教えない授業――美術館発、「正解のない問い」に挑む力の育て方

著者 :
  • 英治出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862762658

作品紹介・あらすじ

表現力、論理的思考力、コミュニケーション力・・・「生きる力」を育むアート鑑賞




「どこからそう思う?」って聞いてみて!

これからますます求められる「主体的に学ぶ力」はどうすれば伸ばせるのだろう? 芸術鑑賞の手法としてニューヨーク近代美術館で生まれ、効果抜群の学習スタイルとして幅広い学年・教科、さらにはビジネス界にも広がり始めた「対話型鑑賞」の入門書。




★新たな学習法として注目高まる「対話型鑑賞」、待望の入門&実践書。

★実際の授業のやり取りの様子、幅広い教科・分野での実践事例を紹介。

★新学習指導要領が目指す「主体的・対話的で深い学び」を促す手法としても有用。




対話型鑑賞とは・・・作品についての情報や解釈を専門家や教員が一方的に伝えるのではなく、鑑賞者自身の思いを尊重し、グループでの対話を通して作品を味わっていく鑑賞法。1980年代にニューヨーク近代美術館(MoMA)で生まれた。鑑賞力だけではなく、観察力・批判的思考力・言語能力・コミュニケーション能力といった総合的な「生きる力」の育成につながる手法として、他教科での応用や企業研修への導入が進んでいる。




第1章 問いかけの魔法――対話型鑑賞とは何か

第2章 学びを促す仕掛け――対話型鑑賞の4つの柱

第3章 ある日の「教えない授業」

第4章 対話が生まれる理由――授業の中で起きていること

第5章 さまざまな分野で「対話型授業」

第6章 ナビゲーションの実践

第7章 よりよい学びの場づくりのために

第8章 対話型授業がひらく未来




ニューヨーク近代美術館で始まった「対話型鑑賞」。これを4年間かけて、美術にとどまらず全教科に応用・普及させた愛媛県。本著は対話型鑑賞の基礎とその可能性を具体的に提示する待望の一冊。――京都造形芸術大学教授 福のり子

感想・レビュー・書評

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  • 対話型鑑賞のエッセンスはビジネスにも日常生活にも適応でき、観察力・論理的思考力・創造力・表現力・コミュニケーション力を養うことにつながる。
    本書を読んで重要だと感じたことは、問題を発見し、論理的に思考し、情報共有を行うことで新たな価値観、思考に気づけること。
    答えのない問いに答えがないからこそ考えることは、自らが成長するために必要な要素の1つだと学んだ。

  • 超入門。内容は薄いけど、わかりやすい。

  • 対話による鑑賞は、美術教育だけにとどまらずいろんな学びの場面において有用なものが含まれていると思う。
    しかし、その出発点が視覚メディアであるというのがミソかもしれない。視覚による情報を言語化し処理するということは、右脳的思考と左脳的思考とを橋渡しするようなもの。
    そういった思考のスタンスこそ、今必要とされている学びの姿のひとつではないかと思う。
    この本の取組例をヒントに、自分でも何かできないかと考えていきたい。

  • VTS(対話型鑑賞)について書かれている本。
    以前読んだ「学力を伸ばす美術鑑賞」と内容はほとんど同じだが、国内の事例が載っている分、こちらの方が親しみやすかった。

    一番印象に残ったのは、終わりに書かれていた
    ディスカバリーについての話。

    discover(dis+cover)
    自分の目にかかったカバー(思い込み)を外すために、新たな知見を他者から得よう!

  • MoMAのアートを通じたラーニングメソッドでもある感じ、表現し、そして学ぶ。それを日本式に置き換えて導入した愛媛県などの事例を交えて新しい授業の形を紹介する本。残念ながら、それが成功しているという事例を感じないということはあるが、、、いずれにせよ強制的に導入するのではなく、自ら生まれてくる疑問とそれをファシリテートするファンクションが必要で、自分の経験を思い起こしても、それが毎週、10年間通ったアトリエの画家の先生だったことに気が付く。何を書きたいの?どうして書きたいの?そうかそうか、書いてみよう。小さかったころ、緑の木々が好きだった。黒田清輝の絵を模写しながら緑で塗っていくと先生が、この絵の緑って、本当に緑かな?と聞いてきた。その時、衝撃が走ったのを覚えている。あ、黒い、、これは陰に入っているからだ、あれ白いところもあるぞ、、、これは光が当たっているんだと。そういう気づきをMoMaは絵と向き合う方法として提示していて、決してそれ単体が究極的に学力やアートの力を伸ばすことにはならないのだと思うが、こうした考え方をする子供と、そうでない子供とで大きな差が生まれていくのは間違いない。見る、考える、話す、聞く。このシンプルなチャートを回す。それぞれ、丁寧に、じっくり見ること、なんでそう思ったのかかんがえること、感じたことを伝えること、そしてそのフィードバック、また他の人の新しい意見に耳を傾けること。インプリが非常に難しいし、本書でも苦悩している事例を多く提示しているのが特徴だが、これって大人が学んだほうがいいような気がする。絵を見て説明がきを見る時間が、絵を見る時間より長い人がいる、これは「13歳からのアート」でも記載されていたと思うが、絵と対話するというのは感じるということなんだということに気がついた。今週はMoMAに行ってみよう。

  • 2020.07.14 ビジュアル・シンキング・ストラテジーの日本版。日本にアレンジしたものなのでそれはそれで参考になる。ぜひ、試してみたいと思います。高校生や大学生、社会人の事例も知りたいと切に思います。

  • 美術から、とは思いつきませんでしたが、誰が見ても正解がない、ということからすれば、発言の練習は、やりやすいジャンルかもしれません。
    ニューヨークのMOMA行ったときに、偶然見ました。
    キュレーターが幼稚園くらいの子どもたちに、抽象画見せて、こら、何に見える?とかやってました。

    2020/06/19 更新

  • 「どうしてそう思う?」ではなく、「どこからそう思う?」。そして、「そこからどう思う?」

  • どうしてそう思う?という問いかけに対して40%は個人的な解釈が入る。どこからそう思う?の問いかけには解釈が20%しか入らず、事実ベースの発言が74%を占める。
    小学生の授業が検証対象になっていたけど、大人の会議なんかでもよく起きることで、個人解釈の発言が増えると同じイメージを共有することが難しくなり、議論の停滞やアウトプットの段階で「なんか違う」が起こってしまう。学校の先生の役割がナビゲーター/ファシリテーターになっていくというイメージが具体化できる内容だった。

    と、同時に自分が小学生時代に毎日授業してくれていた先生は何を教えてくれたんだろうか?その時の自分の頭の中では、クラスメートの頭の中では何が起きていたんだろうか?と悪い意味でなくノスタルジックな気分になった。5教科全部を教える小学校教諭の可能性(責任)の大きさを再認識。毎日同じ授業を受けているはずなのに、学力差や嗜好の違いが生まれるのはなぜだろう?

  • ニューヨークの現代美術館(MoMA)で生まれた「対話的鑑賞」の実践方法やその効果について紹介している。
    知識に基づいた鑑賞だけでなく、「どう感じたのか」、「何がそう思わせたのか」という問いを中心に鑑賞のワークショップが行われ、主体的な学びにつながっていく様子が印象的。
    実践例を与えながら易しい文体で書かれていて読みやすい。

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著者プロフィール

1982年7月、大阪府生まれ。2010年、夫・克明さんと東京・世田谷の桜新町に「インドカレー食堂 砂の岬」を開業。

「2015年 『不器用なカレー食堂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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