具体と抽象

著者 :
  • dZERO(インプレス)
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感想 : 52
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784844376576

作品紹介・あらすじ

永遠にかみ合わない議論、罵り合う人と人。その根底にある「具体=わかりやすさ」の弊害と「抽象=知性」の危機。具体と抽象の往復思考で見えてくる対立の構造と知性のありようとは?

感想・レビュー・書評

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  • 私はこれまで、職場や所属する団体をたくさん渡り歩いてきました。その度に人間関係をゼロから作るのですが、どうにも上手くいかない馴染めない集団や、話の噛み合わない相手がいます。その度に、自身のコミュニケーション能力のなさが故かと落ち込んだものですが、この本を読んで光が差しました。立ち位置が違うと、見える景色が違う。だから自分の見える景色を話しても通じないんだな。自分の経験と照らし合わせて、すごくスッキリしました。今後、どうしていくかは、これから考えます。

  • 例え話がうまくできるようになりたい
    具体と抽象の役割を初めて知った
    おばあちゃんからの電話に対する
    小さい子供の返答(具体的すぎ)と
    大人の返答(相手がすんなり理解できる抽象度)
    の例がなるほどと思う。

  • メモの魔力でおすすめされていて気になってた!抽象化に市民権をというテーマ。最後は抽象と具体のどちらも必要、行き来がいるよと。

    表紙に書いているとおり、読んだ後は世界の味方が変わるかも。人との会話のとき、相手と自分の視点が、本に書かれていた具体と抽象の三角形のどこに位置しているかを気にしたら、噛み合わなさの理由がわかるかも。

    最後、国語と数学が抽象化の学びとしての意義を書いていたのが新鮮だった。そんな風に捉えられるのね、と。抽象化されたルールを使って具体的な答えを出してく、そんな例としてあるのか。

  • 考え方に関する本。

    一般に、抽象的=分かりづらい ⇔ 具体的=分かりやすい、という対比で捉えられがちだが、具体と抽象の構造を的確に捉え、役割を理解すれば、もっと議論や前に進む、抽象を毛嫌いしないようにしようよ、という提言がなされている。

    ある視点に立てば、具体は抽象になり、また別の視点に立てば抽象は具体になる。例えば、やり取りがなぜかかみ合わないのは、それぞれの説明力や情報量の問題ではなく、この「どの視点に立っているのか」の共有が曖昧だから引き起こる悲劇。

    これは、プランニング的にいうと、戦略と戦術の話に似ている。お客様への提案が外れたとき、それはきっと見ている世界が違った。プランナーとして、お客様の見ている世界にどこまで迫れるか、そしてそれを踏まえてどこまで超えられるかが肝となのでしょうね。

    そんなことを示唆してくれる本でした。

  • 具体と抽象を読み取っていくことが説明文を理解する上で重要になってくることを学んだ。
    そして、この本に出会った。うん。難しい。でも、それをできるだけわかりやすくしてあるのもわかった。どちらかだけではダメだということも。

  • 具体と抽象、その言葉はコンサルタント時代に何十回も話にあがりました。
    どうすれば抽象化できるか?という行き来の方法というよりかは、
    具体と抽象が存在することでの難しさ(コミュニケーションなど)、それぞれの利点、扱い方などを書いていました。

    これを読んですぐに抽象化ができた!とはならないと思いますが、向き合い方、捉え方を学ぶことができると思います。

    私も以前、経営者同士の話は、何を言ってるのかまったく理解できないけど、お互いに共感し合ってる様をよく見ていました。単語の意味はわかっても文章としてなかなか理解できない。これはまさに、私が具体の世界で生き、経営者は抽象化の世界で話をしているため、それが起きてるのだと理解しました。

    この本の感想を抽象と具体で書くのを意識しましたが、行き来するのはやはり難しいなと思いました。

  • 著者の経験の中で感じた、具体に囚われたままの人と仕事をする苦労が滲み出ているようでした笑
    教養としても、仕事のコミュニケーションでもたいへん使える内容でした。話が噛み合わないときはもちろん、自分の思考整理の中でも、今が抽象と具体のどれくらいの階層にいるのか考えることができる、良い知見を獲得できました

  • 具体と抽象の反復が大事ということについて、4コマ漫画を多く入れながらコンパクトにまとめてあり、読みやすい本である。
    内容について本質をじっくり理解するのは難しいかもしれないが、抽象というテーマを具体的に紹介しているためわかりやすい。
    これを何度か読むことで、同様の本を読むための入り口としては大変優れている。

  • 具体と抽象を行ったり来たりする、というのを常日頃やってるつもりだが、きちんと学ぼうと思って図書館で借りた。一度予約して取りに行けずまた1年くらいかけて借りた。それだけ有名で人気な本。

    以下メモ。
    ⚫︎わかりやすさ、が求められるのは社会や組織が成熟期に入ってから顕著。具体的でわかりやすい表現が求められる。
    ⚫︎抽象の世界は具体の世界と違い、見えている人にしか見えない。見えてしまった人が、まだ見えてない人とコミュニケーションするのは一苦労どころの話ではなく、まともに意思疎通することはほとんど不可能。
    ⚫︎具体=善、抽象=悪はとんでもない誤解。
    ⚫︎抽象化を制するものは思考を制す
    ⚫︎具体は、直接目に見える。実態と直結。個別対応。解釈の自由度が低い。応用が利かない。実務家の世界。
    ⚫︎抽象は、直接目に見えない。実体とは一見乖離。分類してまとめて対応。解釈の自由度が高い。応用が利く。学者の世界。
    ⚫︎抽象化は理学。具体化は工学。徹底的に抽象度を高めたものが数学と哲学。
    ⚫︎斬新な製品や革新的な仕組みを作るときには「多数の意見を聞く」ことは適さない。多数の意見はそれぞれの具体レベルに引きずられて、今の延長の議論しかできなくなる。今あるものを改善していく、なら、多数の意見を吸い上げることが必要。
    ⚫︎話がコロコロ変わる。と思われてる人がいても、聞いている側に問題がある場合が多い。具体レベルでしか相手の言うことをとらえていないと、少しでも言うことが変わっただけで「心変わりした」と捉えられてしまう。実際は方針が一貫している可能性もある。
    ⚫︎グローバルな人材が必要だと言う抽象的なメッセージに対して、英会話学校の人は「だから英語を学ばないと」。国際化担当の人なら「だから海外との交流が必要だ」。伝統芸能に関わる人なら「だからこそ日本のことをよく知らなければならない」と解釈する。
    ⚫︎上流では個性が重要視されて「いかに尖らせるか」が重要なため、多数決による意思決定は馴染まない。
    ⚫︎組織の職場環境は下流の考えに最適化されていることが多い。仕事の量も人数も多く万人にわかりやすいものが求められてしまう。抽象度の高い仕事は赤ペン添削では治すことができない。
    ⚫︎具体レベルでしか考えられない人は、かいつまんで話せ、と言われるとゲームオーバーになる。不快になる。目に見える事象は全て重要であり切り捨てると言うことは不謹慎以外の何者でもない。

  • 読もうと思って時期を逸していたモノですが、2020年にヒットとなった「問題発見力を鍛える」と共に、内容が薄くて非常にガッカリ。この著書の本は字が大きく、薄い本なのに価格が高く、なぜだろうと思い、読んで更に失望することが続いています。相当に売れていますので自分の理解不足と偏見かもしれません。

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著者プロフィール

細谷功(ほそや・いさお):1964年生まれ。ビジネスコンサルタント、著述家。問題発見・解決や思考力に関する講演や研修を国内外で実施。『仕事に生かす地頭力』(ちくま文庫)、『地頭力を鍛える』『アナロジー思考』(共に東洋経済新報社)、『具体と抽象』(dZERO)、『思考力の地図』(KADOKAWA)等著書多数。

「2023年 『やわらかい頭の作り方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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