東大入試で遊ぶ教養 世界史編 増補改訂版

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  • 長崎出版
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860952693

感想・レビュー・書評

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  • 本書はタイトル通り、東大入試問題で世界史を考える本。

    私は30年前の大学受験生の時に世界史で受験したのだが、私立大学しか受けておらず、東大のような論述形式に対応した勉強をしていなかったこと、また更に世界史は必ずしも自分の中で得意科目ではなく、受験のために知識を詰め込むような勉強をしていたため、ほぼ何も頭に残っていない。

    このようなレベルの人が本書を読んでも、ほとんどの問題に解答できない(泣)。

    例えば、問題はこんな感じだ。

    1999年第3問
    問(1)
    アヘン戦争後に結ばれた南京条約で、清朝はイギリス人が開港場に居留することを認めた。その後、こうした外国人の居留地は清朝の行政権が及ばない特別な地域として拡大し、対外関係の窓口として特殊な発展をとげた。
    このような地域は何と呼ばれるか。又、こうした地域では外国商社と特に関係の深い中国人商人が成長した。彼らは何と呼ばれるか。それぞれ漢字二字で名称を記せ。

    解答例 租界、買弁(ばいべん)

    さて、租界はともかく買弁って・・・。
    買弁とは、租界における外国人の生活様式に慣れた中国人が、外国人との交渉で活躍した人々のことで、転じて、海外と結託して国民の利益を損なう者という、悪い意味で使用されることもある。

    この問題はどちらかというと単なる知識問題で、解説も上記に記したような内容だが、本書の他の問題では、問題を題材にその周辺の歴史的事実やそれらの関連性などがコンパクトに解説されており、ここがとても秀逸。

    問いはあくまで歴史を考えるためのフックで、解けるかどうかは二の次、分からなければすぐ解説を読み、そして問題が問おうとした主旨をあらためて考える。
    こうすることで、歴史の理解が深まる。

    なかなか良く出来た本だと思う。

  •  東大二次試験の世界史の問題を取り上げて、それらの問題の「解き方」と「解答例」、問題の背景となる歴史の流れを追う「歴史の勉強」で1章、全部で20章で構成されている本。
     教科書で習った各々の事柄をつなぎあわせ、どのように思考を深めて立体的に歴史を捉えるか、という作業を、東大の解答例を作成しながら行うことができる。「解き方」、「解答例」、「歴史の勉強」で3回、同じ内容を読むことができるので、それなりに頭に入りやすい。また、「自由貿易」の「自由」の意味や、複数の国と不平等条約を結ぶことで自国を守ることになる、などの解釈が新鮮で面白い。おれは受験で世界史を選ばなかったので、受験用の参考書としてどのくらい使えるのかは分からないが、一通り世界史を勉強した人ならこの本は面白いと思えると思う。(10/03/30)

  • 以前こちらでも紹介したものの改訂版です。実は、私のサイトの方で同書の感想を書いたところ、著者自身がコメントを下さいました。http://blog.goo.ne.jp/gankai2664/e/bfced6d77f2e64b6aee8edf16bfcdb35
    その中で、改訂版を用意しているとの案内をいただき、今夏出版されました。そして昨日読み終えることができたのですが、正直なところ、失礼ながら前回同様あまり良い感想はもてません。佐々木氏自身のブログhttp://blog.sasakitoru.com/200805/article_1.html
    で訂正箇所などが記載されてますが、訂正がなされていなかったり中途半端であったり、また内容に関する疑問点もいくつかありました。詳しい感想については紙幅の問題もありますので私のブログに記載したいと思いますが、やはり世界史に関する本は世界史専門の人でないと書けないのかと思わざるを得ません。

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著者プロフィール

河合塾物理科講師。生徒が毎回の授業を楽しみにしてくれることを常に考えている。授業内では趣味のプログラムを活かし,CG(コンピュータグラフィックス)を見せたり,教室で実験を行ったりしている。授業を受けた生徒からは,今まで解けなかった物理の問題がスラスラ解けるようになったと評判。予備校では,首都圏を中心に講座を担当。映像授業「河合塾マナビス」では「物理」に出講している。

「2021年 『物理基礎・物理の実験問題が面白いほどとける本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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