芸能人はなぜ干されるのか?

著者 :
  • 鹿砦社
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784846310011

作品紹介・あらすじ

北野誠、鈴木あみ、セイン・カミュ、水野美紀、川村ゆきえ、眞鍋かをり、小林幸子、野久保直樹、水嶋ヒロ、沢尻エリカ、松本恵、吉松育美……。彼らは、なぜ干されたのか?
「バーター」「共演拒否」で芸能プロダクションに絡め取られたテレビ局芸能界の中枢で蠢く談合組織で調印された「秘密協定」の謀略
バーニングプロダクション・ケイダッシュ・ジャニーズ事務所・吉本興業による「市場独占」の醜悪
「暴力団」による芸能界支配の裏面史
マスコミがひたすら黙殺する日本最大のタブー「芸能界」を震撼させる問題の書!

感想・レビュー・書評

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  • 週刊誌的ゴシップ本かなあ?ヒステリックな体制批判的感情論かなあ?…と、疑惑もありつつ読んでみたのですが。
    それなりに悪くない、一応は最低限、理性的な本だと言えるかなあ、と。
    そして、ある視点というか、ものの見方を強く杭打ちしてくれる本、という意味では価値があるのでは、と。

    2014年に出た本です。
    星野陽平さんという作者は全く知りませんが、芸能ライターなどをしていた方のようですね。
    タイトルの通り、日本のメジャー芸能界、まあつまり「地上波テレビに日常的に出ている人たち」についての本ですね。

    ざっくり言うと、

    ●2014年現在で言うと、バーニングプロダクション(と、その多数の系列事務所。一見判らないけどいっぱいあります)/音事協 が違法の暴力行為も駆使して支配している。

    ●他に例えば、ジャニーズ事務所は、創業者が同性愛者で、同性愛行為を事実上強要していた(している?)。

    ●他に例えば、吉本興業は極端に言えば8割とかをピンハネしている。

    ●全て、逆らうと「干す」という制裁。それを可能にするテレビ局やレコード会社、出版社や報道機関との癒着。

    ●いうコトを聞くタレントの醜聞、そして自分たちの醜聞は、圧力をかけて報道させない。反発分子の醜聞は、作ってでも報道させる。

    ●「圧力」というのは「うちの所属タレントをそっちの媒体に出さないぞ」という。

    ●割り前、労働時間、仕事の選択、結婚等の私生活について、確実に違法と言える搾取が行われている。

    ●なぜ今そうなっているのか?ということを、日本について過去にさかのぼって経緯を検証。五社協定、渡辺プロ。

    ●じゃ、よその国ではどうなの? という検証。韓国は、日本より酷い。芸能大国、アメリカは総論としては、かなりベターのようだ。鍵は、「組合」。

    と、言うような内容です。

    文章はやや不安定だったりしますし、例証がクドイところもあります。
    若干、推測を押し付けるところも、無きにしもあらずです。

    でもまあ、良い本だなあ、と。
    多くの人に読んでもらいたい本だなあ、と思いました。

    まあ、やっぱり、地上波テレビ、メジャー出版、マスコミの「洗脳力」ってすごいですからね。

    例えばですけど、ある芸能人さんと、ある芸能人さんの男女交際。不祥事。などなどがスキャンダル報道されたときに。
    「それが完全に真実である」
    …と、受け取ったりしてしまうこと、は、あると思うんですよね。

    それは真実というか、「事実」ではあるかもしれないけど、「氷山の一角」かもしれないし。
    「承知の仕込み=売名行為」かも知れません。
    あるいは、なぜ、その人だけが報道されるのか。つまり、なぜ他の人は報道されないのか。
    それがネガティブな内容の場合、誰かが攻撃意図を持っているのかも知れませんね。

    そういう視点を、持てる可能性が広がるんじゃないかなあ、と思います。

    俳優の小栗旬さんが、「事務所支配を終わらせたい。組合を作りたい」と勇気ある発言をしつつも、「なかなかみんな、恐れて立ち上がってくれない」とも仰っているようですね。



    こういうメジャー芸能界でいいのかなあ、というコトだと思います。
    それを許していて、それを楽しんでいる。
    地上波放送は無料ですが、CM料金は商品代に乗ってきますから、間接的には有料です。
    結局は、暴力で搾取して支配している人たちが
    「大衆は俺たちが作った人気者、俺たちが規制した話題、俺たちが作る醜聞、俺たちが作る美談を、受け入れるんだよ。ほらほら」
    …と、高笑いしている訳です。

    やっぱりまあ、具体的には、マネジメントの会社に関わらず、労働時間やピンハネ率を規制する労働組合が必要ですね。


    最終章は、ちょっととってつけたように「芸能と差別」について書かれています。
    その章は、要するに沖浦和光さんと三國連太郎さんの対談本「「芸能と差別」の深層」の、まあ単なる紹介に過ぎないのですが。
    それはそれで、そういう視点に光が当たるのであれば、悪くはないなあ、と思います。
    (あの本は良い本でした)

    また、戦後の日本芸能界の分析については、竹中労さんの活動をトレースしているに過ぎない、とも言えるかもしれません。
    ただ、それはそれで、竹中労さんという、
    「レッツゴー右傾化の2014年現在、忘れ去れようとされている昭和のジャーナリスト」
    を、再認識するきっかけになるのなら、これまた悪くないなあ、と思います。
    (そんなに詳しくないので、竹中労さんの全てを礼賛するつもりはありませんが)

    いずれにせよ、鹿砦社さんという、失礼ですが零細な左翼的色合いの強い出版社から出ている(そこしか出してくれなかった、ということですね)ことを含めて、
    多少のスタンドプレイやヒロイックな自意識は差し引いても、こういう本を出してみることの勇気自体は、ほんとに、大いに認めるべきだと思います。
    良く出せましたねー。まだ多少は出版の自由というのはこの国にもあるようですね。

    部分的に十分に報道されていることですが、この本に書かれているようなカテゴリーの中で、恐喝、暴力、そして限りなく殺人ではないかと思われる「死亡事故」まで、この10年でも発生していますからね。
    考えようによっちゃ、それでも、その事務所が幅を利かせている業界自体が、異常なんですよね。
    (まあ、どの商売でも、左右する金額が巨大になれば、「市民の道徳常識」が通用しない部分があるのは、哀しいかな当たり前なんでしょうけど。「芸能界」「病院医療」「食品」そしてもちろん「政治」という商売も…)

    ただ、この本は価値のある本だなあ、とほんとに思いつつも。

    歌や、お芝居や、踊りや、お笑い。
    そういう行為自体は、ほんとに素敵な「芸」だなあ、と思います。
    そこに何かしらかの「技術」があったり「個性」があったり、勇気や経営力がある人っていうのは、ほんとに尊敬されるべきだなあ、と思うんです。

    つまりは、芸能プロダクションとか、テレビプロデューサーとか、マネージャーさんという職業自体が、味噌もクソも一緒くたに悪徳だったり非道だったりする訳ではありません。
    心ある良心的な、あるいは魅力や才能や誠実さや、実務能力に長けた人も大勢いると思います。
    それは、何の商売でも一緒だと思います。

    この本にも書いてありますが、芸能人が必ずしもみんな「被害者」とも限りません。
    同様に、民放NHK含めて「地上波放送」という存在自体が悪とは思いません。
    貴重で偉大な生活の歓びでもあるし、情報源だと思います。

    だから、
    「バラエティや芸能界が好きな人はクダラナイ」とか
    「ジャニーズやバーニングのタレントさんが好きな人は低俗だ」とか
    「地上波のテレビを楽しんでいるなんて低能だ」
    などというような、上から目線の攻撃的な意見を持つことは、すごく醜いことだと思います。
    どれだけ汚い哀しい舞台裏があっても、作られた音楽や番組や映画と言った作品自体は、それが楽しみや励みであるお客さんもいる訳だし。
    そういうリアルタイムの裏幕を遙かに超えた価値を持ち得る素敵な「芸術」であると思います。
    それが、一部の「インテリさん」たちから馬鹿にされるようなモノだったとしても、です。

    (2014年11月現在、高倉健さんが死去して、日本中のあらゆる言論機関から哀悼と再評価の嵐ですが、
    健さんだってある時代までは「あんなくだらない映画ばかり出ている俳優」と、一部インテリからは言われていたわけですからねー)

    ただ。
    テレビ番組、それがニュースであれバラエティであれドラマであれ。
    あるいは映画でも音楽でも舞台でも、新聞でも雑誌でも本でも、ネット配信でもブログでも。

    どんなものであれ、「絶対的な天から降ってきた何か」が作っている訳ではない、ということですね。

    視聴者、受け取り手である僕らと同じように、
    才能や美徳や良心や博識や誠実さがあって。
    そして同時に、僕らと同じように、体力の限界とか時間の無さとか、
    無知蒙昧や不勉強や、「慣れ」とか「怠け」とか「恐怖」とか、貪欲さや好色とか嘘とか狡さとか悪徳も、
    ほんとに、僕らと同じように持っている「ニンゲン」が作っているに過ぎない、ということなんですよね。

    それを踏まえて、マスメディアであれミニメディアであれ、接することが出来る方が、
    「知らない内に何者かに操られて、何者かに対して加害者になってしまう」
    と、いうことが少しでも減るんじゃないかなあ、と思います。

    そういう流れの中に位置づけられる本ではあるのじゃないかなあ、と。
    それはすごく素敵なことですね。
    (本、文章、としての多少の短所はまあ、あるにしてもですが…)

    嫌韓憎中、なんて言う風潮の昨今、なおさら、そう思います。

  • Kindle Unlimitedを使って読んだ
    芸能プロダクションの時代遅れの世界に関して詳細に記載されている。何故、独立した芸能人がテレビから消えてしまうのかが良くわかった。
    ただ、ボリュームがありすぎて、後半は辛かった。
    読むのに体力が必要

  • 生々しくて面白い。
    組織に頼らずに力を付ける必要性を痛感した。

  • 主に芸能プロダクション、事務所の話。ナベプロ、ホリプロ、吉本、ジャニーズ等。

  • この本は、マイナー出版社じゃないと出せない本だし、一般でも流通しづらい本なので、電子書籍で読むべき内容の本だと思う。芸能界の闇が実名で赤裸々に書いてあり、本当に芸能界って閉鎖的かつ独自のルールで運営されているというのがよく分かるし、なぜその構造が始まったのか、何故維持されているのか、もよく分かる。ネット系のメディアが増えてきて既存メディアの影響力が落ちてくれば、芸能界の闇もすこしづつ晴れていくとは感じたけど、まだまだテレビが優勢な時代は続くと思うので芸能界の闇も続くんだな、とそんな事を思った。非常に興味深く読めた。様々な人に読んでもらいたい骨太な本。今は増補新版も出ているみたいですね。

  • プロローグ 北野誠事件
    第1章 干された芸能人
    第2章 「芸能事務所」とは何か?
    第3章 抵抗の歴史
    第4章 「ナベプロ帝国」の落日
    第5章 ジャニー喜多川の少年所有欲求
    第6章 「免許のないテレビ局」吉本興業
    第7章 バーニングプロダクションと暴力
    第8章 韓国、ハリウッド、声優業界
    第9章 芸能と差別

    ここまで書かれた芸能界の暴露本が出版されるの
    すごいですね。
    鹿砦社(ろくさいしゃ)さん暴露本いろいろ出してて
    社長が名誉棄損で逮捕されたり、
    他の本も面白そうなんで読んでみようかな。

  • よくここまで調べ上げたな、というのが初めの感想。

  • 濃ゆい。芸能プロダクションとタレントのいざこざ等、この本のタイトルが示す内容が気になって野次馬的に読んでみたが、その野次馬根性が満たされる内容。笑。しかし最後に書かれた「芸能と差別」の項はヘビーで興味深かった。また、マフィアのような義理人情の全く無い芸能界と、書きたいものもかけない腑抜けなマスコミ。この二つの関係は、まるで今の日本の政界のよう。

  • Kindle オーナーズライブラリでダウンロード。
    本書は芸能人が「干される」という問題の源流に戦前の映画界の協定の存在をあげている。ナベプロ、ジャニーズ、バーニングなどの大手芸能事務所の極めて特殊な立ち位置についてまじめに論じる。
    下世話な話に陥りがちなこの題材であるが、筆者は労働基準法、独占禁止法などの法律からみて、芸能界の慣行がいかに風変わりであるかを説いていく。勉強になった。

  • 現代で奴隷制度が残っている場所が、華やかな芸能界であった。この落差にめまいがする。もうこれまでと同様にテレビを視聴できないと思う。取材困難な対象だけに実話系雑誌を出典としていることが多い。しかし、怪しげな雑誌であっても、丁寧に読み解き、総合すれば、真実に迫れることを本書は実証している。バーニングによる北野誠抹殺がやぶ蛇となり、終わりの始まりとなることを願わずにはいられない。もし犬神明が実在したらこういうルポを書いただろう。彼がいつも暴力団と揉めてたのはそのせいかもしれない。

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