- Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862482600
作品紹介・あらすじ
二一世紀の環境危機は、これまでの公害や環境問題とわけが違う。公害は、有害物質が排出され被害が生じる問題だから、有害物質を出さないようにすれば解決できた。だが、地球環境の危機は、地球が暖まるという問題だ。エネルギーを消費する限り、熱が発生し、炭酸ガスなど温室効果ガスのせいで、大気圏に蓄積していく。これを防ぐ唯一の方法は、炭酸ガスの排出を大幅にカット以外にはない。不平等条約である「京都議定書」の失敗を繰り言のように並べるのではなく、省エネ大国・日本だからこそできる「炭素税」「炭素会計」「炭素隔離技術」のプランを大胆に提言し、日本発の国際標準こそ日本のビジネスチャンスを広げる道であることを明らかにする。
感想・レビュー・書評
-
【由来】
「さようなら、ゴジラたち」で言及されてた。
【期待したもの】
・「宇沢弘文のメッセージ」を読んでて気になった。
【要約】
・
【ノート】
・宇沢さんへの言及はなさげ。サラリと目を通したけど(10分程度で)、ちょっと浅い印象。
【要約】
・
【ノート】
・詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
(大学時代に書いた書評が出てきた)
「炭素会計」とは、個人や企業のどんな経済活動がどれだけ炭酸ガスを排出したかを計量し、それぞれの部門や経済主体ごとに集計してその責任を明らかにするものである。そして筆者はこの炭素会計を、毎年度個々人に割り当てられた炭酸ガス排出量に基づき、基準を超えていれば課徴金を支払い、下回っていればボーナスをもらう、という仕組みとして運用されるべきだと主張する。
分解できない炭酸ガスを原因とする地球温暖化が今までの局所的な環境問題とは質が違うという説明は納得がいき、炭素会計の導入(本書によるとイギリスではすでに検討されているようだが)も今後必要であるように感じた。
ただ、本書は「炭素会計入門」という名を冠しているが、筆者が地球温暖化問題について執筆した雑誌掲載論文を集めたものであり、炭素会計に関する記述はそれほど多くはない。中心となる記述はこれからの温暖化社会に日本が取るべき国家戦略の提案であったと思うが、ばらばらの論文であるせいか一冊通して読んでも要点をつかみにくい本であった。
本書は洞爺湖サミット前に出版されたものである。洞爺湖サミットでは福田首相が筆者の求めるようには国際社会をリードできず、その福田首相も辞任してしまったが(ちなみに第一章の政策提案は安倍首相に対してなされていました)、本書が提案するような2100年までを見据えた温暖化対策を本気で考える政権がいつ日本に現れるのだろうかと気になるところです。 -
炭素の話も会計の話もないけど思想として、指針として非常に面白いし、この軸で様々な制度を再構成したらどうなるだろうかとイマジネーションがあふれる一冊。
-
地球温暖化の主原因である炭素に特化した対策として炭素削減法を大胆に提案している。炭素税などもそろそろ受け入れられていい時期に来たかなという印象を受けた。本当に効果のある対策は何か、新しいパラダイムは何かを考えるきっかけとして◎。