西洋アンティーク・ボードゲーム 19世紀に愛された遊びの世界
- 日経ナショナルジオグラフィック社 (2021年1月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863134973
作品紹介・あらすじ
ヨーロッパのボードゲームが花開いた黄金時代。「西洋版すごろく」の豊かな世界をビジュアルにたどる。
本書で紹介するゲームは「西洋版すごろく」とでも言うべきもので、古き良き意匠がほどこされたマスを追って眺めているだけでも、子供のころのわくわくした気持ちがよみがえるだろう。
初期の高価な手彩色のゲームは上流階級向けの娯楽だったが、安価な大量生産が普及し大衆化するとともに、扱うテーマもデザインも多様に変化していった。
ボードゲームの基本となった《がちょうのゲーム》は、サイコロを振ってマスを進み、マスによっては前進後退の仕掛けがほどこされた、おなじみのすごろくだ。《がちょうのゲーム》は中世に遡る起源をもつ。この伝統的なコース設計やルールを土台に、観光旅行・レジャー・学習・道徳・広告・プロパガンダ・風刺といったテーマと融合させて、新しいゲームがいくつも生み出された。
新しいゲームに選ばれたテーマとは、すなわち19世紀ヨーロッパの世相を反映する流行や社会問題でもあった。著者は娯楽としてのゲームの楽しみとともに、どのようにゲームが世界を映し取ったのかも解き明かす。
著者が蒐集した一級のコレクションから89種のゲームを紹介。現存数の少ない希少なゲームも含まれており、他に類のない資料性も高い一冊。
感想・レビュー・書評
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たまたま手にとってみた本。
アンティーク・ボードゲームとは言うけれど、平たく言ってしまえば「すごろく」に近いものばかり。
ほとんどのゲームは「ガチョウのゲーム」を原型にしたものであり、賭け事が絡んでいる。すごろくと違うところは2回振るとか一回休みのマスが慣習的に決まっているか否かの点くらいか?道徳的要素や教育的要素が高いものはその国々の独自性があっておもしろかった。あと後半にちらほら出てくる出世系のゲームは人生ゲームを彷彿させる。
結局、モノが変わり時代が変わっても、原型は同じところへたどり着くってことなんだろうなあ。
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西洋アンティークボードゲーム
17世紀イタリアで生まれ、その後ヨーロッパで広く親しまれたボードゲーム「がちょうのゲーム」のコレクションをカラー図版で多数紹介。
所謂すごろくである。元は全体ががちょうの形に見えるようにマスが並べられていて、がちょうの絵が描いてあるマスに止まると2倍進めるというルール。がちょうの他に「牢屋」や「死」などのマスもあり、それぞれ中世キリスト教の象徴性を帯びているというのが面白い。
このゲームは大人がギャンブルをするために生まれたが、時代が下るに従って子どもの遊びになっていった。この辺は日本のすごろく事情とも重なっている(流行りすぎて禁令がでたのも一緒)。
印刷技術の向上と共に凝ったものが出回るようになり、19世紀には地理や歴史を学べる教材としても使われたという。賭場から生まれたゲームが教育の場にまで登りつめたのだ。また、政治を皮肉ったりスキャンダルを語ったり、ゴシップ誌のような役割を担って大人の社会にも舞い戻ってきたようだ。
ビジュアル的に面白かったのは、フランスで発行された「fín de siécle」(世紀末)のすごろく。揺りかごに入った赤ん坊だった"19世紀"が、大人に成長し20世紀の夜明けを迎えるまでがすごろくになっている。 -
@図書館
説明が分かりやすくて良かった
美しかった -
第76回アワヒニビブリオバトル「あかし」で紹介された本です。オンライン開催。
2021.06.20 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/770472 -
マス目に「デス」があってびっくりした。海外のボードゲームは甘えなしだなと思った。
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いろいろ勉強になったが一番の驚きは、19世紀の百年間に出版されたのは同じゲームの焼き直しばかりで新規ゲームデザインは行われていないということで、重く受け止めなければならない。
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19世紀に製作された主にヨーロッパのボードゲーム(のうちの双六系のもの)を集めた画集。いくつかにジャンル分けした上で簡単な解説を付しただけで、ボードゲームの歴史や文化といった面に興味がある人にはちょっと物足りないかもしれないが、収録数も多く図版も美麗で、純粋に観て楽しむ分にはこれ以上ない内容。眼福。