少女礼讃

著者 :
  • 青幻舎
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861527975

感想・レビュー・書評

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  • 私がした評価は、あくまで私個人の好みによるので、この写真集の出来映えを表したのではないのを断っておきます。

    まずモデルのポーズに自然さが感じられなかった。まるでデッサン用の人体模型の腕や足の関節をコキコキ曲げて写真家が置いた姿を写したかのように見える。すなわち血の通った生身の少女を撮ったというよりも、写真家の好みの人体ポーズを少女に好きなようにさせた姿を撮りました、というように思えた。
    それとモデルが舌をペロっと出した写真がやたらと多いのも写真家の嗜好なのだろうか?でもあまりその良さや、そうする意味自体が感じられなかった。

    私は沼田元氣さんの写真集「旅する少女の憩」は物語性があって好きだ。
    https://booklog.jp/item/1/4863504527
    モデルの表情の変化からは、写真家とモデルとの間で信頼関係が高まっていったことすらもうかがえた。
    だがこの本では写真の枚数こそ多いものの、仕分けをすればベロ出しとかアンニュイな表情とかで、たったの数パターンに収まってしまうような気がする。

    モデルのポーズの作り込み過剰といえば、同じく少女をモチーフに多用した篠山紀信さんを思い出す。紀信さんの作品もあまりにオリジナリティのあるポージングで、せっかくの美しい少女の姿にどうしてもモジャモジャ頭が重なって見えてしまったのを思い出した(笑い)

    写真家って(特に少女を題材にする男性の写真家って)何のために少女を題材に写真を撮るのだろう?デートやセックスの代替?もしそうならば、世の男性の多くもそのようにして撮られた少女の写真を見ることでその代替を同じようにできると思っているのだろうか?

    いや、実際にはそんな代替にはまったくなりはしない。
    なぜならデートやそれらは心と心が通ってこそ満ち足りるもので、写真家の独自の感性が転写されただけの少女には心を通わせられないから。
    もっと写真家・少女との間で仕立てる・仕立てられるというのとは逆向きの発想はできないのだろうか。そもそも少女に触れるなんて現実では絶対に許されない。二者間には絶対的な距離感がある。それを触れるか触れないかのギリギリまで写真家の技量で近づき、少女が見せようとしない秘された部分にまで近づき、そして写真家の最大限の技量としてついに少女に触れ、少女の内側まで写真に収めるという手法にこそ、2次元の少女の写真集が血肉の通う3次元に仮想現実化して、好きという感情にまで高められるような私の理想の写真集に結実すると思う。でもそんなもの、今は流行らないのだろうか?

    となると、この写真集も、写真家の一種のマスターベーションなのかな、と思う。
    実際、ヌードも何枚か収録されたこの写真集では、ぜんぜんチンピク(©小林よしのり)しなかった。

    1つだけ、大阪では知る人ぞ知る新世界の串カツ屋「八重勝(やえかつ)」が写っていて、少女が串カツを頬張る写真には笑った。こういう小ネタは面白いけれども、全体で見れば、私にとってはこの写真集は工場写真集と同じ扱いでしかない。

  • 写真家の情熱

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著者プロフィール

1978年愛知県名古屋市生まれ。写真家。2005年筑波大学卒業。
2007年キヤノン写真新世紀優秀賞受賞。まるでモテなかった高校時代を経て、
一目惚れした子を追いかけ続けた大学時代にカメラに出会う。2010年に
『スクールガール・コンプレックス』(イースト・プレス)、『思春期』
(ピエ・ブックス)など女子高校生を撮った写真集が大きな話題を呼ぶ。
その後『吉高由里子 UWAKI』(マガジンハウス)、『指原莉乃1stフォトブック
「さしこ」』(講談社)などトップ女優・アイドルの写真集を次々に発表。
近著に『ガールズフォトの撮り方』(誠文堂新光社)、『僕は写真の楽しさ
を全力で伝えたい!』(星海社新書)、『透明人間⇆再出発』(詩:谷郁雄、
ミシマ社)など。www.yukiao.jp

「2012年 『〈彼女〉の撮り方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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