- Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862482976
感想・レビュー・書評
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それなりに面白かった。
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子供を持つ人や教育に関する職に就いている人にはとくに勧めたい。
地方と首都圏の差異, 教育における昔と今の変化、貧困層と上流階級の考え方や教育の差異 など、教育格差について 専門家ではなくフリーライターの視点で書かれている。
とくに述べられている点は、金持ちの子供は良い教育が受けられて 優秀な人材に育ち 金持ちになり、貧乏の子供は教育が不十分なまま育ち 早くに自立を迫られて 貧乏になる、という流れになってしまっている現状。日本の家庭を大きく 上流・中流・下流 と分けて検証したり実例を挙げたりしている。
国が家庭に与えている影響がどれほど大きく、家庭が子供に与えている影響がどれほど大きいか、当たり前のことでありながら 再認識させられた。
とくに注目した点は、親の収入は子供の教育に大きく関わってくるが 収入だけでなく、格差における問題は 「ハビトゥス」という概念が深く関わっているということ。フランスの社会学者が提唱した「ハビトゥス」は文化資本と訳されることが多く、それは「経済資本」「文化資本」「社会関係資本」の三つに分類される。
・上流は 友人や知人とのネットワークからなる社会関係資本こそ重視している。
・中流は お金も重視するが 社会関係資本にはあまり興味が無く、家庭にある本や芸術などの趣味・教養からなる文化資本を重視する。
・下流は 自分達に欠けているのは純粋に金のみだと思っており、文化資本や社会関係資本には興味が無い。まさに目に見えない差がまさに見えていない。
…ということ。この点については個人的に共感できる部分が多く説得力を感じた。(例えばエリートの友達の家庭のこと、生活保護を受けている友達の家庭のこと など、身近な交友関係からリンクさせて考えてみただけでも かなり繋がるので。)
教育格差が単純に経済格差から来るものではない、複雑さを感じた。 -
まず前提として、世間を"上流""中流""下流"の3つに分類し、
各階層がどこにフォーカスを置くか(文化や経済など)を捉え、
それに教育がどのように関係して行くかを考えていく。
その上で、私立・国立の中高一貫校や、
そうした学校を目指すためのスクールなどを取り上げ、
日本がどれほど「ボトムアップからプルトップに変化したか」を述べている。
論じるにあたり、例が多い点がよかった。
学校などの施設だけでなく、保護者や生徒などの言葉も載せており、
また、関東に偏らず、様々な地域の多様な例が記載されていた。
図書館で借りて読みましたが、ぜひ購入したいと感じた本。 -
□貧困に陥っいる人たちに対して、自分で現状を招いたのだから自分の責任だとするのが自己責任論である。何をもって責任とするかも問題だが、少なくとも「自分で現状を招いた」という前提は、持たざる者に想像力を働かせない強者の論理であることは間違いない。
□教育格差は単純に経済格差からくるものではなく、それは資本(家庭で子どもに伝達されるもの)によりの三つに分類される。
・経済力からストレートにくる経済資本
・家庭にある本や芸術などの趣味からくる文化資本→(例:家に本がいっぱいある家庭と全くない家庭では、子どもが本を読むようになる確率は前者の方がずっと高いということ。)
・友人や知人のネットワークからくる社会関係資本
下流→経済資本を重視してしまうので、目に見えない差がまさに見えていない。
中流→自分たちは知的だという自負を持っているので、文化資本を重視する。
上流→社会関係資本を重視する。