学校が子どもを殺すときー「教える側」の質が劣化したこの社会で (論創ノンフィクション 001)

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  • 論創社
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784846019198

作品紹介・あらすじ

筆者は、学校に関連して死んでいく子どもたちの死因を「学校死」と定義したうえで、当事者を取材する。そこから見えてきたものは、学校が生徒を見殺しにしている実態であった。「学校死」は、どうすれば減らすことができるのか。その方法を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 自殺後に周りは驚く。「不用意な言動、いじめ」が被害者をどれだけ苦しめるかを再認識した。周りの予想より、自殺への距離は近い。優しい人、正義感の強い人は、尚更近い。不快な思いを他人にさせない心配りと、不快にさせられたときは立ち向かう勇気を持ちたいと感じた。(本の主題とは違う感想ですみません...)

  • 2019年のいじめの認知件数は、前年度より6万8,563件増え、過去最多の61万2,496件となった。

    そして、自殺した原因が、いじめと認定された小中高生の数は317人いる。
    これは、驚くべき数字だろう。

    ただ、この数字は、多分過少されているだろう。教育委員会は、「基本方針として」いじめと自殺を結び付けたくないからだ。
    日本は、今も、昔も、いじめに対して、自浄作用などない。

    大人たちが、本当に解決しなければいけない問題だと思っていないからだろう。
    また、これは、学校だけの責任だけではなく、日本人全体の問題として、
    捉えられていないからだろう。

    日本では、毎日1人以上の中高生が、自ら命を絶っている、
    その何倍もの子が、自殺未遂をし、その数百倍の子が、現在進行形でイジメに苦しんでいる。
    この事実は、あまりに重すぎて言葉にならない。

    この著者は、ネットに関わる若者の問題をメインに調査してきたジャーナリストという印象がある。
    当事者に会い、現場を見て、実際、足を使って緻密に取材をしているので、非常に信頼している。

    日本では、いじめられていたとカミングアウトする人はたくさんいるが、
    自分は、いじめていましたという人は、ほとんどいない。
    日本の小中高の8割でイジメが確認されているのだから、多くの人がイジメを経験している。
    私は中学校の時、クラスの同級生をいじめていた。ずっと後悔していた。
    大学の時に、たまたま英検の試験会場で偶然出会って、声を掛けた。
    その時、彼は、私を見て、怯えていた。その表情が今でも忘れられない。

    イジメはどこまでも続く。
    会社に入れば、その内部で、凄惨なイジメを何度もみた。
    それはそうだろう、みんな経験者なわけだから、
    オトナになっても、イジメがなくなるわけはない。
    会社同士のイジメも、なくならない。
    それで、自殺する人は、ごまんといる。

    この本に出てくるイジメのエピソードは、どれも強烈だが、知っておくべきことだと思う。
    イジメる側だったからよくわかるが、自分に自信がないから、他人をイジメる。そうしないと不安だからだ。
    大人になっても、イジメがなくならないのも、全く同じだと思う。
    自分の立場に固執して、それを脅かすものがいたらイジメたり、
    これも自信のなさや不安からきている。弱い立場になったている人を、
    イジメて、カタルシスを覚えるサディスティックな人もいる。

    今の日本社会は、ココロの戦争が毎日繰り広げられているようだ。自殺者は、毎年2万人を超える。その数倍の自殺未遂者、そして、数百倍もの自殺志願者がいる。中高生に、貴方には自信がありますか、日本の将来は明るいと思いますか、とアンケート調査した結果、7割が「ない」と答えている。
    ほんとの戦場よりも、ひどいココロの状態になっている。

    毎日、外に出るということは、戦場にいくようなことだと思ってほしい。
    それは、物理的な争いではなく、精神的な殺し合いが、日々、日本で起こっていると思っていい。毎日、70人近くが自殺する。私の居住地域の人口が2万5千人、毎年、この数が自ら死を選んでいると想像するだけで、頭がおかしくなりそうだ。

    もし、イジメられていて、学校や会社に行きたくないのなら、行くべきじゃない。できれば、イジメられた事実を証拠として残しておくといい。

    誰が、いつ、何をしたか。両親が信用できなかったら、塾や習い事の先生でもいい。
    ほんとに苦しんでいるんだと、伝えてれば、きっと誰かが助けてくれる。
    少なくとも10人ぐらいに当たれば、1人はひっかかる。

    そういう現実を知って、自分や愛する人を守ってほしいと思う。
    相当ヘビーな世の中だが、より良く生きる上で、
    日本は、まだ捨てたものじゃないと思わせるモノがたくさんある。そういうモノを知り、また出会い、身に着けて、何としても、今、厳しい状況にいる人は、生き抜いてもらいたい。

  • いじめによる問題が起きたとき、学校や教育委員会が調査に消極的で、世論の批判を浴びて重い腰を上げるというのは、何度かニュースで見たことがある。また教員採用試験はここ最近人気がなく、優秀な学生は企業に就職してしまい、微妙な学生が受かってしまうという話も聞く。著者は教員の労働環境を中心とした問題にも触れており、学校や教育委員会の悪行をただ書き連ねるだけで終わっているわけではないが、そもそも一番悪いのはいじめっ子であり、いじめっ子を育てた「家庭」ではないのか。となると、隠ぺい体質はもちろん正さなくてはならないのは大前提のうえで、「教える側の質が劣化した」といかにも学校関係者だけが悪いようなタイトルは、学校批判を無駄に加速させるようにも思える。

  • 東2法経図・6F開架:371.42A/Sh21g//K

  • 学校が子どもを殺すときー「教える側」の質が劣化したこの社会で。渋井哲也先生の著書。学校が子どもを殺すなんてあってはならないこと。「教える側」の質が劣化したとしたら教える側の責任で子どもたちの責任ではないのは当然。でもその責任をすべて教える側の学校関係者になすりつけるのは違うと思う。「教える側」の質が劣化したとしたら「教える側」の質が劣化しただけの理由があるはず。それは「教える側」への処遇や配慮が足りないのかもしれない。批判するの簡単だけれど社会全体で改善策を考えないといけない。

  • 事実のみの羅列で、そのときになったら、どうすべきなのかがわからず、胸糞悪い。

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著者プロフィール

1969年栃木県生まれ。ジャーナリスト、中央大学文学部講師。東洋大学大学院文学研究科教育学専攻博士前期課程修了。元長野日報記者。おもにネット事件、自殺問題、若者の生き方、サブカルチャーなどを取材。98年からは、ウェブと生きづらさをテーマに取材を進めている。

「2020年 『学校が子どもを殺すとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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