モールの想像力: ショッピングモールはユートピアか

著者 :
制作 : 大山顕 
  • 本の雑誌社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860114824

作品紹介・あらすじ

日本橋高島屋S.C.本館高島屋史料館TOKYO 4階展示室にて2023年3月4日から8月27日まで開催の「モールの想像力」展を図録として書籍化。開催概要、展示作品の一覧リストのほか、監修者・大山顕氏と佐藤大氏、イシグロキョウヘイ氏の語り下ろし鼎談、大山顕氏と東浩紀氏の語り下ろししモール論のほか、ショッピングモールを舞台にした漫画、ショッピングモールの写真などを収録。大山氏による展示のメインテキストは作品説明を補筆して全文を掲載し、モール展を記録するとともにショッピングモールの文化的意義を考察する。

感想・レビュー・書評

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  • 大山顕監修「モールの想像力 ―ショッピングモールはユートピアだ」展 髙島屋史料館TOKYOにて開催 |COMPETITION & EVENT|TECTURE MAG(テクチャーマガジン)
    https://mag.tecture.jp/event/20230308-84655/

    イベント|高島屋史料館TOKYO(東京)
    https://www.takashimaya.co.jp/shiryokan/tokyo/seminar/

    モールの想像力 - 本の雑誌社の最新刊|WEB本の雑誌
    https://www.webdoku.jp/kanko/page/9784860114824.html

  • アニメ映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』を数か月前に観て以来、ショッピングモールと土地、風景について漠然と考え続けている。そんなときに『サイダー』のビジュアルを表紙に採用した本書が刊行され、読まないわけにはいかなかった。とても興味深かった。

    こういう社会学や建築論、都市計画論はこれまでほぼ読んだことがなく、初心者だからこそ新鮮に感動するという面はあるだろう。専門的に既に学んだことのある人が読んで新規な論点が多くあるかは分からない。

    モールの本質として幾度も強調される「ストリート」という概念は、ストリートダンスをやっている身としても自分事に感じた。
    商店街やモールがストリートという線状の歩く空間を中心に設計されているのに対して、百貨店はあくまで各店舗が第一で道・動線は二の次である。つまり四角形の面の敷地が中心であり、これは田んぼと同型である。(すなわち百貨店の通路は田んぼの畦道のようなものだ。)

    もっとも印象深いのは「祭とは、空間的な表と裏の関係を、時間に置き換えたものである」という一文。ハレとケ。空間と時間を対にして対応/変換させる論ってよくあるけどやっぱりそれに弱いわ……となる。

    もともとの目的だった映画『サイダー』についての言及や制作者たちの言葉も興味深かった。対談で「『サイダー』はモールの歴史性や土地・風景に関してめちゃくちゃすごい批評的なことをやっているんだけど、あまりに描写が自然すぎて誰からも指摘されない(笑」的なことを言ってたけど、ここに!!!いるぞ!!!あれを見てそういう方面でめちゃくちゃ感動して衝撃を受けた人間が!!!と叫びたいですね。クライマックスの夏祭りの会場が地域の神社や広場かと思いきやモールの駐車場だった、ということに2周目で気付いたときの興奮といったらなかったもの……。 マジで凄いですよあれは。

    アニメ映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』(2021)感想 | kqck | note
    https://note.com/kksk/n/n71e61730da62

  • あー残念!この本は今年の3月4日から8月27日まで高島屋の史料館で行われた『モールの創造力』展から生まれたもの…そんなに長くやっているんだったら、どっかで必ず覗けたのに!知らなかったばっかりに。でもあのスペース、ものすごく狭いイメージがあってどんな展示したんだろう?と思いつつページをめくれば、最後に展覧会の解説があり、それはそれでまた行かなかった後悔を刺激するのでありました。本書は週刊誌で山内マリコの書評で知ったのですが新しい視点を得られたような気がします。冒頭に山本文緒の「自転しながら公転する」が引用されていてその本を読んだ時のリアルな現代感を思い出しました。そういえば「自転しながら公転する」、いまテレビドラマになったいるらしい(ちょっと面倒くさいけど原作に心打たれたのでTVerで追いかけてみるか…)。とにかくショッピングモールをふるさととする世代の感覚が現代日本のカルチャーを作っていることがしみじみ感じます。谷頭和希「ブックオフから考える」にも繋がるようにも思えます。失われた20年のユートピア?ショッピングモールを考えることは文化の問題と言うより文明の問題に触れているような気分になりました。そういえば高島屋史料館のある高島屋の新館は2018年ショッピングセンターとして誕生しているし、もはやショッピングモール論は郊外論ではないのです。

  • バックヤード(モールというユートピアの陰に隠れたもの)への想像力。ユートピアに浸かっていることに人は耐えきれないのでは無いか。
    って話。めちゃくちゃ面白かった。

    裏側を映すことに重きを置いたコンテンツって確かに最近多い。Netflixではドキュメンタリーが人気だし、あちこちオードリーみたいなお笑い芸人の裏側的な番組が流行っているし。表のような裏だし、裏を見せかけた表でもあって、それを隔てる境界線が揺らいでいるってことなのかな

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著者プロフィール

写真家/ライター。1972年生まれ。工業地域を遊び場として育つ。
千葉大学工学部卒業後、松下電器株式会社(現Panasonic)に入社。シンクタンク部門に10年間勤めた後、写真家として独立。出版、
イベント主催なども行っている。
著書に『工場萌え』(石井哲との共著、2007年)、『団地の見究』(2008年)、『ショッピングモールから考える』(東浩紀
との共著、2016年)、『立体交差』(2019年)など。
Instagram: @ken_ohyama、Twitter: @sohsai、Facebook: 大山顕(Ken Ohyama)。

「2020年 『新写真論 スマホと顔』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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