粉粒体の物理学 原著修訂版: 砂と粉と粒子の世界への誘い (物理学叢書 89)
- 吉岡書店 (2002年6月1日発売)
本棚登録 : 16人
感想 : 1件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
- / ISBN・EAN: 9784842703008
感想・レビュー・書評
-
地球物理学において中心的な役割を果たす「粉粒体」のふるまいや性質について紹介された本である。粉粒体とは、砂や米粒のような粒のことであり、工業や農業など幅広い分野で用いられるほか、私たちの身の回りにも数多く存在しているものである。例えば、米粒や砂糖などをろうとを使って別の容器に移す際に途中で米粒や砂糖が下から出てこなくなってしまった経験はないだろうか。この現象はこの粉粒体の性質によるものである。粉粒体が下へ流れる際に粉粒体の流れに不連続が生じることや、ろうとの出口付近でアーチ構造を作り安定した構造をとることで下へ落ちなくなるためであると考えられている。他にも、とうもろこしなどの乾いた穀物が大量に貯蔵されている容器内では、穀物同士の間に静電的な作用が働き、穀物が表面電荷をもつことによって容器内でガス爆発を起こす危険性があるということも考えられている。このように、粉粒体は身近にあるものなので、本書で紹介されている粉粒体の性質について身近なものや出来事を想像しながら理解を深めることができるというのが1 番の魅力である。粉粒体1 つ1 つがお互いにもたらす作用の関係性や流体中の粉粒体のふるまい、雪崩のモデルなど、粉粒体によって起こる様々な現象がつまった1冊となっている。 (地球惑星科学コース 4年)
詳細をみるコメント0件をすべて表示
全1件中 1 - 1件を表示