誰もが時間を買っている―「お金」と「価値」と「満足」の社会経済学 (セブン&アイ出版学び新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (141ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860088248

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  • 社会学者で関西学院大学社会学部准教授の著者が、「時間と消費」の関係をイラストや図などを用いて分かりやすく説明してくれている。

    著者によると、時間という資源は、現代人にとってかけがえのない、溜めることも分けることもできない希少価値の高いもの。
    ①「商品価値」の時代(製品化されていることの価値)が飽和/差別化し、
    ②「情報価値」の時代(ブランド化されていることの価値)が飽和/差別化し、
    ③「体験価値」の時代(サービス化されていることの価値)すらも飽和した時代に求められるのは「時間価値」だという。
    ネイルをしてもらいながら雑誌をめくったり、陶芸教室でろくろを回しながら食事をすることなどが困難であるように、あることに時間を使うとその間は他のことに時間が使えない。
    人間の時間は有限だからこそ、「消費者がその製品やサービスを使いたくなる」ような価値を提供していく必要がある。

    その時間価値を高める2つの手法として、
    「減算時間価値(無駄な時間を減らす)」と
    「加算時間価値(「できれば長く過ごしたい」と思えるような時間を提供する)」がある。

    そして、加算時間価値こそが次の消費の中心になるそう。
    消費の時間そのものをゼロにすることはできず、自ずと限界が来る減算時間価値に対して、加算時間価値は、同じ時間の中で体験できることの質を高めたり、前後の時間までもを「いい時間」に変えることができるからだ。

    この減算時間価値と加算時間価値という手法を念頭において、仕事の面でも活かせることはないか考えてみようと思う。

  • ライフが好きなのと、セブン&アイ出版がなくなる、ということで買いました。つまらない時間を短縮するのはさんざんやり尽くしつつある、。それよりも、待ち時間を楽しい時間に変えることが必要。その例が高級な列車か…

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著者プロフィール

関西学院大学准教授。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター客員研究員。専攻は理論社会学。ソーシャルメディアやIoT、VRなど、情報化社会の最新の事例研究と、政治哲学を中心とした理論的研究を架橋させながら、独自の社会理論を展開している。
著書に『カーニヴァル化する社会』(講談社、2005年)、『ウェブ社会のゆくえ─〈多孔化〉した現実のなかで』(NHK出版、2013年)、『未来を生きるスキル』(KADOKAWA、2019年)ほか多数。

「2022年 『グローバリゼーションとモビリティ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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