- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784846020170
作品紹介・あらすじ
死せる巨大魚(オールド・アン)は何を囁いた? 正義の天秤(スケール・オブ・ジャスティス)が傾き示す“裁かれし者”は誰なのか? 〈ロデリック・アレン警部〉シリーズの長編第18作にして、1955年度英国推理作家協会シルヴァー・ダガー賞作品。
感想・レビュー・書評
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アレン警部シリーズ。イギリスの古き良き村が舞台。名門の一族が隣り合った4つの屋敷に住んでおり、それぞれに複雑に絡み合った人間関係。ナンズパードン館の主が書いた「回顧録」が、亡くなる直前にカータレット大佐に託されたことにより事件が――
登場人物が多いわりに、さすがナイオ・マーシュ。書き分けが上手なので混乱することなくするする設定が頭に入ってくるのは良い。事件の推理自体は、アレン警部の調査の進展とそれに伴う情報の読者への開示が、ドラマチックさを優先させて後手後手に回しているので、本格ミステリっていうより、サスペンス作品を楽しんでるようなテイストの一冊ですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「オールド・アン」とは魚のマスのことですね。
「四つの旧家が住む、スウェヴニングズという美しい村。村の名士のハロルド・ラックランダー卿がカータレット大佐に自叙伝の原稿を託し、『ヴィク』という謎の言葉を残して病死する。数日後、大佐が頭を殴られて殺され、そのかたわらには地元の釣り人のあこがれである巨大魚、オールド・アンの死体も転がっていた。」(訳者あとがきより)
最初、登場人物と地名(と猫の名前)がウワァーっと出てきて、混乱しそうになるのですが、冒頭に記載のある「主要登場人物」とも照らし合わせながら読んでいけば、丁寧に人物や地名描写がなされているので、わりとすんなり頭に入ってきます。
事件が起こってからは、いよいよロンドン警視庁犯罪捜査課の主任警部、ロデリック・アレンが登場。
サー・ハロルドが残した回顧録に記された「ある事件」について、事件関係者の誰もが口をつぐむ中、アレンは地道な捜査を続け、死んだ大佐その人とオールド・アンが示唆する意外な手がかりから、ついには謎を解き明かします。
決して派手な作品ではありませんが、地方の小さな村で起こった、多彩な登場人物が織りなす事件。英国の古典推理小説が好きな方なら、きっと楽しめることでしょう。
https://yuseum.blog.ss-blog.jp/2021-06-20