夜叉ヶ池 (立東舎 乙女の本棚)

著者 :
  • 立東舎
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (96ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845638291

作品紹介・あらすじ

人気シリーズ「乙女の本棚」第29弾は、文豪・泉鏡花×イラストレーター・しきみのコラボレーション!
戯曲としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。

感想・レビュー・書評

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  • 二十五乙女読了です♪
    しんどかったぁーーー
    乙女の本棚シリーズで初の宵越しでの読了^^;
    かなさんからの励ましなくして読み終えることは無かったかと...
    かなさん、いつもありがとうございます!(´▽`)

    <あらすじ>
    泉鏡花の小説『夜叉白雪』の前編で、1913年に発表された作品です。

    明治後期、鹿見村というところに、物語を探し求めていた学者の萩原晃がやってきます。そこには、夜叉ヶ池という池があり、その池には竜神が封じ込められているという伝説があります。竜神は人間との約束として、毎日三度鐘を鳴らすことを条件に、池から出ないと誓ったのです。萩原は、鐘を撞く役目を引き継いだ老人と出会いますが、その老人は突然死んでしまいます。老人の遺言により、萩原は鐘を撞く役目を引き受けます。その際、老人の姪である美しい女性・百合と結婚します。

    一方、夜叉ヶ池の竜神・白雪は、剣ヶ峰の千蛇ヶ池にいる若旦那に恋をしていますが、人間との約束を守るために池を離れることができません。ある日、白雪は若旦那の声を聞いて、池から飛び出してしまいます。しかし、その声は白雪を罠にはめるために仕掛けられたものでした。白雪は若旦那に裏切られて、人間に捕らえられてしまいます。

    二年後、萩原の友人である学者・山沢学円が、夜叉ヶ池の伝説を調べに鹿見村にやってきます。山沢は、萩原と百合と再会しますが、村人たちからは鐘を撞くことを馬鹿にされます。村人たちは、雨乞いのために百合を生贄にしようと企みます。萩原と山沢は夜叉ヶ池に向かいますが、その間に百合は村人たちに連れ去られてしまいます。萩原は駆けつけますが、百合は自ら命を絶ってしまいます。萩原も百合に続きますが、そのとき鐘の音が途絶えます。鐘を撞く者がいなくなったため、夜叉ヶ池の水があふれ出して、村は洪水に襲われてしまいます。

    人気シリーズ「乙女の本棚」第29弾は、文豪・泉鏡花×イラストレーター・しきみのコラボレーション!
    戯曲としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。

    人の生命のどうなろうと、それを私が知る事か!
    ……恋には我身の生命も要らぬ。

    竜神が住むといわれる夜叉ヶ池。1日3回鐘を撞かなければ、池から津波が起こり、村は水の底に沈んでしまうという言い伝えがあった。

    泉鏡花の名作が、有名ゲームのキャラクターデザインなどで知られ、本シリーズでは萩原朔太郎『猫町』、『詩集『青猫』より』、江戸川乱歩『押絵と旅する男』、夏目漱石『夢十夜』、坂口安吾『桜の森の満開の下』、谷崎潤一郎『魔術師』を担当する大人気イラストレーター・しきみによって描かれる。
    名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。
    自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。

    著者について

    泉鏡花
    明治6年(1873年)石川県生まれ。尾崎紅葉に師事。1895年に「夜行巡査」「外科室」を発表して話題となる。その他の代表作に「高野聖」「歌行燈」など。金沢市にある生家跡は、現在泉鏡花記念館となっている。「乙女の本棚」シリーズでは本作のほかに、『外科室』(泉鏡花+ホノジロトヲジ)がある。

    しきみ
    イラストレーター。東京都在住。『刀剣乱舞』など、有名オンラインゲームのキャラクターデザインのほか、多くの書籍の装画やファッションブランドとのコラボレーションを手がけている。著書に『悪魔』、『詩集『青猫』より』、『魔術師』、『桜の森の満開の下』、『夢十夜』、『押絵と旅する男』、『猫町』、『獏の国』がある。

    • かなさん
      ヒボさんも私も頑張りましたよねぇ(^O^)/って、
      私も含めてるところがポイントです!!
      ホント、読みにくくって大変でした…
      これ、乙...
      ヒボさんも私も頑張りましたよねぇ(^O^)/って、
      私も含めてるところがポイントです!!
      ホント、読みにくくって大変でした…
      これ、乙女の本棚でしょ??って思いながら(汗)
      でも最後まで読むと、
      あぁ…スゴイ、内容なんじゃん!!って…

      あと私は「黒猫」が図書館にまだ入ってないし、
      これから「恋愛論」が発売されるようです。
      坂口安吾さんとしきみさんのコラボ作品で
      12月15日が発売日、そちらも楽しみですね(*^-^*)
      2023/11/05
  •  乙女の本棚シリーズから、泉鏡花さんとしきみさんのコラボ作品「夜叉ヶ池」です。しきみさんのイラストは、「夜叉ヶ池」らしく青緑を基調としたもので雰囲気出てます。が…戯曲??何??しかも、今回も難しい…ってところから(^-^;)

     竜神が住むといわれる夜叉ヶ池。1日3回鐘を撞かなければ、池から津波が起こり、村は水の底に沈んでしまうという言い伝えがあった…それを守るのが萩原晃・百合夫婦だった。一方その言い伝えがあるために剣ヶ峰に行けない夜叉ケ池に住む白雪姫…この2つの恋の行方を戯曲で表現しているのがこの作品…でいいかな(汗)。

     ラストがまた息をのむ展開で…さすが泉鏡花さんです!!難しい…読めるかなぁ…と思わせておいて、気が付くとこの世界に引きずり込まれてしまったような…そんな感じなんです。深い深い作品でした。

    • かなさん
      ヒボさん、お疲れさまでした( ^^) _旦~~

      私もホント、ナニコレ??でしたもん(汗)
      でも、頑張って読んでみると
      結構すごいス...
      ヒボさん、お疲れさまでした( ^^) _旦~~

      私もホント、ナニコレ??でしたもん(汗)
      でも、頑張って読んでみると
      結構すごいストーリーだったなぁ~って思ったんです♪
      ヒボさんのレビューも、
      ちゃーんと、読みに行きますね(^O^)/
      2023/11/05
    • ヒボさん
      かなさん、しんどかったぁ...
      続編あるんですって...
      (> <。)
      かなさん、しんどかったぁ...
      続編あるんですって...
      (> <。)
      2023/11/05
    • かなさん
      ヒボさん、続編あるって、
      ヒボさんのレビュー読んでて、初めて知りましたぁ(・・;)
      あぁ…読みたいような、避けたいような…
      乙女の本棚...
      ヒボさん、続編あるって、
      ヒボさんのレビュー読んでて、初めて知りましたぁ(・・;)
      あぁ…読みたいような、避けたいような…
      乙女の本棚で出るのなら、チャレンジしてもいいかな…
      (って、どこまでも自分本位(^-^;)
      2023/11/05
  •  〈乙女の本棚〉シリーズ。この間、少年時代の泉鏡花を主人公にしたミステリを読んだ。連作短篇集なのだが、その作中にも登場する話なので読んでみた。

     しきみさんの絵がとても良い。今作は戯曲として書かれており、芝居も観てみたい。ちなみに夜叉ヶ池は実在し、そこに伝わる龍神伝説がベースになっているとのこと。

    https://booklog.jp/item/1/4591178730

  • ついに、とうとう、やっとこさ
    乙女(の本棚)デビューしましたぁ~!!

    いやぁ、ウチの図書館にはないんだと思って諦めてたんですが、なんとありました!!
    なぜかトイレの近くのティーンズコーナーの近くに10冊ほどまとまってた。
    最近トイレ使ってなかったからなぁ、気づかんかった。

    で、適当に2冊借りてきたうちの1冊。

    ……戯曲でした。

    ま、いいんだけどね。

    なんか台本みたいだし、泉鏡花さんのはそもそも言葉遣いが難しいわ。



    三国岳の麓の里に、暮六つの鐘きこゆ。――幕を開く。
    萩原晃この時白髪のつくり、鐘楼の上に立ちて夕陽を望みつつあり、鐘楼は柱に蔦からまり、高き石段に苔蒸し、棟には草生ゆ。見やがて徐に段を下りて、清水に米を磨ぐお百合の背後に行く。

    晃 水は、美しい。いつ見ても……美しいな。

    百合 ええ。
     その水の岸に菖蒲ありニ三輪小さき花咲く。

    晃 綺麗な水だよ。(微笑む。)

    百合 (白髪の鬢に手を当てて)でも、白いのでございますもの。

    晃 そりゃ、米を磨いでいるからさ。……(框の縁に腰を掛く)お勝手働き御苦労、せっかくのお手を水仕事で台なしは恐多い、ちとお手伝いと行こうかな。

    百合 可うございますよ。
       

    こんな感じです。
    ルビふってあるからなんとか読めるは読めるが分かりづらい。
    そこんとこをうまいことイラストが補完してくれてるのがありがたい。

    内容は……、日本昔話にでも出てきそうな話でした。

    今後も立派な乙女になるべく精進いたしますとも!!

    • ひろさん
      ついにデビューされたのですね"(ノ*>∀<)ノオメデトー!!
      どんちゃんがタイミング見計らって借りている姿を想像したら、なんだか微笑ましく...
      ついにデビューされたのですね"(ノ*>∀<)ノオメデトー!!
      どんちゃんがタイミング見計らって借りている姿を想像したら、なんだか微笑ましくなってしまいました♪
      私も借りるの恥ずかしいときがあって、セルフ貸出機でささっと済ませることがあります(*^^*)
      2024/03/24
    • 土瓶さん
      ひろさん、ありがとう(⁠>⁠▽⁠<⁠)⁠ノ
      セルフって、そんな文明の利器があんのぉー?
      いいなぁ~。
      ちょうだい(笑)
      ひろさん、ありがとう(⁠>⁠▽⁠<⁠)⁠ノ
      セルフって、そんな文明の利器があんのぉー?
      いいなぁ~。
      ちょうだい(笑)
      2024/03/24
    • 土瓶さん
      いや、だって、ひまわりめろんさん。
      この表紙だよー。
      乙女の本棚シリーズだよ。
      そりゃあ恥ずいよぉー(//∇//)
      借りるときは重ねて一番下...
      いや、だって、ひまわりめろんさん。
      この表紙だよー。
      乙女の本棚シリーズだよ。
      そりゃあ恥ずいよぉー(//∇//)
      借りるときは重ねて一番下にして、受付に出したあとは後ろ向いて別の本棚を見ていました。
      逆にエロ系の方が平気。全然平気。
      むしろおねーさんのときを狙っていくぐらい平気(笑)
      って、そもそも図書館にエロ系ないやん。
      2024/03/24
  • 泉鏡花とイラストレーター・しきみ氏のコラボ作品。今回は、怪異戯曲という感じのつくりで、わりあい読みやすかった。しかし登場人物が多過ぎて、話の筋を追うのに少々苦労した。

    • かなさん
      借買無 乱読さん、こんばんは!
      私はこの作品読んだとき、
      難しい…って思いました(^-^;
      で、おっしゃる通り、登場人物が多いですもん...
      借買無 乱読さん、こんばんは!
      私はこの作品読んだとき、
      難しい…って思いました(^-^;
      で、おっしゃる通り、登場人物が多いですもんね…。
      私もちゃんと理解して読めたのか、怪しいです。
      だから、主要な登場人物に絞って読んじゃいました。
      2023/08/06
  • 夜叉ヶ池には龍神が封じ込められている。自由を求める龍神は、遠い昔に人と約定を交わした。麓の鐘を必ず日に三度、撞き鳴らすこと。一度でも忘れたら、夜叉ヶ池から津波が起こり、村も里も水底に沈むであろう。

    文学士で僧の山沢学円は越前琴弾谷で旧友の萩原晃に再会する。晃は、妻の百合と共に鐘楼守をしていた。
    夜叉ヶ池の主•白雪は、白山千蛇ヶ池の主が思い人で、会いたくてたまらない。

    "義理も仁義も心得て、長生きしたくば勝手におし。…生命のために恋は棄てない"

    しかし、家を留守にした晃を慕い歌う百合の子守唄を聞いて約定を思い出す。
    折しも旱魃続きの夏。村の人々は、夜叉ヶ池の雨乞いに、村一番の美女の百合を人身御供にしようとする…

    再読。
    突然思い立ったのは、やはり元旦の地震があったから。被災された方々の話を聞くといたたまれない思いが募る。僧の学円はこの地に多い本願寺派の僧侶。宗門とは何かを考える中で、この作品がまた読みたくなっていた所だった。
    この立東舎のシリーズは、近代文学の短編を、最新のデジタルアート系のイラストで飾っていてなかなか美麗な装丁。とても良い取り組みだと思います。

  • keeggy
    https://keeggy.com

    夜叉ヶ池 乙女の本棚 | 立東舎
    http://rittorsha.jp/s/otome/3720317442.html

    夜叉ヶ池(乙女の本棚29) | 立東舎
    http://rittorsha.jp/items/29.html

  • 池に住まう竜神とふもとの村の約束
    一日三回、鐘をついて池のものをなぐさめる

    時はたち、今鐘をつく役目の男とその妻は仲睦まじく暮らしている

    池に住む姫と人ならぬ者たちは約束を守りつつおもしろおかしく過ごしている

    だが姫は剣ヶ峰の恋人のもとにゆきたい
    だが、ひとたび池を出れば水が村をおそう
    村人たちは約束を忘れかけている、こちらが約束を破ってはいけない、もうしばらくお待ちをとなだめられ、鐘守夫婦を妬ましくうらやましくながめている

    日照りが長く続いたある日、村人たちは美しい鐘守の妻を雨乞いの犠牲にしようと押しかけてきた。

    〇演劇の脚本、読み慣れていないのてちょっと難しかった
    〇池のナマズ、鯉、蟹トリオが面白い

  • 知らなかったから無意識なのだが、似たような話を続けて読んだのは……これもシンクロニシティというのだろうか。

    きれいなイラストではあるのだが、この物語には現代的すぎる気がする。

    結末は、正直いい気味である。約束を守る、池に棲む姫と鐘撞守夫婦の対極にいる、こういう村人みたいな集団はほんとに嫌い。もっともらしい顔した宗教者や教育者がいるのが情けないし、虫唾が走る。

  • 幻想的かつ涼やかな印象で、夏に読もうと思っていたらぴったりだった。
    越前にある「夜叉ヶ池」には、水害をもたらす竜神が封じ込められているという言い伝えがあった。そしてその竜神を鎮めておくためには、日に三度の鐘を鳴らし続けなければならず、今では土地に移り住んだ若夫婦がその役目を担っていた。
    しかし未曾有の日照りがつづいていたとある夜、旧友と再会した夫が、夜叉ヶ池を案内しようと留守にしたところ、妻の百合を雨乞いの生贄にしようと企んだ町の者が捕らえにやってきて——

    という戯曲。竜神こと夜叉ヶ池の主人は、白雪姫という名のキュートなプリンセス。好きな人がいるのに、封じ込められているせいで会いにゆけず日々鬱憤をためこんでいる。強行突破しようとするやいなや家臣(魚である)たちが必死に引き留める様子がおもしろい。
    竜神だって恋する乙女なんである。「生命のために恋は棄てない。お退き、お退き。」が痺れる。
    そんな押し問答をしているところに、留守番中の百合の歌声が響いてくるのだが、百合もまた恋しい人(夫)の帰りを待ってさみしい思いをしていることを知った白雪姫が、
    「この家の二人は、嫉しいが、羨ましい。」
    と、自分にとっては憎き存在でありながらも理解を示すところが彼女のキュートさをより際立たせる。
    ラストにかけての展開もドラマチックでとても面白かった。
    イラストレーターのしきみさんによる、最後の見開きカットでの穏やかな笑顔の三人がとても素敵だった。

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著者プロフィール

1873(明治6)年〜1939(昭和14)年)、小説家。石川県金沢市下新町出身。
15歳のとき、尾崎紅葉『二人比丘尼色懺悔』に衝撃を受け、17歳で師事。
1893年、京都日出新聞にてデビュー作『冠弥左衛門』を連載。
1894年、父が逝去したことで経済的援助がなくなり、文筆一本で生計を立てる決意をし、『予備兵』『義血侠血』などを執筆。1895年に『夜行巡査』と『外科室』を発表。
脚気を患いながらも精力的に執筆を続け、小説『高野聖』(1900年)、『草迷宮』(1908年)、『由縁の女』(1919年)や戯曲『夜叉ヶ池』(1913年)、『天守物語』(1917年)など、数々の名作を残す。1939年9月、癌性肺腫瘍のため逝去。

「2023年 『処方秘箋  泉 鏡花 幻妖美譚傑作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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