- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784860114626
作品紹介・あらすじ
72時間×10店舗、東京の古本屋に密着し、古本屋の仕事と暮らしを記録するルポルタージュ。
感想・レビュー・書評
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神田神保町界隈で10年くらい勤務していたので、書店・古本屋は日常見かける身近なものだった。が、新刊書店にはよく行ったが、神保町界隈の古本屋に足を運ぶことはほとんどなかった。
今でも、古本屋を利用しないわけではない。
ひとつはブックオフ。たまった書籍を売る(というよりは引き取ってもらう)ために、何か月かに1回行き、そこで古本や中古のCDを買ったりすることもある。私の自宅の近くのブックオフは2F建てになっている。CDやゲームやDVD等も置いているが、それでも蔵書数は相当のものがある。
もうひとつは、もう少し利用頻度が高い。古本のネット販売だ。読みたい本をみつけるのは、このブグログだったり、新聞の書評だったり、新刊書店の店頭だったり色々だ。それを書店の店頭で買ったり、図書館で借りたりもするが、ネット販売、特にアマゾンを利用することが多い。実際、とても便利だし、新刊を買うのに比べて安いし、よほど珍しい本でなければ複数の出品者があり、状態の良い本を選んだりすることもできる。
言っていることは、リアルな昔ながらの古本屋に足を運ぶ機会はまれになったが、ブックオフやネット通販で古本屋を利用する機会は実際には割合とある、ということだ。
本書は、著者が東京都内のリアルの昔ながらの古本屋を1カ所につき3日間居ついて、古本屋の様子を記録したものである。2019年の暮れから始まり、2021年の7月までで終わっている。ちょうど新型コロナ感染症拡大の直前から始まり、感染の渦中から東京オリンピック近くまでの記録になっている。
私の古本屋体験を上記したが、本書を読む前に興味を感じていたのは、リアルの昔ながらの古本屋の経営がどのように成り立っているのだろうか、ということだった。書名が分かっている古本であればアマゾンで簡単に買える。近くのブックオフにいけば、専門書は別にして、多くの蔵書を抱えていてその中から古本を選ぶことが出来る。そういった中で、古本屋の工夫はどこにあるのだろうか、ということが興味だった。
本書を読んで、それは分かったような分からなかったような、そんな感じだ。
古書店ごとに、あるいは、古書店主ごとに工夫を重ねている、ある考え方を持って、古本屋を経営している、ということは分かった。が、それがどの程度成功しているのか、等については、3日間の観察では分からないということなのだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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著者インタビュー『東京の古本屋』コロナ禍の生活を記録したノンフィクション|NEWSポストセブン
https://www.news-posts...著者インタビュー『東京の古本屋』コロナ禍の生活を記録したノンフィクション|NEWSポストセブン
https://www.news-postseven.com/archives/20211116_1707117.html?DETAIL2021/11/16
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コロナ禍・緊急事態宣言(TOKYO2020)の東京の古本屋さん10軒の風景。
それぞれに異なる時間が流れ、拘りと楽しく(?)生きる古書店主さん達。
読んでる自分も良い時間を過ごすことが出来ました。1軒1軒を訪れてみたい。
・古書往来座
・盛林堂書房
・丸三文庫
・BOOKS青いカバ
・古書ビビビ
・岡島書店
・コクテイル書房
・北澤書店
・古書みすみ
・古本トロワ -
東京の古本屋の仕事と営む店主たちの姿を記録したルポルタージュ。
古書 往来座 盛林堂書房 丸三文庫 BOOKS青いカバ
休業中の古書 往来座 古書ビビビ 岡島書店
コクテイル書房 北澤書店 古書みすみ
休業中の古書みすみ 古本トロワ 休業中に再度取材した店も。
カラー写真口絵16ページ。本文中にモノクロ写真。登場一覧有り。
東京都内の各地の10の古本屋の姿と店主たちの仕事、生活を
一店舗に3日間取材、日記のように記録した、内容です。
古本屋といっても、形態は様々。
店内での販売だけという店は希少なのかもしれない。
ネット販売にネットオークション。新刊書も扱う店もある。
古書の組合に未加入や店内に居酒屋併設の店も。
2,3代目も居れば、若手が頑張る店もある。
2019年の年末から始まったルポは、読んだ著者の2作同様に、
相手の都合を鑑みての丁寧なインタビューと取材で、語られる。
戦前戦後、昨今の古本屋の有り様、加えて、街や人の変化に
ついても語られることもある。スーパーマーケットで古本を
売ってたのはこの店主さんだったか~という、発見も。
「古本」の市場への同行取材、共に食事や呑み等で見え、
語られる仕事は多彩で、思っていた以上に多忙です。
さり気なく、お客の動向に注意を払い、こまめに本の入れ替え。
いや~大変な仕事だなぁと読み進めていたら・・・。
2020年、新型コロナウイルス感染症の流行で、急転!
緊急事態宣言、行動自粛、営業の制限と休業。
都が休止を要請する施設に「古本屋」が含まれていたから。
延長にあたっての混迷も・・・営業再開か?休業継続か?
最後は2021年7月23日東京オリンピック開会式の日の、ルポ。
読んでいる自分にも感じられた、今までの日常とは違う毎日。
それでも、古本で繋がる、古本屋の人々、客。近所の人々。
それらが店を、人を成長させていく様子がよくわかりました。
『街のあそこには古本屋がある』・・・ありがたいことに、
うちの近所にも古本屋があります。
・・・あ、店主さんが本文にちょっと登場~(^^♪ -
2020〜2021の古本屋。その佇まい・流れる空気、人間くさい仕事…。10軒に3日間ずつ密着し、古本屋の時間の記録であり、コロナ禍の東京の風景と生活の記録になっている。
店主のつぶやきに気質と個性が表れ、一言一言が重く考えさせられる点が多々あった。
コロナの影響も大いにあるだろうけど、誰が触れたか分からない中古品を毛嫌いする人は一定数いる。SDGsの観点からもどうなのか? 加えて、一冊の本が一人だけに読まれて完結してしまうのは寂しい。作家さんや新刊本書店さんは、売れるほどいいに決まっているだろうけど、古書店には図書館と違うまた別の役割がある気がする。
地道に頑張っている街の古書店を応援したくなった。 -
2021/10/9読了。
東京の古書店を紹介するルポかと思って買ってきて、著者の名前に見覚えがあると気がついてよく見たら『ドライブイン探訪』の橋本倫史だった。積読にしておくつもりだったのだが即座に読み始めて読了した。
期待に違わず、いい本だった。東京の古書店(古書店主)へのインタビューに基づいて書かれた本だが、そのインタビューのあり方も含めて、これは橋本倫史という著者の人柄や手腕が光る「作品」だ。著者が表現しようとするものは、ほとんど直接的な言葉にされることがない。それでいて、読んでいると濃厚に表現されているのが分かるのだ。
書かれたものを通して世界や世間を認識するときには、こういう文章を通して、こういう文章を書ける人々の目を通して、そうしたい。かつてはそうしていたはずなのに。いつのまにか、自分の言いたいことを皆が我も我もと短文で乱暴に言い放っては捨てている、スマホの画面に映る文章未満のものどもを通して、こちらもそれらを乱暴に読み捨てて、世間や社会をとらえることに慣れてしまっていた。なんだか疲れてしまった。
そういえば文章ってこういうものだったな、とふいに我に返った気がするような、そんな不思議な読後感を得た。 -
東京の古本屋10軒のレポート。2019年からの2年間、ちょうどコロナの嵐に突入した頃。休業要請の出た緊急事態宣言を受け止める店主たち。2だいめ、3代目の店あり、そこで修行して開店した者あり、実店舗を持たない者あり。この困難な時をリアルに伝えている。
皆、本が好きなんだなぁ。緊急事態宣言では、古書店は新刊本書店より趣味的なものなので、休業要請の対象だったよなぁ。なんで古書店の方が趣味的なのか理解できなかったけど。
はからずも、コロナ禍の貴重な記録になっている。 -
開発、オリンピック、感染症──揺れ動く東京で、商いを続ける10軒に3日ずつ密着取材を敢行した。古本屋に流れる時間から、東京の姿が立ち上がる。
立ち寄ったことがあるのは一軒のみだが、それぞれの店主さんの生活が垣間見られるのが貴重な一冊であった。 -
古本屋に3日間滞在して、そこで見た店のこと店主のことを描く。奇しくもコロナ禍に於ける東京を描くことにもなり日記文学としても面白い。
古書会館での市や即売会なども記されているのは珍しいかも。
古本屋の日常が一般に面白いのかと気になるが、大阪版も欲しい。 -
街の普通の本屋でさえ大変な現代では、古本屋
はさらに厳しい経営状況なのではないかと思っ
てしまいます。
しかしそんな悲壮感もなく「本のプロ」として
の日常を追ったノンフィクションです。
今やブックオフのような新古書店とは完全に市
場を棲み分けているのが伺えます。
知る人ぞ知る古書を扱う姿には、日本の文化を
支えていると言ってもいいです。
古書店の店主たちが生き生きと描かれています。
「本への愛」に満ちた一冊です。