高校生にも読んでほしい海の安全保障の授業 - 日本人が知らない南シナ海の大問題 -

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  • ワニブックス
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784847095184

作品紹介・あらすじ

日本人が知らない南シナ海の大問題!時事問題を詳しく学び次に何をすべきか考える!平和で美しい海を実現するためにできること-ヒゲの隊長が綴る「日本の海」の守り方。

感想・レビュー・書評

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  • 借りたもの。
    “ひげの隊長”による、海に関する安全保障に焦点を当てたもの。それに伴い海の法律の話なども言及。

    海洋国家である日本。
    にもかかわらず、国民の危機意識が乏しい事に警鐘を鳴らす。
    資源がない日本はその多くを輸入に頼らざるを得ない。
    その日本の喉仏とも言えるシーレーン=油の道は南シナ海を通っている。
    そこに今、ランドパワーである中国が海洋進出を狙って食指を伸ばしている。
    南シナ海が中国の道になると日本にとって厄介。
    日本経済にも大打撃になりかねない。

    前著でも言及されていた、中国の「国境は国力に応じて変化する/戦略辺疆」という考え方(プラン)に由来する力による現状変更を目論んでいる。
    (アメリカに替わる覇権か?)
    小さな小競り合いを繰り返し既成事実を積み上げ、広域に影響を与える……「サラミスライス作戦」(これは軍事的な面だけでなく、経済的な面から親中国家をつくるという外交も含めて)
    なぜ南シナ海を中国の内海化(湖化)するのか?
    そこには海洋資源ではなく、長距離弾道ミサイルを搭載した潜水艦を配備(アメリカ射程距離に入れられる)、防空識別圏をつくり飛行に制限を加えられる(ひいては潜水艦を守れる)という、軍事戦略に基づいていた。
    戦前の日本とは大違い……中長期的計画に基づく考え方だった。

    そして南シナ海で起こっていることは、東シナ海、日本領海(領空)でも起こり得る……否。既に起こっている。

    ●漁船と公船による尖閣諸島周辺領海への侵入
    ●急増する「領空への挑発」
    ●東シナ海のガス田と軍事施設の開発

    「そんな理屈は通用しない」という意思表示の下、アメリカは自由航行作戦を行っていること(でも中国にとっては痛くもかゆくもない)、フィリピンは裁判に訴えたこと。
    ……しかし国内発展に重きを置くドゥテルテ大統領に代わって、中国に懐柔されないか?を注視が必要との事。

    春香クリスティーンとの対談では、何故中国がそうした発想を持っているのかを、現代史からも紐解いている。

    海の法律の話。
    海洋国家である日本。
    国際海洋法裁判所の運営に必要な分担金を最も多く払ってきた(当然か)。「海の日」はこれに因むこと。

    日本の周りの海はどうなっているか?
    竹島の不法占拠

    日本の国防でやるべきこと。
    「中国が行っていることは違法である」という事実の発信。
    外交的な面では、共通の悩みがある台湾や韓国との連携…場合によってはロシア?(難しいとは思うけど)
    自衛隊の関係国との共同訓練、多国間訓練に参加することで活動量を増やす(交流、信頼を増やす)など。

    外交的な具体的な指標もちょっと語っていた。
    対中国には、‘大事なことは航空管制レーダーを設置させてはならない(p.133)’こと。
    国民には天気予報から、自国の国土であるという意識を持ってもらうことで、自国の海の周りで起こっている危機意識を持って欲しいと訴える。

    平和と安全はタダではない。
    憲法では「存在しない」人たちが命を懸けて国を守る矛盾(p.154)、自己犠牲の精神がなければ国防はできない……それらの言葉に、私はひげの隊長の口惜しい思いを感じた。何とも言えない自衛隊の立場への。
    法に守られていない自衛隊が、何より「法の支配」という大原則を順守し国を守ろうとしていた。

    ひげの隊長曰く‘私は個人的には海上保安庁のレベルを上げるという形が望ましい’との事。
    林まつり『ダンナは海上保安官』( https://booklog.jp/item/1/4821143003 )でもそんな事を言っていたような…

    巻末に、日本の海を守る海上保安庁、海上自衛隊について紹介。
    「治安と安全を守る」海上保安庁、「日本の平和と独立を守る」自衛隊その立場の違いを明言。

  • 戦略辺強  世論戦、心理戦、法律戦 十一段線 九段線 ファイアリークロス礁 サラミスライス作戦 防空識別圏 国連海洋法条約 シーレーン 日本の船員不足 基線 接続水域 

  • ひげの隊長佐藤議員の、海の安全保障の授業。
    南シナ海で今起こっていることや、領海や排他的経済水域の意味、東シナ海に迫っている危機とは何か。
    中国による人工島などの建設、尖閣諸島への領海侵犯が続く理由を、明確に解説します。
    このまま放っておいては危ないです。
    改めて防衛の大切さをよく考えなくてはなりません。

  • 南シナ海で顕著な中国の海洋進出についての具体的な問題点明らかにし,「海の憲法」たる国連海洋法条約の内容について解説。中国海警による領海侵犯が相次いでいる東シナ海も決して楽観できない状況であることを再確認できた。

  • 図書館の新刊コーナーで手にとった本。

    東シナ海だって随分遠いのに、南シナ海だなんて…と思っていましたが
    易しく書いてありそうだったので読んでみました。
    領土問題や石油ルートのことなど、日本人全体が関心を持つことが一歩なのだということがわかりました。

    逆さ地図を見ると、見え方が全然違って
    ロシア、中国、韓国、北朝鮮 にフタをした感じで邪魔に思われるのですね。

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著者プロフィール

1960年生まれ。参議院議員。自衛隊イラク派遣先遣隊長として活躍。

「2008年 『教科書 日本の防衛政策』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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