- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784860293222
作品紹介・あらすじ
「人に取られたくない」という独占欲が、愛のかたち-やわらかに耳を打つ、心を撫でられそうな篠崎サンの声。安心してよりかかれる気がするけど、どうしてそうやさしくするの?田辺聖子の恋愛小説。
感想・レビュー・書評
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さらっと読めるし、言葉づかいや文章から昭和の彩度が伝わってきて良かった。
主人公の楽観的で能天気で、でも抜け目なくやる感じが自分と似てるなあと思いながら読んだ。若い女の子の大半はこんな感じだと思ってる。
篠崎さんとのお別れは、まあそうなるよなと思ったから苦しくなかったけど、優のところは苦しかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
悪気がないのは分かっているから、責められない。余りの辛さについ、好きでいること自体を辞めたくなったりするけれど、それでも今を失う苦しみと天秤にかけて無理にでも笑ってみせたりする。
いつかこの辛さを感じなくなる日が来たら、それは恋が終わった時。ゴールなんてありそうで無い、恋の終わりはいつも、そんな感じなのだろう。
分かっているはずなのに
性懲りも無く何度でも 同じことを繰り返してしまう。
欲しいのは帽子でもダイヤでもなく
ただ1つの言葉だけだったはずなのに。
そんな気持ちを表現させたら右に出る者ナシ、と思う。
サスガおセイさん。
泣いて流してしまいたいのなら
ちょっと高級な
良い香りのシャンプーを買って
髪を洗いながらがいい。
泡も涙もそれと分からないとこがいい。
女のコは実はみんな、強い。
そうあらまほしい。
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ひとつの幸福を手に入れると
また別の幸福が欲しくなるものですね
そんなたくさん詰められないのに -
生々しく、湿度を感じるような彼女の文章にとても惹かれる。彼女が描く昭和時代のどうしようもない男女の色恋がとても美しい。そのどうしようもなさと言ったら、平成も令和でもさほど変わらないのに。憎たらしくいじらしい主人公の心情は、誰かモデルがいるのか(著者自身?)というほどリアルだ。
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田辺聖子の作品は夢いっぱいなんだけど、地に足の着いた現実味が必ずそこにあって、女心を緻密にかつ大胆に描いていると思う。すごく好き。
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図書館
田辺聖子さんの本の中で一等好きな本になるかも。
主人公の篠崎さんに対する思いが分かりすぎて、ちょっぴり涙がでた。 -
あそこまで勘違いできるのもすごい。
10代の子供じゃあるまいし…
と、読みながらイライラしてしまいました。
ラスト、何となく明るい未来?を想像できたのが救いでした。 -
あの人がいいか、それともこの人がいいか。
楽しく選んでいるつもりが、気づいたらみんな手の中から零れて去ってしまった。。
レイ子さん幸せになってほしいな。 -
花の香り、お好み焼きのソースの匂い、居酒屋の騒々しさ、五感を総動員して読みきりました!中年の優しさは無関心と同義語なんて、、、大人の世界はややこしい!
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女性の心理を描写の仕方が、女性作家の中で一番好き!
自分にも多かれ少なかれ、わがままだったり、あざとかったりする
嫌だけど、自然に生まれてきてしまう感情を
変に取り繕ったり、悲劇・自虐にしないようなところがいい。
自分も同じ、弱さがある、これでいいんだ、と素直に認められる。
知らず知らずのうちに人をてんびんにかけていたり
表向きの態度だけで一喜一憂し、本当に自分を考えてくれている人を
正しく理解できなかったことに気付いた後悔なども、うまい描写。
田辺聖子って、今でも変わらず女、少女、なのだな、と思う。
女としての人間味にあふれる方だと、尊敬している。