るんびにの子供 (幽BOOKS)

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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840118552

作品紹介・あらすじ

平凡な主婦の、当たり前な毎日-臙脂色のスカートをはいた、久美ちゃんが見えること以外は。嫁と姑の重苦しい日常にちらつく、少女の影は何をもたらすのか。何気ない暮らしにひたひたと入りまじる怪異を描く、怪談文学の神髄五編。『幽』怪談文学賞短編部門大賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 宇佐美さんのデビュー作で第1回「幽」怪談文学賞『短編部門』大賞受賞作。読みやすかった。じわーっとくる仄暗さが癖になりそうな作品。「柘榴の家」が何とも言えない結末で面白かった。「キリコ」は意表を突かれました。

  • 嫌な気持ちになる話が多かった。
    ちょっと話がねじれているというか、奇を衒ったような内容というのか、なんかざわざわしてしまう。

    嫌な気持ちになる話は嫌いじゃないけど、読後の爽やかさもほしいので星2つにしました。

  • 2023/5/22

  • この人の本が好きでデビュー作から読み返してみようと思っての一冊目。人智を越えた怖さと人の心の怖さとが相まって、まぁ薄暗くぞくっとする短編集だった。

  • 「るんびにの子供」
    「柘榴の家」
    「手袋」
    「キリコ」
    「とびだす絵本」

    怪異の少ないホラー短編集。表題作は合わせ技。
    話として珍しいのは、やはり表題作だろうか。怪異をそういう風に使うのかという面白い視点がある。

  • ホラー短編集。
    るんびにの子供はおもしろかったけど、あとはちょっと分かりにくいというか、何が言いたいのかよくわからなかった。

  • ホラー小説だけど、読んでスカッとした。
    嫌な人物が細部まで嫌な人として描写されていて、成敗される爽快さ?かな?

  • 怪談文学賞をとり、デビュー作となった本作。デビュー作とは思えないしっかりとした5編が収録されている。「るんびに」という興味をそそられる題名をつけるだけでも凄い。勿論ホラーで、この世のものではないものが出てくるのだが、語り手に対する害意を感じないからか、なぜかあまり怖くはない。想像通りのはずなのにそれでもラストに驚いた「石榴の家」、軽々しく落ちているものを拾ったりできないと感じた「手袋」が印象的。

  • 何を書きたいのか私にはよくわからなかった。

  • 「愚者の毒」にすっかりやられて、手に取った宇佐美さんの2作目。「正しいこと」「分かり易いこと」が大手を振るっているが、理屈では説明できない業や情は本当は目に見えない形でちゃんと私たちの周りに存在しているんじゃないかなと感じた作品。嫉妬、妬み恨み、憎悪、きょうだい格差への嫌悪等々、普段表にすることを憚られる毒々しい感情は積もり積もった時、或いは抑圧され続けた時、どう変わるのだろう。5短編の中で、それぞれ登場人物たちが抱く繊細な感情、予想を裏切る展開に息を飲んで読み終えた。追いかけたい作家さんです。

  • 初宇佐美まこと作品。デビュー作、短編5編。
    きちんと丁寧に読ませる文章力で、とても惹かれた。
    奇をてらう怖さではなく、
    じっとりした心の隙間に入り込んでくるような、
    誰しもが持っているけれど気づかない狂気のような。
    短いお話の中に登場する人々の日々が
    リアルに自分の側で垣間見える。
    だからこそ、潜む怖さに心が共鳴する。
    またまた、私の中で、
    好きな作家に出会えたワクワクする気持ちが起こった。
    今、手元にある作品『角の生えた帽子』は読了、感想は後ほど。
    最新作『少女たちは夜歩く』は読書中。他の作品も読みたくなった。

  • 「愚者の毒」と同じ作者だったので。

    面白かった。
    「るんびにの子供」は『幽』怪談文学賞の短編部門の大賞をとった作品だそうだ。
    確かに単なる幽霊ものかと思ったら、一味違った。

    他の作品もそれぞれ面白かったけど、
    最後の「とびだす絵本」は話が読めてしまったので、残念。

  • ホラーテイストの物語から始まる短編集。

    たどり着いた家で孫のふりをして暮らす逃亡者、妹に嫌悪感を抱く姉、幼い頃に仲の良かった 友達との約束を果たせなかった男…。
    ありがちな設定が多いようにも思われましたが、絶対に何かが起こる、と確信めいたものを感じながら読み進めるのがたまらなく楽しい。
    どのお話も暗さや不穏さがじわりと漂います。イヤミスが好きな方にもおすすめの一冊です。

  • いやー面白い。宇佐美さん今後ともよろしくお願いします。

  •  5つの話から成る短編集。表題作「るんびにの子供」は、「幽」怪談文学賞の、第一回短編部門受賞作である。どれも普通と言えば普通の恐怖小説なのだが、それは安心して読めるということでもある。個性的であろうとしてか、意味もなく残酷な描写を連ねたり、或いは、若い読者に迎合するような軽薄な文体で書かれた小説より、私は余程好感を持って読んだ。
     どの話も、怪異現象が怖いというより、その現象がきっかけとなって、普段は封印されている心の中の闇のようなものが表に出てくる、そうした恐怖を描いているように思う。私は「手袋」という話を一番楽しんだが、どれも面白かった。
     恐怖小説の売れっ子作家らしいYYの本は、あまりに文章が稚拙で、私は耐えきれずに途中で投げ出してしまったが、この本の著者は文章力があると思う。少なくとも、私には合う。恐怖小説が好きな方にはおすすめである。

  • 感想をいうほどもない。

  •  5篇の怪談短編集。
     どれも後味の悪い結末だけど、オチがきれいにまとまっているので必要以上に後を引かない。
     怪異はほんの味付け程度で、嫁姑の軋轢、悲惨な老老介護、姉妹間の牽制など、日常生活の中で累積していく疲労感の描写が真に迫っていた。

     ほっと息をついた瞬間に、突き落とすような結末がやってきて、なかなかに翻弄させられる。

     子どもの頃の苦い思い出にメルヘンな絵本の物語を重ねた「とびだす絵本」は、少しだけ他と毛色の違う雰囲気で好きだった。
     認知症によって現実の苦しみから逃れる「柘榴の家」の気味悪さも印象深い。
     しかし一番引き込まれたのは妹に対する嫌悪を募らせていく姉のもとに、徐々に近づいてくる怪異(?)を描いた「手袋」だった。

  • 古典を半捻りした現代版、とまで云うと過分かな

  • 短編集。デビュー作。

  • 第1回『幽』怪談文学賞短編部門大賞受賞作。
    奇をてらい狙いすました様なものではなく、日常の延長線上にするりと怪異を絡めていくバランスの良さが私好み。
    結末に捻りを効かせている作品もあり、5編いずれも楽しめました。
    怪異的怖さよりも、人の歪みや悪意といった怖さが際立っていますね。
    表題作と『キリコ』が特に良かったです。
    後者は"キリコ"視点のお話が読んでみたい。
    『手袋』の妹は読んでいて本当にイライラした。
    私もこういうタイプの人が無理なので、身近に、しかも極近しい身内だったらと思うとある意味ホラー。

  • 主婦の私は、幼稚園のころから「久美ちゃん」がみえる。他の人には見えない、幼い姿のままの久美ちゃん…第一回「幽」怪談文学賞短編部門大賞を受賞した表題作を含む短編5つ。怪談的な怖さというより、人間の心の在りようが薄気味悪くてゾワワーっときた。

    ・るんびにの子供
    ・柘榴の家
    ・手袋
    ・キリコ
    ・とびだす絵本

  • な恐ろしさ、好きだな~。日常の中でちょっとした歪に入り込んだ時にこの怖さが味わホラーというより「怪談」って感じの短編集。うまく言葉にできないけれど、この奇妙えるのかもしれない。

  • 「キリコ」が好きでした。
    全体的にじわじわくる怖さでした。

  • 私の同級生にも「るんびに」という名前の幼稚園に通っていた人たちがいました。やはり仏教の幼稚園だったそうで、いけないことをしたら罰として正座してお経を読まされたというようなことを言っていました。当時はへんてこな名前の幼稚園だなと思っていましたが、お釈迦様生誕の地という意味だったのですね。
    表題作は、池の中から出てきた久美ちゃんという怪異の出だしから、後半は割りと現実的な夫婦・嫁姑のどろどろとした話でした。
    「キリコ」はちょっとコメディというか、シュールな笑いのある話で面白かったです。
    一番印象に残るのは「とびだす絵本」ですが、怪談というよりは幻想的で、しんみりと悲しく綺麗な話でした。
    怪談と幻想文学って、紙一重というか、半分は重なる部分があるのでしょうね。

  • 近所に『るんびに幼稚園』ってあるから気になって
    手に取ったら物語にもるんびに幼稚園が登場!
    インドの神様の名前で全国に同じ名前の幼稚園や保育園があるみたいですね。勉強になりました(笑)

    どの短編もオチがちゃんとしててなかなか面白かったです。
    正直、あまり期待してなかったのでその分、さらによかった。
    軽いホラーって感じかな。世にも奇妙チックでもあったかな。
    他の作品も読んでみたい感じです。

  • 期待せずに読んだけど意外によかったな。表題作よりも「手袋」と「キリコ」あたりがけっこうツボだった。落ちてた手袋の中に剥がれた爪が残ってたらかなりきもい。

  • 新聞に何か賞を取ったと紹介されていたので読んでみました。
    幽霊に関する短編集。
    ただ単純な幽霊の話だけではなく、人間の醜い部分とか
    弱い部分なんかをからませてなかなか上手くできている話。
    でもちょっとインパクトが小さい感じかな。
    個人的には1番最初の「るんびにの子供」が1番好きでした

  • 第一回「幽」怪談文学賞短編部門大賞作品。怪談とはいえおどろおどろしい感じはなくて、ちょっとゾクっと来るような、後ろを振り返りたくなるようななかなかうまい作品でした。サクッと読めました。一番よかったのはやっぱり「るんびにの子供」ですね。久美ちゃんが自分ちの窓の外に立っていそうな怖さがゾゾゾ〜でした。

  • 怪談文学ということで、もっとおどろおどろしい物語を想像していたのですが、思ったほどではなかったです。その怪異より、むしろ人間の心や、その行動の方が怖いと感じる作品ばかりでした。そして何とも後味が悪いです…。二転、三転するストーリーが多いものの、さして珍しくもない展開で驚きはしなかったですし、特に新鮮味は無かったように思います。でも、デビュー作としては上々だとも思います。

    人間って怖いなぁ…と胸の奥がぞわぞわするような読後感の物語が続いている中で、ラストの「とびだす絵本」だけは少しだけ、どことなく温かい雰囲気が感じられました。やっぱり怪異なものなのだけれど、これがラストに配置されていて良かったです。

  • まぁまぁ・・

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著者プロフィール

(うさみ・まこと)1957年、愛媛県生まれ。2007年、『るんびにの子供』でデビュー。2017年に『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞〈長編及び連作短編集部門〉を受賞。2020年、『ボニン浄土』で第23回大藪春彦賞候補に、『展望塔のラプンツェル』で第33回山本周五郎賞候補に選ばれる。2021年『黒鳥の湖』がWOWOWでテレビドラマ化。著書には他に『熟れた月』『骨を弔う』『羊は安らかに草を食み』『子供は怖い夢を見る』『月の光の届く距離』『夢伝い』『ドラゴンズ・タン』などがある。

「2023年 『逆転のバラッド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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