トリックといかさま図鑑 奇術・心霊・超能力・錯誤の歴史
- 日経ナショナル ジオグラフィック (2020年10月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863134690
作品紹介・あらすじ
極限まで洗練された騙すための手練手管! 広く信じられた怪異や、人々を虜にした見世物としてのいかさまは、こうして誕生した。
本当の魔法だと思われた人体切断や縄抜けなどの初期の奇術から、心霊写真、妖精写真、降霊会、超能力などのオカルトを作り出す仕掛けまで、多くの人を虜にしてきた「トリックといかさま」の歴史と手法をビジュアルで紹介する。フィクションの道具立てとしてもよく用いられる奇跡や奇術のネタを明かす。
とくに19世紀末からオカルトブームが生じ、現在も世界でも指折りの幽霊好きとして有名な英国での事例を中心に、オカルトとマジックの絡まりあう歴史をたどることができる。
“魔法”の見世物としての初期の奇術、オカルトブームを巻き起こした超常現象、手品の定番であるカードのトリックや錯視などを、ふんだんな資料とともに紹介する。人体切断、縄抜け、降霊会、死者・超自然との対話、エクトプラズム、ポルターガイスト、こっくりさん、念写、超能力、カード、念力、錯視、など。
感想・レビュー・書評
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19世紀から20世紀にかけての欧米における心霊術と、そのトリックを暴く奇術師たちの模様と、心理学の観点からも交えて、豊富なイラストや写真と共に紹介した本。
超能力としか思えない、驚愕のマジックを披露するマジシャンが珍しくなくなり、また、当時は影も形もなかったディジタル技術が広くあまねく普及した現代においても、まだ心霊現象についてその真偽のほどが明らかにされていない。
本書はナショナルジオグラフィックが発行しているものなので、当然のことながら心霊現象肯定の内容ではなく、ほとんどの心霊現象は何らかのトリックであることがマジシャン等によって暴かれている旨の記述が主である。
ただ、そうは言ってもあとがきに相当する「終幕」部分では「一見超常的に見える出来事~が、既知のトリックや心理学的現象で説明できる可能性があるからといって、超常的と思える体験すべてが否定されたとは限らない。」とも書かれており、まだ検討の余地は残されていることを示唆しているところはさすがと思った。
私も超常現象、心霊現象ネタが好きなので、その手の番組や書籍などを観る、読むことがあるのだが、トリックや心理学等で説明できるからと言って、必ずしも全部がトリックや錯覚ではないはず、と常々思っていたので先のコメントには「そうそう、その通り!」と拍手喝さいを送りたい。
あと、本書を読んでちょっと驚いたのが、「ロウソクの科学」で有名なマイケル・ファラデーが心霊現象が心霊起因ではなく、参加者の筋肉の動きによるものであることを証明する装置を考案していた、というところ。
まさか、心霊とファラデーに関連があったとは!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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心霊写真や「神の手」、巨匠による贋作?も、世界が揺れた嘘6選 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト
https://natgeo.n...心霊写真や「神の手」、巨匠による贋作?も、世界が揺れた嘘6選 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/040200162/2023/04/12
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毎度毎度のNHK、「ダークサイドミステリー」という番組が好きで、毎週楽しみにしている。
取り上げられるミステリーは、催眠術、降霊術、予言、SF、UFO、歴史などと幅広く取り上げている。
専門家を招き、なぜそれが起きたのか解説したり検証したりして「不思議」で終わらせないところが良い。
さて、番組でも登場した心霊写真は本書でも第一に取り上げられている。
全く似ていなくても、亡くなった親族に似ている!とする例は興味深い。
この「似ている」は、第五章の錯覚の心理学にある、「パレイドリア」という現象で説明できる。
あるいは、二重露出、という物理的トリックだったりもするわけだが。
トリックアートの図鑑も面白いが、こうしてマジックやいかさまの歴史とともに振り返ると、人が騙される理由が見えてくる。
207頁、
「脳は視覚を刺激する対象をそのまま受け取るのではなく、
細かな情報の断片から、
そこにあるのが何かを推測するに過ぎない。
ーリチャード・グレゴリー(2009年)」
エクトプラズムの射出の写真は今見ると、明らかにガーゼその他布類だろうと思われるが、
当時の人を笑うことなどできない。
思い込み、照明、環境、精神状態など、さまざまな要因がそこにある。
マジックやイカサマと心理学をつなげ、研究する、というのは面白くて、そしてとんでもなく実用的だ。
さすが元マジシャン(そして心理学の研究者)である著者!
本書は図版を見ているだけでも面白いが、しっかり読み込んで見ることをお勧めする。 -
メスメリズムや交霊術、心霊写真などのスピリチュアリズムと心理学、そしてエンターテイメントとしての奇術は三つ巴で発展してきた。トリックといかさまで騙す者、魅せる者、暴く者の歴史を豊富なヴィジュアル資料と共に辿る。
リサ・モートンの『西洋交霊術の歴史』と重なるところも多かったけど、テキストより図版がメインなのと、著者が元マジシャンの心理学者ということで霊媒師のトリックを暴いてきたマジシャンの活躍が多めに紹介されている。ちなみに邦題は「図鑑」とついているけど、細かい項目を立てて解説するといった体裁ではない。
トリビア的には、ロベール・ウーダンがシルクハットに燕尾服姿を着用したのがきっかけでマジシャンのイメージがその恰好になったというのが面白かった。当時は魔術師っぽいローブを着たマジシャンが多く、客席にいる紳士たちと同じ最新ファッションでステージに立ったウーダンは革新的だったという。ウィジャボード(こっくりさん)が動くメカニズム=観念運動効果を発見したのはファラデーだというのも面白い!ある科学者はそれを指して「”霊”とは総体としての”私たち”を表すのではないか」と言ったらしい。
変化盲や選択盲などの錯覚の話も面白かったし、心霊研究と実験心理学はある意味二人三脚で発展してきたということを学べる一冊だった。 -
19世紀~20世紀の、初期の手品が徐々にスケールアップして、ショーとしての「タネも仕掛けもある手品」として発展していった一方で、降霊術や超能力など「超常現象・オカルト方面」へと発展していったものとが、互いに関係しながら発展してきた「歴史」が学べる一冊。
図版多数ですが、あくまでオカルトの流行の流れを追う体裁ですので、「オカルト現象だけど、じっさいはタネも仕掛けもあった詐欺」の個別具体的な手法についてはあまり触れられてはいないので、そういうトリック集みたいなものを期待されてると、そういう本ではないです。(どちらかというと、歴代の有名マジシャン、霊媒師、超常現象研究家の名前一覧みたいな情報が主になります) -
フーディーニ!テスラ!
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真面目な本だった。
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なんか書名が安っぽい感じがするけれど、もともとは英国のウェルカムコレクションによる「スモークと鏡 マジックの心理学」という展示に合わせて出版されたもの。19世紀のオカルトブームから20世紀の超能力まで、イギリスを中心に世を賑わした霊能者や超能力者たちとその欺瞞を暴こうと戦った奇術師や科学者の歴史を大量の図版とともにたどる本。貴重な図版の数々を見るだけでも眼福。
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/770473
あなたは騙す?騙される?
本物の魔法だと信じられていた
奇術・心霊・超能力・錯誤の歴史を紐解く!
元マジシャンで心理学者の著者が、人の心理を巧みに誘導し、手技を自在に操る鮮やかな手法を語ります。 -
こちら六本木の文喫で読めましたよ。
2023.夏時点