クリティカル・ワード 文学理論 読み方を学び文学と出会いなおす

  • フィルムアート社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845919321

感想・レビュー・書評

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  • 作者個人の思考や感情の投影として生まれる「文学作品」に、読者の勝手とはいえ、社会・歴史的背景を読み込んで何らかの意義を見出そうとするのは結局作者の意図を離れた後付けでは?文学作品を純粋に楽しんでいると言えるのか?など考えることも最近多かったが、この本の前半を読んで理論に触れてみて合点がいった。文学の読み方自体あまりよくわかってなかったと反省。。

    後半は各論になっていて、「ジェンダー×文学」「環境問題×文学」「精神分析×文学」のように今流行りの題目から西洋哲学の血を引く定番トピックまで、各ジャンルで文学との関わりがまとまっていて取っ付きやすかったが、用語解説の形を終始とるのでちょっと読みにくい感はあった。でも色んな考え方の目録として見返そうと思った。

  • クリティカル・ワード 文学理論』三原芳秋・渡邊英理・鵜戸聡編、2020年、フィルムアート社

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    今年1冊目の日本語の本。

    難しいけど理解不能とまではいかない、適度な難易度で面白く読めた。

    特にクィア理論に関する部分は3回くらい読み直した。「再生産的未来主義」や「パフォーマティヴィズム」という概念のおかげで一気に視界が開けたような気持ちなので、バトラーなどの著作も読むことを春休みの自主課題としたい。

  • 装画=カワイハルナさん、装丁=大倉真一郎さん

    ジャケ買いしました。
    カワイハルナさんは、今僕が注目している人であり(ていうか順調に売れ出してる)、それ以前に好きな作風のイラストレーターでもあります。
     そのイラストが文学理論というテーマに合っているのか、説明はし難いですが、カワイハルナさんの作風は、20世紀以降のいくつかの芸術作品を幅広く参照し、自由に取り込み混ぜ合わせたような印象を受けます。ちょっと推察しただけでも、カンディンスキー、ミロ、キリコ、デュシャン、エッシャー等々の影響を察せられます。そうした豊富な知識を基にしていますが、しかし定着は一見明るく可愛らしくも感じます。その点で、カワイハルナさんの絵は、文学理論を初心者にも受け入れられるよう、分かりやすく解説する本書の趣旨には良く合っている気がします。

  • 僕には早かったです。難しい本でした。
    ただ「文学」が何かわかってなかった(なんか小説とか読むやつだと思っていた)自分にとって、新しい世界を見せてくれた、地図のような本でした。
    僕が批評できるようなシロモノでは無いと思いますが、良書だと思います。

  •  前半部と後半部に別れていて、前半部は比較的わかりやすい。というのも従来の馴染み親しんだ文学理論のおさらいのように読めるから。
     後半部がそうは行かない。環境批評であるとか、全くもって興味関心が湧かないものを読んでいるのは辛かった。一応、頭に入れておけばいつか役に立つ日が来るかも知れぬと通読はしたが、はっきり言ってげんなりした。
     ただ、まあ視野は拡がるとは思えるので人文学系の大学院に進学を予定している人、または進学した人は目次だけでも良いから読んだ方が良いかもしれない。
     しかしながら、本書冒頭にも書いてあるが文学理論の入門書、概説書は他にいくらでもあることを忘れずに。本書でなきゃ駄目、というわけではない。

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著者プロフィール

1974年生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科教授。東京大学修士、コーネル大学博士(英文学)。東京大学助手、お茶の水女子大学講師、同志社大学准教授をへて現職。英文学(おもに詩)および文学理論を専攻。編訳書にゴウリ・ヴィシュワナータン『異議申し立てとしての宗教』(みすず書房、2018年)、共訳書にエドワード・W・サイード『故国喪失についての省察 1』(みすず書房、2006年)、共編著に『クリティカル・ワード 文学理論』(フィルムアート社、2020年)。主要論文に、「〈宗教的なるもの〉の異相」(『思想』、2021年5月)、“Vico or Spinoza: An Other Way of Looking at Theory, circa 1983”, Ex-position 40 (2018)、「崔載瑞のOrder」(『사이間SAI』4 (2008))など。

「2022年 『大いなる錯乱』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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