- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861520839
感想・レビュー・書評
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秘密の知識 巨匠も用いた知られざる技術の解明
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内容も面白いけど、それよりもこれを画家がやっているということが大事だ。
21世紀、早いところ絵画を美術史家から取り戻さなければならない
美術史家・評論家と、芸術家との間がどうしてこんなに解離しているのか
絵を描く人と絵を見る人とが分離しているのなら、離れてしまってるのは描く人か?見る人か?いや、描いている人がそうではないだろう
見る人らの共同幻想、妄想を止めなければならない
矯正せねば
芸術を、評論家や歴史家から取り戻さねば!
良いな、と、思ったのは、画家が古くから光学機器を使っていた、という発見だけでなく、
「光学機器を使って描かれた絵を見ていた」
ということも光学機器の影響下にある、という指摘。
そうそう。
光学機器、カメラが日常的にある現代では想像しにくいかもしれないけど、
肉眼でしか世界をみたことがない人と、レンズの描く世界が認識の規範として存在している世界にいる人と、の間の大きな差を産んでいる。
絵描きに、「レンズのように見る」という規範行為ができたおかげて、写真のような描画、絵の描き方が生まれたわけであって、レンズのような、というものがないときには、「絵のように見る」を規範としてものを捉え描く、という描き方がひたすら繰り返され積み重ねられてたものだったのだ。
それを、片目で見る光学的図像と、両眼でみる目の図像と分けてるところとか、サイコーである。
そう、両眼で見る瞬間に、一点透視図法とかは崩壊しているのが本当なのだ。要素にわけることでわかりやすくなるものもあれば、本質を壊してしまうものもある典型である。
両眼でみるとは、どういうことか、ギブソンの生態学的視覚システムなんかを読みながら改めて問うべきである。
つまり、眼が写してるものと、脳が見てるものとの差異についてもっと自覚的になっていかねばならない。 -
西洋絵画の精密性を光学機械の活用だという仮説を検証するために、膨大な絵画を検証している大著だ.目で見て書き留めることの難しさと表現された図との差で、光学機械の存在が確実であることを示している.P184-185にまとめの図を示しているが、奇妙なことに写真が実用化されると、絵画の方が精密性から離れてきている.ピカソなどはその良い事例だと考察している.
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カラヴァッジョ、デューラー、ベラスケス、ファン・エイク、アングル、
西洋絵画史に名を残す巨匠たちが、絵を描く時にレンズや凹面鏡など
なんらかの光学機器を使用していたということを、描かれた絵だけを
物証として解き明かしている本。発表当時、過去の天才たちを愚弄
するものとして批判を浴びたらしいが、これだけの証拠を見せられる
と少しでも絵を描いた経験がある者には真実としか思えないのでは
ないだろうか。
遠近法で考えると、光学機器の発展が先か、世界観・宗教観の変化が
先か、あるいは同時相互的に変化していったものなのか。興味深い
ところである。 -
高い・重い・でかい、の三拍子。美術本だからこれが当たり前なのかもしれませんが、ちょっと読んでみようかな、というには敷居が高い設定です。せっかく一般受けしそうな内容なのだから、新書サイズで出していたら……なんて小市民的な発想でしょうか。ともあれ、内容は5つ星。読むときはページで手を切らないようにお気をつけ下さい。
※その後もう少し安い単行本も発売されたようです。
(図書館で借りた本) -
西洋美術の描かれ方(トレースや模写)について考える。
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ホイックニーの画家としての矜持、気合い、迫力に圧倒される。
写真は単眼、自力で描いた絵は複眼、そこに離れてみた時の力の差が現れる。