クレイジーパワー 社会起業家―新たな市場を切り拓く人々 (Harvard business school press)

  • 英治出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862760418

感想・レビュー・書評

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  • ビジネスとして成り立たせるタイプ、寄付金・補助金でやりくりするタイプ、そのハイブリッドの3分類それぞれのメリットデメリットが提示されており面白い。

  • タイトルの「クレイジー」とは(良い意味で)「常軌を逸した」や「狂信的」という表現が近い。世の中を変える人々は常に「クレイジー」な人である。彼らの実例集は大変興味深かった。

  • 数多くの(この手の本の中でもかなり多い方と感じた)社会起業家のビジネスモデル、資金源などを類型化し、起業を通じて社会を変革することがどのようにすれば可能なのかを分析した本。

    社会起業家の取り組みはその活動地域や分野の特性やリーダーの個性などによる影響が比較的大きいと思われるが、この本はそのようなケーススタディには敢えてそれほど深くは入り込まず、むしろ幅広い起業家を取り上げることで、社会起業家がどのようにして事業を立上げ、軌道に乗せ、社会に影響を及ぼしているのかを概観的にとらえようとした本であると感じた。

    その分、ドラマチックなストーリーはないが、この分野をこのように一度広い視野でとらえておくことは、大切なのではないかと思う。慈善団体に近いものから民間営利企業に近いものまで、社会の変革には様々な取り組みが関わっていることを感じさせる。

    以下、本書の分析の中で取り上げられている主な視点と類型。

    【視点1:ビジネスモデル】
    ・外部資金活用型非営利ベンチャー:公共財の生産やアクセスの提供には、政府だけでなく非営利のセクターが資金を得て取り組む法がよいこともある。
    ・混合型非営利ベンチャー:非営利と営利の活動を組み合わせることで、組織力を強化したり展開力を高めることができる可能性がある。
    ・ソーシャル・ビジネス・ベンチャー:環境起業家を中心に、そもそも営利企業としてスタートを切る事例も多い。しかし、収益の使い道に対する考え方は民間企業とはまったく異なり、投資家への還元ではなく、事業の拡張による更なる社会の変革であることが多い。

    【視点2:資金源】
    ・自費・親族・友人
    ・募金
    ・現物支給(スウェットエクイティを含む)
    ・投資家・財団
    ・政府資金
    ・販売料・手数料収入
    ・フランチャイズ展開
    ・企業とのパートナーシップ

    【視点3:ビジネスチャンス(10大格差)】
    ・人口増加
    ・経済的格差
    ・食糧問題
    ・資源問題
    ・環境問題
    ・健康問題
    ・男女格差
    ・教育格差
    ・情報格差(デジタルデバイド)
    ・安全保障問題

    【視点4:顧客満足度】
    ・アクセスの向上:医療サービスへのアクセス
    ・低廉な価格:低価格の医薬品
    ・適正な品質:途上国での100ドルパソコンの提供

    【視点5:技術の民主化】
    社会起業家がことを起こすに当たって必要なリソースのうち、一般の営利企業や政府が行う場合と大きく異なるアプローチを用いることがあるものとして、以下の4点。社会起業家はこれらを劇的に改善したり低廉に提供することで、大きな市場を作る。
    ・基礎的な建築部材
    ・物流の改善
    ・メディアの提供
    ・バイオテクノロジー

    【視点6:システム変革】
    社会起業家は、「ゲームのルールを変える」ことで、市場の失敗、政府の不作為に取り残されたニーズに新たな光を当てる。
    ・「透明性」の向上に公正な市場作りに挑む
    ・「説明責任」の中に新たな価値を位置づける(環境会計、トリプルボトムラインなど)
    ・「認証」制度を使い新たな市場を作る(フェアトレードなど)
    ・「土地改革」により社会の多くの人に成長への可能性を開く
    ・「排出権取引」のような新たな市場を作り出す
    ・「価値の評価・測定」の手法を開発し、優れた活動を誘引する(持続可能性の高いインフラの評価手法)

  • 社会起業家の事例集。
    大切なもの。先見性と持続性、それからビジョン。

  • レベル:超上の上(超オススメ)
    社会起業家とは、理想を追求する人たち。

    でも現代は非営利ではない。
    営利も求めているんだよ。

    この本は本当に素晴らしい。
    多くの本と決定的に違うのは
    成功例だけを取り上げているだけではない点。

    ビジネスには立ち上げて成功で終わりではない。
    再現可能性と持続可能性が必要になる。
    それをきちんと書いている良本だと思う。
    それ以外にもしっかりと色んな要素が書いてある。

    これから起業する人にオススメの一冊!

  • ソーシャルアントレプレナーって、最近流行りのような。と思って基礎固めの意味で購入。知っている起業家、会社もあったけど、全体的にとっつきにくいな、という印象。いわゆる営利目的の起業ではない起業を、タイプ別に分類して、それぞれの軸で分析。資本主義が生んでしまったスキマ、そこに生きる人たちに光を当てる活動は、社会起業家(狂った人たち)が先陣をきり、企業や政府は教力をすることでメリットがでるよ、という主張でまとめている。いろいろなエピソード、苦労話、成功談が書かれてはいるけど、なんでか感動ものめりこみもなかった。ソーシャルアントレプレナーの概論として、社会人の教養の一環として、一読しておくのは有意義かと。でもこの本より、ルーム・トゥ・リードの話とか、グラミンバンクのエピソードについて、もっと深く取り上げている本を読んだほうが、きっと楽しいし感動も大きいと思う。

    • ra1717さん
      この本は感動するための本じゃないからそういう感想になるのはあたりまえじゃないかなぁと思う。この本の持つ意義は、営利目的ではない(例:NPOだ...
      この本は感動するための本じゃないからそういう感想になるのはあたりまえじゃないかなぁと思う。この本の持つ意義は、営利目的ではない(例:NPOだから等)という理由で財政難に困っていると発言する人に対してや他者(営利企業や政府)からの援助によって非営利企業は成り立たざるおえないという考え方を持つ人の意思を変えられる可能性を見出している点だと思う。
      2011/12/14
  • 資料ID: W0159581
    請求記号: 335.8||E 48
    配置場所: 本館2F手動式書架(千葉)

  • 2011年18冊目。

    自社本のため割愛。

  • ・「常識のある人は、自分を世の中に合わせようとする。非常識な人は、世間を自分に合せよとする。ゆえに非常識な人がいなければ、この世に進歩はありえない」
    ・「直接的な活動によりパラダイムシフトを起こし社会ニーズを満たす人々」
    ・有能な社会企業家は自信に満ち溢れている。未来を予測するには自分の手で未来を作ってしまうのが一番だと考えている。そして、流れをつくり資金やリソースを引き付けるために明確なビジョンを持ち、何がどう変わるかを具体的に伝える事が重要
    ・シャドーシティー = 巨大スラム
    ・企業家は論拠を無視する
    ・「市場調査はバックミラーを覗くようなもの」
    ・「論拠となる事例を集めたころにはすでに手遅れである」
    ・公共善・公共悪
    ・企業家は飽きっぽい
    ・企業家は水平思考が得意、経営者は垂直思考が高い
    ・エンジェル投資家 財団 助成金 企業とパートナーシップ 合弁事業
    ・社会企業家は、問題の中にチャンスの兆しを見出す能力と、将来の市場やビジネスの土台を築くための強いリーダーシップ
    ・社会起業家が果たすべき役割の一つに、社会を変革する活動を持続可能なものとし、広く普及させるためには、政策の変革者としての役割も必要である
    ・社会・環境起業家は、自身のアイディアやアプローチの正当性を示すことが出来なければならない。「この案を採用すれば、非効率で不公正なシステムや慣行を必ず変革できる」
    ・起業家は、革新的アプローチを支援してくれる政治家・企業・熱心なリーダーをうまく味方につけ、そのコネクションを活用して活動の幅を広げていくべきだ
    ・長期に堪え得る十分な資金を調達できなければならない。
    ・「起業家同士の連携・相談、ネットワークや仲介制度の利用を拡大する」
    ・「他社に問題と機会を明確に示し、どのような支援を求めているのか明確に説明する」
    ・「事業進捗計画に対する人々の意識や考え方を変えさせる」

  • 2008年のダボス会議で参加者全員に配布された本。

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ジョン・エルキントンの作品

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