- Amazon.co.jp ・マンガ (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784845861101
作品紹介・あらすじ
池波正太郎の傑作小説を時代劇画の名手が完全劇画化! 天下の大盗賊と火盗改メの攻防を描く圧巻の本格時代劇、待望の最新刊!
感想・レビュー・書評
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雲霧一党が次に狙うのは尾張・名古屋の大店「好蘭堂」。
しかし、仕込みに入った お千代と三坪の伝次郎との不和、お松の山猫の三次への不信感、大所帯なった一党に不安を抱く仁左衛門と小頭 木鼠の吉五郎。
一党の結束に目に見えぬ小さな綻びが出来始めているのだろうか?
特に目に付くのが、雲霧を裏切り密偵となった鹿伏の留次郎を捕らえて色々と聞き出すどころかその場で始末させたり、伝次郎との不和ヘの腹いせか仁左衛門に会えぬ憂さ晴らしからか六之助を誘惑する お千代の行動。
他の手下達は仁左衛門の頭としての力量、人間性に惚れ込んで従っているが、お千代は仁左衛門を一人の「男」として見ており愛する「男」の為に尽くしているように見える。
この お千代の仁左衛門に対する想いが一党の危機に繋がらなければいいのだが......
(前にも書いたが原作は未読)
この4巻で個人的に二ヶ所印象的な所があった。
一つ目は留次郎が生前、岡っ引きの源蔵に金がらみではなく自分を一人の人間として対等に接してくれる火盗改メ同心 高瀬為に働きたいと話していた事が判る場面。
二つ目は六之助が吉五郎を「流石は雲霧の軍師と呼ばれる木鼠の小頭だ」と言ったのに対し「盗人風情に軍師も君子もあるものか...」と言う場面である。
一は同心と密偵、言わば使う者と使われる者でありながら信頼と信用で結ばれた身分、立場を越えた関係がいい。
無理だと判ってはいるが崗田屋愉一による本筋とは別の外伝として高瀬と留次郎二人を主人公にした捕物帖的作品を読んでみたいものである。
ニは義賊と言われても所詮は盗人、悪党と身の程をわきまえた吉五郎の台詞にぐっとくる。
この主人公以外の人物達にも見せ場があるのも この作品の見所の一つでもある。
次巻では新たな登場人物も加わり更に加速していく物語。
嗚呼、続きが待ち遠しい。詳細をみるコメント0件をすべて表示