陰陽ノ京 巻の三 (電撃文庫 わ 4-6)

著者 :
  • メディアワークス
3.72
  • (45)
  • (34)
  • (90)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 341
感想 : 23
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840220989

作品紹介・あらすじ

龍神の血を引く外法師-弓削鷹晃。彼はある夜、人のいるはずのない山中で吸い寄せられるように一人の老法師と出会う。それが運命の邂逅であるとも気づかずに…。一方、恵みと破壊を招く長雨は愛宕山中の石にひとつの変化をもたらした。それは、かつて陰陽寮が苦心の末、総動員で封じた化け百足を封じた要石であった…!幾多の運命が交錯する平安の京に、最大の危機が訪れる-!第七回電撃ゲーム小説大賞金賞受賞シリーズ第三弾。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 化けムカデ退治の巻。
    ある意味オーソドックスな筋立てといえます。 だってほらやっぱり、陰陽師といったら化け物退治!(←偏見です)
    平安時代は、夜は暗いものだったんですよ。街灯なんてもちろんないし、夜歩きの際には牛飼い童が掲げる松明の炎と月明かりが頼りだったわけで。光の届かないところにはどんな化生が潜んでいるか知れない。そんな怖さがあったわけです。魑魅魍魎が跋扈し、百鬼夜行がまかり通る、そんな時代だからこそ、陰陽師が活躍できるのですが。
    なんだかずれましたが、化け物退治です。一口に化けムカデといっても、半端じゃない大きさです。幅は道幅、丈は一町。そんな化け物に追いかけられるなんて、たとえ夢でもぞっとしません。
    それを、陰陽寮が迎え撃つのですが、寮に属していない主人公も助太刀を申し出、参加します。
    人に作られた化けムカデ。望んで化けたわけでもあるまいに、狩られる身を同情するのではないか…と、周囲に非常に懸念される主人公です。 けれど狩らねばその身に持つ毒で山や土を汚し、人が食われるとあらば放っておくこともできません。 そして明らかに害のある化生を相手に、京の人々の安全を秤にかければ、導き出される結論はひとつで。迷う心を持ちながらも迷わずに殺す決意はもてるのです。
    たとえば大切な人がいて、絶対に守りたいと思えば、殺さずにすまぬこともある。そういう時代でもあったのです。現代は恵まれていると思いました。
    見所は最後です。 化けムカデ退治の折に実家が壊れてしまった彼女が、主人公の庵に置いてくれと言い出すのです。しかも、自覚なしです。(笑)
    彼女的には、(主人公を好いていながら)友達の家に「泊めて♪」と言っている感覚なのです。さてこのふたりもどうなることやら。(むしろ子供たちのほうが、発展しそうですねー/笑←いや、もちろん今すぐじゃないですけど。将来的に)

  • 平安時代の陰陽師の有力家系・賀茂氏に連なる慶滋保胤を主人公とした伝奇ファンタジー第三巻。愛宕山に封じた化け百足と陰陽寮の戦いを、弓削鷹晃生誕の秘密を絡めながら描く。

    またしても主人公?保胤の影は薄く今回もやるぞやるぞ詐欺で終わってしまった。。。鷹晃とゲストの関係は序盤で容易に想像がついた通りだったので、メロドラマ展開で行くのかと思いきや、きわめてあっさりと処理された感じ。百足との決着も前巻までと同様あっさりとしたもので、もう少しあってもいいかなと思う反面、変にコテコテさせるよりは、さりげなくいい話で終わらせるこのテイストが、このシリーズとしては正解かもしれない。

  • 愛宕の山に住む弓削鷹晃が、夜中に吹く笛の音を、そっと聞いている一人の老人がいました。彼の名は蘇芳(すおう)といい、龍神でありながら夕凪という人間の娘と交わって子をもうけたために穢れを身に受け、その命の尽きる時が近づいていました。

    一方、京の都は激しい雷雨に襲われていました。そして運が悪いことに、3年前に化け百足を封じた要石が破壊され、化け百足が解き放たれてしまいます。復活した化け百足は、龍神の気配をたどって蘇芳のもとに姿を現わします。蘇芳を助けようと鷹晃が駆けつけますが、百足の毒にやられてしまい、天狗の黒石・白石によって辛うじて助け出されます。

    化け百足が復活したという報せを受けた晴明たちは、さっそく対策を立て、化け百足を桂川へ誘導しようとします。ところが、陰陽寮に保護されている蘇芳が意識を取り戻すと、その気配を察知した化け百足は京へと進路を変えます。化け百足がやってくることを知った蘇芳は、鷹晃を守るため、龍へと姿を変えて化け百足に立ち向かいます。

    今回は、鷹晃が龍神に化身する理由が明かされる物語です。とはいうものの、化け百足のインパクトが強すぎて、そちらの印象ばかりが残っています。

  • シリーズ最高傑作だと思います。

  • 初っ端から話の流れが読める上に、陰陽道としてはあっけなく仕事が終わってしまって、何やら宙ぶらりんの体になるのだけれど、それでも蘇芳の生き方を読者のみが知るからでしょうか、強く残るものがある。もともとなかったものに対して感情を持つことができたというのは、新しい感情を生むことにもなり、今後の鷹晃にも影響を与えたのではないかと。
    また外伝が出ている賀茂光榮と住吉兼良も出て来ており、外伝を先に読んでしまった身としては、土台はここでできていたのかと感心しながら読ませて戴いた。

  • シリーズ第三弾。
    龍神との混血であり、笛をこよなく愛する弓削鷹晃。
    その笛の音にひっそりと聞き入る老法師:蘇芳。
    その二人を直接対面させる事になったのが化け百足。
    体中が毒だから、退治すれば山にも都にも害を為す。
    だから封じるしかない。
    陰陽寮の術師達は化け百足を封じる事ができるのか?
    いやぁ~化け百足が現れた理由ってのがねぇ~
    これが本当の因果応報?
    蘇芳の決断が切なくて切なくて・・・いい話でした。

  • *2010.4 *2012.12

  • 2011年3月 読了

  •  人の巡り合わせの不思議。
    あと、みんな優しい。優しすぎる

全23件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

第7回電撃ゲーム小説大賞<金賞>受賞。「陰陽ノ京」「輪環の魔導師」(電撃文庫)ほか。

「2019年 『妖姫ノ夜 月下ニ契リテ幽世ヲ駆ケル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

渡瀬草一郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×