欲しいものが100万円ならば、どれだけの労力と時間を犠牲にすれば良いかがわかる。 ー お金は価値の単位で、結局は自分の能力および時間との対比で観測される。 ー そもそも、お金は汚くもなければ綺麗でもない。長さや重さと同じ、単なる数字、単位である。』

    『そもそも、「悪意」とは何だろう? そんなものが果たして存在するのだろうか?
    本人にとっては、常に正しい意志ではないのか。悪意とは、外部から見たとき観察される傾向にすぎない。』

    『ネットでは、ときどき「◯◯占い」というのが流行する。そのたびに思うのだが、回答の中に、あなたは天才、学者、研究者、クリエータなどがあったら嘘である。何故なら、その種の人間は、そもそも占いなどしないからだ。』

    『言葉というのは光のようなものだ。言葉を尽くすことで、どんどん明るくなる。しかし、言葉が多すぎると眩しくて見えなくなるものがある。また、言葉にすることで、陰もできる。明るいところだけに目がいくようにさせることができる。照らす方も、また照らされるものを見る方も、言葉の明るさには、注意が必要だ。』

    『周囲の流れに身を任せることが「素直」な状態である、と世間の多くの人は認識している。一方の僕は、自分の思うとおりにすることが「素直」だと考えている。
    子供に対しても同じ。大人の言うことをはいはいときく子供が「素直」だと僕は思わない。考えていること、感じたことを正直に口にして、自分のやりたいことが何かを訴える子供が「素直」だと思う。』

    『つまり、自分の意見に自信が持てない、自分の感性を信じていない。だから、ほかの人たちがどう思うのかを知りたい。知ったうえで、自分の感覚を補正したい。そういう道筋らしい。非常に協調性がある態度といえる。僕に欠けているものは、これか。』

    『こつこつと努力していれば、いつか報われる、という教えには、大した根拠がない。そういった実例もほとんどないように思う。ただ、こつこつとやっていないと、もっと絶望的な結果になる、というだけだ。』

    『常に新しいものを取り入れよう、という姿勢が大事だ。年齢を重ねると、それをしなくなる。そういう人が、「毎日こつこつと働いているのに」と言い訳をしていないだろうか。ー 僕も歳をとって少しわかったが、年齢が上であるだけで、なにかをなした、若い奴らよりは偉い、そして、もうなにも恥ずかしくない、と錯覚できる傾向にある。神経が鈍くなった証拠だ。結局は思考停止へ向かっている。それが危険だということ。』

    『お金を儲けて物質的に豊かになると、「でも、心は寂しいでは?」「なにかを失ったのでは?」と問いかけたがる人もまた多い。どんな生き方をしても、なにかを失うだろうし、寂しい心というのも消えないだろう(僕は寂しいのは大好きだが)。しかし、そうやって、なんとか人の不幸を見つけたい、という心理は、ワイドショーなどで見れば明らかだが、どうも上品には感じられない。
    失うものと豊かになる効果を比較し、豊かさが大事だと思えば、豊かになれば良い。豊かになったら大切なものを失う、それに比べれば貧しくても大切なものを大事にしていきたいと思えば、豊かにならなければ良い。しかし、それらいずれもが「豊かな選択」にはちがいないのである。豊かさとは、すなわちこの「選択の自由」のことだ。』

    『ただ、どちらが自然か、と考えたとき、まず描きたいものがある、という方が素直な形だと僕は思う。図工の時間に、「綺麗なものを見つけてきなさい」とさきに対象を探させる、そして、それが見つかったあとで、それを伝える方法を考えさせる、という教育をしてはいかがだろうか。これができる子供は、「良い作品を作ろう」などという打算のない素直さを持っていなくてはならない。非常に小さい子供に限られるかもしれない。したがって、大人になってもそれができることは貴重だ。』

  • モリログ第4段(あれ、変則読みじゃなくなってきたぞ) いやぁ、いい。よしもとばなな回。特別講義まで担当は豪華! 印象深かったのは宇山氏のこと。宇山氏をびっくりさせるために「すべF」を書き、氏のために「探偵伯爵と僕」を書いたと森先生に言わしめる人物。 名作の裏にあるエピソードにじわりとくる。 常にカバンの中に入っていて、ピリっとした思考に触れられるシリーズ。とりあえず、よしもと先生読みたいなぁ。名刺交換会、よしもとばなな先生と羽海野チカ先生がそばで見ていたとかヤバイ…。 「嘘、本当に来たの?」

  • 2006年7月~9月。
    今回の特別講義はよしもとばなな氏。

  • ブログを再編成した、森博嗣のシリーズ4

    読了日:2007.7.14
    分 類:エッセイ
    ページ:360P
    値 段:670円
    発行日:2006年12月発行
    出版社:メディアファクトリー
    評 定:★★★


    ●作品データ●
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    テーマ:日々の雑感など
    語り口:日記
    ジャンル:エッセイ
    対 象:一般向け
    雰囲気:普通の日記ブログ
    装画イラスト:羽海野チカ
    扉イラスト:笹沼 真人
    ブックデザイン:後藤 一敬、佐藤 弘子
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    ---【100字紹介】------------------
    「WEBダ・ヴィンチ」連載の森博嗣のブログ日記
    「MORI LOG ACADEMY」の文庫化。
    比較的アクティヴな2006年7-9月の日々。
    5回にわたる特別講義は、最近交友が更に深まったよしもとばなな氏。
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    第4巻です。
    2006年7-9月の、3か月分の森博嗣のブログの内容を再編成しています。カテゴリ分けはHR、国語、算数、理科、社会、図工という前回と同じものですが、内容量は圧倒的にHRが多いです。

    今回は夏。…のせいか、ちょっとアクティヴです。大阪での鉄道模型コンベンションに行くためにこつこつと用意していたり、コカ・コーラとのコラボ企画の関係で、少しばたばたしているようです。執筆も順調に。その中でしっかり工作しているあたり、とても、らしくていいですね。どんなに忙しくても好きなことをおろそかにしない、という生き方、菜の花もしてみたいものです。いや、まずはそこまで打ち込める何かがほしいのか。…まあ読書くらいかな。でもあんまりクリエイティヴじゃないですね、それでは。

    今回、比較的露出の多かったのは、模型の神様の井上さんと、よしもとばなな氏+羽海野チカ氏ですね。何というか、これすら「らしい」ですね。いや、多分そういう「らしい」事柄ばかり選んで書いているのだと思いますけれど。これは単なる日記としてつけているより、「仕事」であると何回かこれまでも言ってきた通りに。読者の「そうあってほしい」と期待に副うことで、売れるようにしているわけですね。

    特別講義はよしもとばなな氏。この人、巧いなあという感じ。まあ、プロですものね。人気作家でもありますし。あー、世の中にはこういう人もいるのかと思った次第。


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    文章・描写 :★★★
    展開・結末 :★★★
    簡 潔 性 :★★★
    独 自 性 :★★★
    読 後 感 :★★★
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  • 相当なお金持ちなんだろうなぁ。
    何でいっきに1万文字とか書けるんだろう。

  • 森博嗣さんは小説よりも日記の方が濃いかもしれないおもしろい!

  • 様々な物事を森さんの視点で見ることができ、ああ、こういう考え方があるのだな、という発見の連続です。学ぶことが尽きません。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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