インターネットは言葉をどう変えたか デジタル時代の〈言語〉地図

  • フィルムアート社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845920280

作品紹介・あらすじ

顔文字、絵文字、アスキーアート、
スラング、ミーム……

気鋭の〈インターネット言語学者〉が
軽妙な語り口で紡ぐ、
言葉とコミュニケーションの現在地!


本書は気鋭の〈インターネット言語学者〉が鋭い分析をユーモラスに語った、デジタル時代の新たな言語学への情熱あふれたガイドブックである。

大文字の“LOL”が小文字の“lol”になる過程でどう定義や意味が変化したか、日本で生まれた絵文字がなぜ世界で市民権を得たのか、年代によって句読点の使い方が違うのはなぜか、オンライン上での会話で語尾を伸ばすのはどうしてか(「はい〜」「よろしくー」)……など、SNSやチャットなどで使われる、一見無秩序でカオティックな言葉の中にあるパターンや一定のルールをひも解き、人間の言語全般についての理解を深めていく。

また、手紙や印刷機、電話といったインターネット以前のメディアが言葉に与えた影響、方言などの共同体特有の言語とネットワークの関係、スペルチェックなどのソフトウェアがもたらす言葉の変容など、進化しつづけるテクノロジーと言語の変化との関連をさまざまな角度から紹介。

言語は人類にとって最も壮大なオープンソース・プロジェクトであり、インターネットはその言語に急速かつ興味深い方法で変化をもたらしている。オンラインコミュニティ上でおこなわれる会話は、次々に新しいスラングや専門用語を生み出し、目まぐるしいスピードで広まっていく。「弱いつながり」を多く生み出すことで言語の変化を早め、それがハッシュタグや面白動画がバズる現象にもつながっていると著者は述べる。

言葉とコミュニケーションの変容を見つめ、言語が持つしなやかな強さと柔軟さ、そしてなによりも言葉というものの面白さと興味深さを実感できる、革新的で希望にあふれた一冊!


ニューヨーク・タイムズほか米メディア各社が絶賛!

マカロックほど親しみやすい作家はいない。聡明で、気さくで、
おまけに彼女自身が誰よりも言語学の大ファンなのが伝わってくる。
――『ニューヨーク・タイムズ』

絵文字という謎の言語から、動物のミームの魅力まで、
あらゆる話題を深掘りし、デジタル時代の言語の進化をひもといている。
――『エスクァイア』

本書を読めば、インターネット上の粗野な言語が、たちまち目をみはる
ものに、そしてバグではなく価値ある仕様に思えてくるにちがいない。
――『ニューヨーク・タイムズ』

ユーモアとネコのミームがふんだんに詰まった魅力的な作品。会話の分析
から、今のわたしたちが知るメールの進化まで、幅広い話題の数々が、
本書を貴重で、面白く、楽しい本にしている。
――『サイエンス』

インターネットが言語にどんな影響を及ぼしているのかにこだわるよりも、むしろインターネット上の言語から何を学べるかに着目した一冊。
――『エコノミスト』

絵文字からGIF、「lol」や「omg」などの頭字語まで、オンライン言語が
いかにして現代のコミュニケーションの重要な一部になったのかを描き出していく。本書はまた、デジタル・コミュニケーションの進化が、今までに起きてきた言葉の用法の変化とそっくりであるということを理解するための貴重なのぞき窓でもある。
――『WIRED』

時に、インターネットが醜さと惨めさのごった煮に見えることがある。
だからこそ、インターネットには、無法な苦役だけでなく、意図的かどうかは別としてまったく新しいものを生み出す複雑な人間のシステムも存在するということを覚えておいたほうがいい。グレッチェン・マカロックは、絶えず変化するオンライン言語の探検家なのだ。
――『ELLE』

チルダが奇抜さや皮肉を表わす句読記号になったのはどうしてなのか?
わたしたちが強調のために単語内の文字を何度も繰り返すようになったのはいつからなのか? その裏話が満載の一冊だ。
――『BuzzFeed』

デジタル世界が英語をどう変貌させつつあるのかを、
熱狂的に調べ明かしている。
――『ザ・ニューヨーカー』

マカロックに感動を覚えずにいるのは難しい。
それは、彼女が誰よりも言語学を愛している魅力的な作家だから。
――『サンデー・タイムズ』

目から鱗が落ちる分析だ。
――『オブザーバー』

マカロックは、流動する世界を説得力のある形で切り取っている。
本書を読めば、言語、インターネット、そして自分自身について、
多くのことを学べるだろう。
――『フィナンシャル・タイムズ』

研ぎ澄まされた常識、巧みな解説力、心をつかむユーモアのセンス、
伝えることへの情熱。そんなグレッチェン・マカロックの洞察力あふれる説明こそが、本書に特別な魅力を与えている。
――デイヴィッド・クリスタル(言語学者)

感想・レビュー・書評

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  • いわゆる言語ではなく、ネットスラングとか絵文字の話が多いように感じた。そういったサブカルっぽい部分に興味がある人には貴重な本だと思う。

  • インターネット上での言語に関する書籍です。

    英語に関する内容が中心で、日本語に関する言及はほとんど無いので、その点は注意してください。

  • 【中央図書館リクエスト購入図書】
    ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC0996573X

  • ◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC0996573X

  • 読了まで随分と時間がかかった。
    所々つまらないところもあったが大方は興味深い

  • 2022年10月~11月期展示本です。
    最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00601369

  • 現在、インターネットはもはや実社会と対立するものではなく、インターネットなしに実社会は成立しなくなっている。英語話者のツイッターの投稿やメッセンジャーなどでのテキスト会話を題材に、リアルタイムで変化していく言葉づかいをカナダの言語学者が楽しくポジティブに考察していく。


    ひと言で言えば、本書はインターネットの普及によって21世紀に巻き起こっている〈言文一致運動〉の報告書だ。インターネット上のテキストは、書き言葉であると同時に話し言葉でもある、二つの性格を持っている。私たちは今、対面して話すときには伝わる細かなニュアンス——ジェスチャーや声のトーン、抑揚などをなんとか文字に落とし込もうと、無意識にインターネット上での新しい話し方を開拓している。しかも、この言文一致運動は権威が働きかけているのではない。若い世代ほど代謝が早く、敏感に反応する。
    私はインターネット上のやりとりというと電子メールが中心だった時期を経て、メッセンジャー、そしてSNSに足を踏み入れた世代だ。自分のPCを持つのは遅かったので、本書の用語で言うと〈正インターネット人〉の後半世代? この時期に参入した人びとは、書き言葉と話し言葉の違いをインターネット上でも意識し続けており、メール時代の書式を保っている、とマカロックは言う。自分に照らし合わせるとその通りだと思う。ツイッターはほとんど話し言葉だけど、ブクログは完全に書き言葉だ。後から見返してアチャー…と思わない文章を心がけている(笑)。
    デジタル・ネイティヴの世代は、書き言葉=フォーマルという認識自体が薄い。その代わり、ニュアンスを取りこぼさないよう、さまざまな工夫を凝らして細かな感情を伝えよう・読み取ろうとしている。本書で例に挙がるのは英語圏のやりとりだが、どこを大文字表記にするかやタイポグラフィックなルックにこだわるところは、日本でいう昔のギャル文字などと同じマインド。また、地方やコミュニティで単語の綴りが違う場合、標準的な綴りに寄るよりも、自分の所属するコミュニティ特有の綴りを強化する傾向が強いというのも面白かった。
    記号や言葉の意味も世代によって読解が違ってしまう。年長者がピリオド代わりに多用する三点リーダが、若い人には何か言いたいことを隠している、裏のメッセージがある、と受け取られてしまうという。手紙をよく書いていた世代にとっては定型文でしかない「Dear(親愛なる) ◯◯」という呼びかけは、ただの知り合いに送るには馴れ馴れしすぎると思われてしまう。書き言葉として一旦形骸化した表現が、デジタル・ネイティヴによって再び本来の意味に立ち返っている。こういうくだけた実例を、マカロック自身のくだけた語りで解説していくのが楽しい。
    そして本書は、言葉づかいが変わっていくことへのポジティブなバイブスにあふれている。自分にリプライを送ってきた相手に、大文字と小文字のニュアンスを混ぜたジョークで返事をし、「若者言葉を真剣に研究してくれてありがとう」と返されたというエピソードは、マカロックのスタンスをよく表している。ミーム画像を作ってバズった体験談や、ツイッターに生息する言語学クラスタの話などを語るマカロックは、ただの観察者になることがない。職場でも家庭でもない〈第三の場所〉としてのインターネット、という考え方も希望が持てるものだった。
    私たちは「世代ごとに言語を作り直す」のだ、「言語は人類最大のオープンソース・プロジェクトなのだ」、という言葉で本書は幕を閉じる。権威から〈正しい〉と押し付けられた言葉づかいから解放された世界。言語学者と見る世界は明るい。

  • アメリカの話なので、あまりピンと来なかった。
    日本や世界でどんなふうに変わったのか、共通点や相違点が書かれていたらよかったのに、いまいちだった。

  •  インターネットと言語学の組み合わせとか絶対おもしろいやんと思って読んだら想像の何倍も上の面白さだった。インターネットのことって授業などで体形的に学ぶというよりも、そこにあるので自分の肌感覚で知る情報が多いと思うけど学術的な観点で解説してくれていて興味深かった。
     8章から構成されており「言語と社会」という形で丁寧な議論から始まる。社会においてどのように言語が根を張っているか調べることは昔だと膨大な労力がかかっていたが今や TwiiterのTweetを中心に解析することで良質なサンプルを簡単に取得できるようになっている。(ジオタグ付きのTweetの解析で方言エリアマップまで作れる!)それが可能となっているのは、今がもっとも言葉を綴ることにコミットしている時代だから。その生活を送っているので当たり前になっているけどチャットツールとSNSだけでめっちゃ文字打ってるなと思う。日々、我々がネット上で放っている言語がどう変遷してきたかをがとにかくオモシロい。
     まずインターネットを使う人を「インターネット人」と呼び、使用開始のタイミングで分類。 それぞれのインターネットに対するアティチュード、前提条件が異なる。(初期から使用している人たちがインターネットを信仰する気持ちがあるがゆえに見知らぬ人との交流を望む一方で、後から参加した人は実社会の関係をインターネットに落とし込んでいくなど)これらが見えない状態でSNSを見ているからこそ、良い意味ではフラットだし、悪い意味ではストレスかかる部分があるのだなと再認識した。個人的には仕事とかで「この人は〇〇インターネット人だな」と心の中で分類すると楽になる部分もありそうに思えた。
     で結局何がオモシロいかといえば、インターネット上におけるタイポグラフィ、絵文字などを通じた書き言葉による感情表現の考察。メール、SNS、チャットツールなどを用いて人に書き言葉で何かを伝える場面が圧倒的に増加する中、表現がどのように変遷してきたか?またその表現が口頭の会話では何に該当するのか?など、言語学者である著者が懇切丁寧に説明してくれている。大文字、小文字、波線 (〜)、三点リーダ、顔文字、絵文字をいかに駆使してニュアンスや感情を伝えるのか?テレワーク下でメール、チャットカルチャーとなった今、一番要求されているスキルだと思う。日々感覚で書いていたものをこうやって言語化してもらえると客観視できるし、年配の方のperiodスタイルから感じる若干の怒気にも理由があると分かって良かった。特に絵文字のくだりが興味深くて感情をダイレクトに表現していると思っていたけど絵文字はジェスチャーだという主張が興味深かった。
     ハッとする例えもいくつかあり、固定電話の導入されたときとチャットツール導入はインターラプトの観点でみれば同じとか。家でもない、職場でもないサードプレイス(カフェやバー)とSNSを重ね合わせて他の客の迷惑になっている人を追い出す妥当性を説いていたり。インターネットとリアルライフが切り分けて語られることに異論を唱えていて、もはやインターネットは実生活の一部なのだという主張も上記内容からして納得できた。
     本著の最後にも書かれている、著者が一貫して言語が権威化すること、つまり辞書に載るものだけが正しいという価値観に疑問を呈している点がかっこいい。言語とインターネットの相性がいいのは言語も常に変化していくものであるからだと主張している。最高に体重が乗った文章があったので長いけど引用。
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    口調のタイポグラフィへの注目が集まった結果、標準的な句読記号の使い方が廃れるとしても、わたしはもともと独善的でエリート主義的な人々がつくった標準の衰退を喜んで受け入れるだろう。そして、仲間たちがもっと深くつながれるほうを選ぶと思う。第一、赤ペンはわたしを愛し返してくれない。句読記号の打ち方の規則に完璧に従えば、ある種の権力は手にできるかもしれないけれど、愛は手に入らない。愛は、規則のリストから生まれるわけではない。私たちがお互いに注目し合い、相手に及ぼす影響を心から気にかけたとき。規則を習得するのではなく、自分の口調を伝えられるような方法でものを書けるようになったとき。権力のためではなく、愛のためにものを書くことを覚えたとき。そんなとき、どこからともなく、新しい愛が生まれる。

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著者プロフィール

インターネット言語学者。一般の読者向けに言語学(特にインターネット言語)についての記事を数多く執筆しており、『WIRED』では Resident Linguist コラムを連載。マギル大学にて言語学の修士号を取得。ブログ「All Things Linguistic」を運営し、ポッドキャスト「Lingthusiasm」の共同ホストも務める。モントリオール、そしてインターネット在住。 https://gretchenmcculloch.com/

「2021年 『インターネットは言葉をどう変えたか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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