値段と価値: なぜ私たちは価値のないものに、高い値段を付けるのか?

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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861826368

作品紹介・あらすじ

マクドナルドの「ビッグ・マック」は、日本では390円、スイスは728円、エジプトは195円で販売されているが、じつは環境保全や社会的コストを加えて試算すると、原価だけでも2万円を超える。逆に、高級化粧品の直接原価は1%以下と言われる。つまり2万円の香水でも200円以下となる。本書は、現在の経済システムでは“値段”と“価値”は比例せず、まったく異なる基準で決定されているという事実を構造的に明らかにし、そうした経済と社会のあり方を問い直した書である。「ニューヨーク・タイムズ」紙のベストセラーリストに入り、世界的な反響を呼び16カ国で翻訳出版されている。

感想・レビュー・書評

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  • 原題はThe value of nothing(無の価値)となっていますが、邦題の「値段と価値」はなかなかセンスが良いと思います。本書を読むとまさに値段と価値が違うこと、特に市場で付けられる値段が正しい価値を反映していないことが様々な事例から説明されます。たとえばマクドナルドのビッグマックは数百円で販売されていますが、生産に至るまでに実は膨大な外部不経済(環境への負担)が生まれており、それらを考慮すると2万円くらいの価値があるということになります。本書はそこから市場原理主義の限界と批判に移行し、賃金(労働商品の値段)も価値を反映していないと論じます。ゲイリー・ベッカーはすべての社会現象を市場の視点から分析しました。結婚すら費用便益分析で説明したのです。しかし著者はそれを明確に批判し、市場がつける値段ではなく、当事者が考える価値を自ら採用できる民主主義の仕組みが重要だと論じます。後半は特に発展途上国における食料問題に焦点を当てて、多国籍企業が異国の地の栄養分を搾取したうえでつける(不当に安価な)値段ではなく、地元民が持続可能な農業を進めるうえで適正と思われる価値を値付けする、という考えが事例ともに紹介されています。ときおり著者の独特かつ皮肉的な言葉遣いの理解が難しい個所もありましたが、一気に読める本でした。値段と価値の違いに注目せよ、というのは根源的な問いかけだと思います。

  • サッカー南アフリカワールドカップの裏で起きていたアパルトヘイト以来の改革。しかし、これは貧困層へはかなり厳しい仕打ち。こういった裏事情を私は知りませんでした。

  •  なぜソシャゲにウン万円がつぎ込まれる一方で、生きるために必要な水や米がもっと安い価格で手に入ってしまうのか。人生の豊かさとは何なのかを考えたくて本書を読んでみたのですが、少し方向が違いました。

     ただ新自由主義の崩壊、切ってもきれない政治と経済の関係など学ぶことは多かった。経済は人の生き方に深く関わっている。素人なりにもっと勉強してみたくなりました。

     ただもう少し筋道が理解しやすい書き方がありそうに思うのですが・・・



  • 消費の本体は倹約ではなく助け合うという行為

    市場の値段は価値ではなく利益で動いてしまっている。

    感謝や公平さは霊長類にも身についている

    ヘドニック・トレッドミル (快楽のランニング・マシーン )→自分はこれに煩わされているな。マネー=幸福ではない。 国家的な福祉レベルも一定レベルを超えるとそれによる幸福感は頭打ちになるらしい。日本は間違いなく頭打ちだろう。

    幸福とマネーは比例しない。
    幸福になるには幸福になろうとしていることを忘れなければいけない

    外部性
    マックのハンバーガー→生産コストのうち環境に与える負荷は価格に添加されてない→誰か (社会 )がそのツケを払っている。

    「有機栽培農作物やフェアトレード製品がなぜ高いのか」その答えは逆の製品にあった...!この視点はなかった
    →先進国で生活を営んでいるだけで世界を食い物にしている側に属しているんだなということがわかる。

    無料の品だらけの素晴らしき新世界

    WIRED創刊者:ネットは巨大なコピー機。
    コピーできなもいものでも、カスタマイズし、すぐに、本物を、直接、入手しやすくしたら儲けることは可能。

    様々な階級を活性化させる中心的な原則は虚栄心

    使用価値と交換価値

    美人投票→自分は最も美人と思う人に投票できず、また、真に、本当に美人な人を投票で選ぶこともできない。
    自分のツイッターが誰にも受けずに閑古鳥なのはこれと一緒かな。良い商品と思うものが売れるのではなく売れたものが良い商品であることも。

    共有地の悲劇→コモンズの食い尽くしではなく囲い込み (私有化 )が原因。
    食糧問題は人口が減っても解決しない。食糧が私有財産化されているから

    コーヒー農家のよう裕福になれない途上国の労働者がそれたる所以は資産 (土地、商流 )を他者 (多国籍企業など )にがっちり押さえられてしまっているから、自分で値付けをすることができないから?仮にその農地土地を持っていても、労働力を費やさないと稼げないし、費やした労働力はギリギリのところまで買い叩かれるから?

    とはいえ富の源泉として土地は強いなあ。今の自分は労働力しかない。

    専有・利益をひたすら追い求める市場制度は社会に最も幸福をもたらす制度であるとはいえないけど自己増殖の機能を持ちさらなる繁栄に向け自走し続けるという意味で勝ち残っている制度なのかもしれない。

    資本主義においてマネーは権利を持つための権利

    仏教経済学

    良き人生について

    プライシングは美徳を消滅させる
    美徳の追求とサバイバルは別問題

    西洋諸国に端を発するグローバルな市場経済制度以外の経済的価値観を推し進める運動
    メキシコのサパティスタ
    所有するものから管理するものら管理するものから共有するもの
    市場の拡大欲・利益欲

    ショックドクトリン

    私たちが信じているものを価格が示しているわけではない
    市場が悪、不要ではないが持続可能なものにしないと

    モラルとマーケット
    合理的市場という神話

  • 原題は、「The Value of Nothing - How to Reshape Market Society & Redefine Democracy」。

    市場価格に対して、それと異なる「価値」の方が正しい・妥当であると、どうして思えるのか。

    仮に、市場価格より「価値」が望ましいとして、具体的にどのような仕組みで実現するつもりなのか。市場経済ではなく、計画経済を行おうとして、失敗・崩壊した共産主義・ソビエト連邦という歴史的事実にきちんと向き合っているのか。

  • 東2法経図・6F開架:331.84A/P27n//K

  • 【新着図書ピックアップ!】
    あなたがカフェに行ったとしよう。コーヒー一杯が300円。
    高い?それとも安い?
    現在の経済システムでは、値段と価格は全く別の基準で定められているんだって。
    それってどうなの?っていう本です。

    【New Book!】
    Let's say you are in a cafe. A cup of coffee is 300 Yen.
    Which do you think this is expensive or reasonable?
    This book says that the price and the value are unrelated in the contemporary economic system.
    The author doesn't accept that and raises some questions.

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