解雇最前線 PIP襲来

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  • 旬報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845112906

作品紹介・あらすじ

解雇への片道きっぷといわれるPIPという新しい解雇手法の実態を明らかにし、その解決方法を示す。

感想・レビュー・書評

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  • 解雇のためには、あらゆる戦略を企業は打っているが、その策は労働基準法違反である。

    これは、日本の労働基準があまりに厳格なせいなのだろうか、それとも今年度過去最高の内部留保をためこんだ日本企業の独善的な行動によるものだろうか。

  • 自分用キーワード
    PIP(Performance Inprovement Plan,業績改善計画) 職能資格制度 株式会社パイオニアの退職勧奨(1993) 意義留保 職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議 リコーグループ解雇問題(2011) キャリアデザイン部署の作成 金子雅臣『部下を壊す上司たち』  精神障害の労災認定 産業医が退職を手引き スクリーニングによるうつ診断 全国自死遺族連絡会 PIPと精神医療業界の構造的問題 片山組判決 

  • 2014 10 9

  • 外資系だけではなく国内企業で正社員の首切りをするようになって久しいが、正社員はなかなか解雇することができないため会社を辞めざるを得なくなるようにPIPという手法で事実上クビに追い込む手法がある。その手法について事例を元に説明しており、日本の大企業で管理職になっても安泰ではなくむしろ、危険であるということを教えてくれる。PIPは通常ではとても達成できそうにない目標をたてさせられ、その目標を達成できそうにない職場に追いやり給料を下げたり、逆に激務をさせたりして精神的に追い込んでいく。その対処法が書かれている。

  • リコーはIBMの手法をコピペしたようだが、結局裁判で負けた。一方IBMはロックアウト解雇で強制的に排除したままとなっている。この違いはなんなのだろうか?ロックアウトできなかった(しなかった)日本企業のある種の甘さだろうか。
    もうちょっとPIPの内容について詳しく書かれているのかと思ったが、「リストラ・パワハラに組合活用を」といった普通の内容であった。組合活用のメリットすら知らないで追い込まれる人が多いのだろうが。

  • 本書の著者は、東京管理職ユニオンという個人加入の労組の書記長さんで、近頃退職に追い込むために使われている「PIP(業務改善計画)」と呼ばれる制度の問題を告発するものです。

    PIPとは、「業績不振とみなされた従業員に、課題を与えて、能力を向上させるという制度」です。これだけみると至極まともなもののようにも見えますが、これを退職勧奨に使う場合、課題を非常に過重なものにするなどして、到底達成不可能なものにして本人を追い詰めていく手段になってしまうのです。

    もともと、能力不足によって解雇する場合には、指導を繰り返し行なって、こんなにやったけどダメでしたと裁判で言えるようにする必要があるということが、企業側の弁護士からよく聞くことがあるので、おそらくPIPもここから派生して出てきたもののように思いますが、おそらく近い将来朝日新聞などに取り上げられることでしょう。

    今は僕も会社側の人間ですので、著者の本来の目的とは違う読み方をしているとは思いますが、長期的に考えれば、こんなことやってて会社が良くなるはずがないというのもたしかなことのように思います。

  • 私が以前勤務していた会社ではリストラを完遂して当時働いていた人の25%が会社を去りました。会社も早期退職のための割増金や再就職の斡旋をするなど協力もしていたので、決断をされた方も多くの人が次の勤務先を見つけられたように思います。

    さて、最近では以前のように「お金や手間」のかかる退職勧告のかわりに、「PIP:業績改善計画」というものが使われているそうです。導入の仕方も巧妙で、この本で具体例と共に紹介されています。

    毎年業務の計画を数値目標と共に決めて頑張るのは大事なことと思いますが、それも管理者と業務遂行者の使い方次第なのでしょうか。いろいろと考えさせられた本でした。

    以下は気になったポイントです。

    ・人間の評価は、マニュアルで簡単に評価できるものではなく、多くの仕事は数値化できない。なんでも個人の責任や評価に還元するのではなく、チームや上司が共同で責任を取ることが、改めて見直されるべき(p18)

    ・賃金と評価とは、労働基準法や労働契約法で決まっているのではなく、従業員と経営者との力関係で決まる、もちろん背景には、会社の経営状態や業界における賃金相場が影響する(p22)

    ・職務の価値に即した貢献・成果を基本とするとは、究極の目的は人件費を下げること(p27)

    ・成果主義の失敗を経て、本人の評価結果をフィードバックするしくみやコンピテンシーという評価を導入するなどの改変がされた(p31)

    ・成果や個別査定については、労働契約法に照らして様々なチェックポイントがある(p41)

    ・異議留保とは、「私は、業務命令には従います、しかし、そこで行使される労働条件の変更については納得できないので、異議を留保します」というもので、意味は「命令には従うが、納得しているわけではない」と表明すること(p46)

    ・パワーハラスメントの6類型とは、1)身体的攻撃、2)精神的攻撃、3)人間関係からの切り離し、4・5)過大・過少な要求、6)個の侵害(p49)

    2013年1月13日作成

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著者プロフィール

1896年広島県生まれ。1922年京都帝国大学を卒業し、住友銀行入社。常務取締役を経て、47年頭取就任。
55年には大阪テレビ放送㈱の取締役社長となり、大阪で最初のテレビ放送をおこなう。59年朝日放送㈱代表取締役会長。
退任後、68年㈱ホテルプラザ代表取締役社長、83年代表取締役会長に就任。長年にわたり一貫して文化の振興に尽くし、関西交響楽協会をはじめとし多くの文化団体の理事長、会長等要職をつとめ、活動を続けている。

「1984年 『なにわ塾第14巻 無我愛の生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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