融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論
- ビー・エヌ・エヌ新社 (2015年1月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861009389
感想・レビュー・書評
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今日のユーザーインターフェースを語るには必読の書。デザイナではない人にこそ読んでほしいと感じました。
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タイトル「融けるデザイン」から "よくデザインされたモノは、その存在すら意識されずに使われる"という言葉を思い出し、帯にある「自己帰属感」がそれに関係する概念なのだろう、と興味を持ち購入した。
良質なUXとは、どれだけユーザーの思い通りに使役できるか、どれだけそのモノの存在を意識せずに利用することができるかで測れる。本書の最重要キーワードである「自己帰属感」を高めるようにデザインをしていくことで、ユーザーはコトに集中することができ、モノは日常や無意識下に融け込んでいく。 -
現代のデザインとはなにか、インターフェースとは何かを説明してくれる本。
透明性とか自己帰属感という考え方について、なんとなく感じていたことを論理的に説明されてスッキリした。
なかなか抽象度が高くて読みにくい部分もあったけど。 -
ギブソンの生態心理学を基にした、今という時代が必要とするデザイン論。分かりやすく、刺激的。
3章・情報の身体化がクライマックス。カーソルの自己帰属感の議論は目から鱗だった。
・体験することは「私」の存在を発生させる。
・映像を何本も持ち歩くことが可能となったが、2時間の映画を東京のような交通網で観るチャンスはなかなかない。
・パラレルインタラクションの世界では、文脈はデバイスから生活へ、拘束性は配慮へ、利用タイミングは集中から分散へとなる。
・深澤氏は「プロダクトデザイン」と言うと物質としての人が扱う「対象」の方へ注意が行ってしまって物の設計論になってしまうところを、「インターフェイス」と言うことで関係の設計論に置き換えようとしているのだ。
・リアリティの非情に重要な要素に「持続性」がある。
・情報や物質、メディア、職業の枠を超えて、人々の体験にフォーカスする新たな方法論が「デザイン思考」なのだ。 -
UI/UX論。『工業デザイン=インタフェース設計』であるという考えのもと、現代における最適なデザインを考察している。示唆に富むキーワードが提示されている。意識せずに(透明性、自己帰属性)、ツールの区別無く(連続性)、情報を使える(情報の道具性)。この視点で見ると、最近、日本に登場した会話する筒状のスピーカーの意味合いが見えてくる。良書。
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デザインを好きになったきっかけの本を再読。原点回帰。
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IoTについて考える前提となる考え方について、丁寧に解説してくれている
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今後の広義のデザインを捉えるためのヒントにもなり得る良本だと思います。
インターネットというメディアに淘汰されて、マルチインターフェイス化すること。
デザインする対象は体験であることなど、とても腑に落ちる展開で読んでいて納得感が得られました。 -
明治大学の渡邊恵太( @100kw )さんの本。
「デザイン」といえば、ちょっと前であればDTPやwebデザインがメインだったけれど、いまはちょうどパソコン以外のものがインターネットにつながり始めた過渡期で、新しいデザインが議論され始めている。本書は、サブタイトルに「ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論」と書かれている様に、そんないまの時代の議論を象徴するような本。
VisualHaptics、CursorCamouflage、smoon、Integlass、LengthPrinte、CastOvenといった自身の研究成果を交えながら、考えをまとめている。研究概要を知るには各研究の動画をYouTubeで見るのが早いのだけど、何を思って取り組んだ研究なのか、研究した結果得られた知見は何なのか、ということは動画を見るだけではわからないので、こういう文章の形で示されるのは面白いしありがたい。
Keita Watanabe | Interaction and Application Design Research
自己帰属感による道具と身体の境界など、認知心理学的視点からヒューマンインタフェースが解説されているのがとても面白い。この手の話で必ず出てくる書籍がドナルド・A・ノーマンの「誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)」なのだが、25年前の本で、正直あまり読みやすい本だとは思わない*1ので、まずは融けるデザインから読むのをオススメしたい。 -
「融けるデザイン」って何?と思って読んでみる。ネット時代のインタフェースデザインの話。
ただし、人対モノのインターフェースという概念を取り払い、新たな定義とその拡張をすることにより最終的にネット時代におけるデザインがどうあるかにつなげる。
これらの中で定義されていく、モノからコト、UX、ユビキタス、IoT、デザイン思考、これらの概念がすべてつながっていく。こんなにすっきりと世界観を定義できるのかと感心することしきり。
今までいまいち腑に落ちなかったインターフェースの話が何故もやもやしていたのかも非常にクリアになっていく。
誰のためのデザイン?を読んで影響を受けた人、意味もなく「UIはサクサク」と言っている人など関係者必読ではないでしょうか。
読んでみると「融けるデザイン」という題名の意味がようやくしっくりとくる、そういう深い本です。