ミーツへの道 「街的雑誌」の時代

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860112059

作品紹介・あらすじ

街と付き合い、街で遊び、街を書く。そんな雑誌を作りたい!京都・大阪・神戸の「おもろい」を詰め込んで創刊された『ミーツ・リージョナル』。個性豊かな仲間たちと巻き起こる出来事の数々…。「街場」のリアリティを全身で追いかけた名編集者の回想記。

感想・レビュー・書評

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  • 関西で大活躍中の雑誌「ミーツ リージョナル」の編集長がいかにして今のような人気雑誌になったかという歴史を語ったもの。


    関西のおっちゃん

    編集長とはいえ本書は関西のおっちゃんが自分の仕事を語ったようなもので、荒い口調で飛ばすのが軽快な本でございます。
    大阪的なアクの強い頑固おやじが語っているのでございます。それがまた面白いのですが、苦手な人は苦手かもしれません。しかし、一度慣れてしまえばあとはもう面白おかしく読めるまさに大阪的な本なのでございます。


    「街的」ということ

    本書では「街的」という言葉があちらこちらに出てきます。これ、どういう意味かと申しますと、どっぷり街に浸かることがそのまま取材になっているということなのです。
    え、そんな説明じゃ分からないって?仕方がない。もう少し説明致しますと普段行ってるお気に入りのお店をそのまま空気感ごと雑誌に掲載するということです。たんなる情報誌ではなくて街そのものを雑誌に載せるということ。
    なんでそんな雑誌になったのか。それが何で売れるのか。その理由は本書を読んで確かめて下さい。
    「小商いのすすめ」にも通じる地に足着いた雑誌の作り方を知れる本でゴザいましょう。ぜひご一読の程、よろしくお願い申し上げます。

  • 特に、内田先生との出会いのところは、「まさに自分もそうだった」って思いました。
    いろんなことがあったんですね。
    まるで、すぐ傍で江さんのお話を聞いているように読めました。
    バックナンバー、ぜひ見てみたいものがいくつかあります。
    何とか手に入らないものなのでしょうか。

  • ミーツ時代の逸話の数々と、一時代を築いた編集長としての視点を時代の流れに沿って書かれた本。

    同じような仕事をしている者として、「編集とはなんぞや」と考えさせられる。編集の視点だけではなく、ひとつの人物のストーリーとしても読んでいて興味深い。

    自分と関わりのある街を、その街に住む人と、その街の中から情報を発信していく気概と情熱。

    江さん目線で書かれているので、公平性を求めるのは間違っているのかもしれないが、やや別の視点や客観性がほしいと感じられる面も。

    ただし、下手な小説よりもひきつけられる物語性で、週末ほぼ1日かけて一気に読めた。

    なかなか江さんのような思想を持って雑誌づくりをすることは、職場の環境によっては難しいが、街情報を発信していくヒントや考え方については参考できる。

    各地で街情報を発信されている同業者の方は、一読してみると面白いかもしれない。

  • 父ちゃんの手術のもろもろに付き合ったあとの、日曜の帰りに買った本。その2日くらい前に、本屋で見かけて、ちらっと立ち読みしていた。帯にはこうある。

    街と雑誌と人間と
    街と付き合い、街で遊び、街を書く。そんな雑誌を作りたい! 京都・大阪・神戸の「おもろい」を詰め込んで創刊された『ミーツ・リージョナル』。個性豊かな仲間たちと巻き起こる出来事の数々…。「街場」のリアリティを全身で追いかけた名編集者の回想記。

    『ミーツ・リージョナル』は、買ったことはほとんどないが、以前の職場で雑誌担当をしていたときに、毎月受け入れていて、担当としてざっと目を通すだけでなく、時間があるとよく読んでいた(読むところがいっぱいあった)。

    「○○の店100店!」みたいな特集の載った"情報誌"というのは、おそらく『関西ウォーカー』が代表的なものだろうと思うが、どこにあって、何時から何時に開いてて、どういう系統の料理を出して、オススメはこれ、みたいな店のデータカタログで、こんど行くとこの近所に、なんか店ないかなー?というときに、ぴらぴらーと探して行ってみる、そういうやつ。

    そういう"情報"を手に入れて関西をウォークするのは、この本を書いた江弘毅に言わせたら「消費のため」「消費にアクセスするため」。

    『ミーツ』は、そんな「消費のため」「消費にアクセスするため」の存在である情報誌ではないものとしてやっていくんやというのがだんだんはっきりしてきた、と途中に書いてある。たぶんそのスタンスをあらわす言葉が、「街場」なんやろうと思う(江弘毅が「街場」について書いた本は、サブタイトルにキモがある『「街的」ということ―お好み焼き屋は街の学校だ』や、最近文庫になった『街場の大阪論』がある)。

    雑誌を買う人、読む人からしたら、『関西ウォーカー』も『ミーツ』も、お店カタログとして使われてるやろなーと思うけど、雑誌をつくる側、取材して記事を書く側のスタンスは全然ちゃうんやろなというのはわかる。

    たとえば、『ミーツ』100号に載ったという文章の一部。
    ▼…いくらいい店だとしても自分がお客として行ったことがない、ごきげんな思いをしたことがない店を紹介する仕事は当たり前だが断っている。もともと仕事のために店を探していないし、本をつくるために店を紹介しても面白くも何ともない。いい店を見つけたとき、この店はあいつに教えてあげたいだの、あの娘と行きたいだの、飲み食い極道のあの人ならどう思うかなどと同じノリで店を紹介するという仕事でないと楽しくない。(pp.87-88)

    あるいは、21世紀を迎えた最初の号に載ったという文章の一部。
    ▼…取材先が、自分にとって本当に好きな店であったり、気に入っているモノやコトでないと、街ネタ雑誌なんかやっていてもつまらない。いつも日常的に向かい合って、旨いなあと唸ったり、最高におもろいと笑ったり、こりゃたまらんと泣いたりわめいたりしているそれらは、それが本当にその書き手の普段であればあるほど、「取材お願いします、で場所はどこですか…」なんていうナンセンスきわまりない取材とは対極にあるリアルな取材、つまり取材しない取材だといえる。(p.125)

    この本の終盤は、『ミーツ』やその他の雑誌を作っている会社が、親会社のけったいな人事のおかげで、社内の空気は、イエスマンばかりで編集のことはわかってない、「ボンクラなのに卑怯で、いつも誰かに対しておどおどしている、安物の官僚機構のように」なり、いろいろあって、江弘毅は『ミーツ』編集長を退き、会社も辞めたという、そのあたりの、読んでいてちょっとキツい話が書いてある。

    そして、一緒に辞めた中島と石原と3人で、江は「株式会社140B」をつくった。ここの会社のブログはふとしたことから時々読む。この会社に、「自分がおもろいこと」やないとやっててつまらんという、『ミーツ』の頃からのニオイがあるなあと思う。

  • ミーツの立ち上げからその裏事情まで,赤裸々に語られ興味深く読んだ.内田樹氏との出会いはことに面白かった.

  • 本の本
    雑誌

  • 12077.

    出版編集の内情がミニコミ始めようとしている自分には身につまされるね。

  • 街的な発想を得た、MEETSの編集長の街的な事を綴っている本。出身地、高校、大学が同じの当編集長に興味が募り、価値観の一致を考察していた。何となく彼の考え方を共有できるものがあり、自分自身の街的発想のあり方を言語化してくれた本。

  • 編集集団140Bときたらバッキー井上さんがもっとでると思ったのに、「バッキー井上はその頃、雑誌や広告やデザイン関係の仕事量をぐっと減らし、完全に「京漬物、錦・高倉屋」の主人にシフトしていた。」(p117)とあっさりしている。だんじりエディターの江弘毅の「情報誌」の回想記です。

  • 2010/06/29
    天神
    最後の方は読んでいるのがしんどくなるような話だった。いま店頭にあるミーツを見る目が少し変わるかもしれない。
    でもWSでナンダロウさんが言っていたように、こういう記録(回顧?)もので楽しいのは創業者達の話というのがよくくわかった。本の雑誌風雲録よりもこちらのほうが現代的だし身近(だから余計にシビアだけど)という気がした。

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著者プロフィール

1958年、大阪府岸和田市生まれ。編集者・著述家、神戸松蔭女子学院大学教授。89年『月刊ミーツ・リージョナル』を創刊に携わり、12年編集長を務める。ファッション・ページも長く担当。「街場」を起点に多彩な活動を繰り広げている。『K氏の大阪弁ブンガク論』(ミシマ社)、『「うまいもん屋」からの大阪論』(NHK出版新書)、『いっとかなあかん店 大阪』(140B)など、大阪について書かれたもののほか、『「街的」ということ』(講談社)、『有次と庖丁』(新潮社)、『神戸と洋食』(神戸新聞総合出版センター)などの著書がある。

「2023年 『なんでそう着るの? 問い直しファッション考』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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