左川ちか全集

著者 :
制作 : 島田龍 
  • 書肆侃侃房
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本棚登録 : 218
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863855175

作品紹介・あらすじ

詩の極北に屹立する詩人・左川ちかの全貌がついに明らかになる──。

萩原朔太郎や西脇順三郎らに激賞された現代詩の先駆者、初の全集。

すべての詩・散文・書簡、翻訳を収録。編者による充実の年譜・解題・解説を付す。


装幀:名久井直子

感想・レビュー・書評

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  • 【試し読み】左川ちか「昆虫」「錆びたナイフ」「海の捨子」(『左川ちか全集』より)|書肆侃侃房 web侃づめ(2022年7月7日)
    https://note.com/kankanbou_e/n/nbd9317c2fff8

    今週の本棚:鴻巣友季子・評 『左川ちか全集』=島田龍・編 | 毎日新聞(有料記事)
    https://mainichi.jp/articles/20220521/ddm/015/070/028000c

    『左川ちか全集』(島田龍編)を2022年に刊行します。|書肆侃侃房 web侃づめ|note
    https://note.com/kankanbou_e/n/nf15c79b16801

    『左川ちか全集』左川ちか|詩・俳句・川柳|書籍|書肆侃侃房
    http://www.kankanbou.com/books/poetry/0517

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      左川ちか全集 : daily-sumus2
      https://sumus2013.exblog.jp/32681121/
      左川ちか全集 : daily-sumus2
      https://sumus2013.exblog.jp/32681121/
      2022/05/25
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      自著を語る / 日本の古本屋 / なぜ『左川ちか全集』は生まれたか―書物としての「左川ちか」と解放の企図―
      https://www.kosh...
      自著を語る / 日本の古本屋 / なぜ『左川ちか全集』は生まれたか―書物としての「左川ちか」と解放の企図―
      https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=9731
      2022/07/25
  • 北園克衛に見いだされデビューした北海道出身のモダニズム詩人の詩・翻訳・散文・書簡などを網羅した一冊。


    若くして北園と『エスプリ』という雑誌の共同編集もしていたという女性。知らなかった。やっぱり北園や西脇順三郎に似てもいるけど、同時にその二人とは違う鋭さや切実さが宿っている気がする。本書では翻訳業と並べられているので、そこから吸収していったものが如実に見えてくるのも面白かった。フィクサーのような存在だったという伊藤整は「女性の肉体を感じないか」と言ったらしいけど、官能的というより植物的だし、低体温で時に金属的ですらある文体が魅力だと思う。尾崎翠や松村みね子を尖らせたみたいな。
    キンと冷えた詩作から一転、散文は親しみやすいモダンガールという感じで、特に親友・江間章子について書いた文章は青春のきらめきが眩しい。自分をこんな風に書いてくれる友だちが24歳で亡くなるなんて、江間さんも辛かったろうな。左川は小説を書く気だと語っていたそうで、この容易に文意を掴ませない詩の作風がどんなふうに昇華されるか読んでみたかった。「甘まい、アイスクリームのように、舌の上に乗せるとすぐ融けてしまふような小説」かぁ。

  • 夭折したモダニズム詩人の全集。詩、翻訳詩、散文、翻訳が収録されている。全集とだけあって解説もとても充実している。モダニズムといえば稲垣足穂が真っ先に思い浮かぶけれど、彼女の詩や散文も足穂のように硬質で乾いた手触りを持つ。削ぎ落とされ、磨きあげられた言葉達は美しい結晶だ。そして風のような疾走感を持って胸に迫る。若くして亡くなったのが悔やまれるほど、もっと彼女の作品が読みたかった。翻訳ではヴァージニア・ウルフの作品も。

  • 昭和の初期にほんの数年だけ活躍した詩人の全集。短い人生ゆえに、詩の他、翻訳や日記等の散文、書簡までを含んでもこの一冊に纏まってしまうのが痛ましくもある。詩の読み解きは難しいが、翻訳に選んだ作品の傾向や周りの人々との交流の様子、特に兄の親友でもある同郷の伊藤整との交流の様子などが興味深い。

  • 詩を読むのは苦手だ。ずっと避けてきたように思う。でも「食わず嫌い」は良くないと思い切って手にした一冊。そんな初心者にはハードルが高すぎたかもしれぬ難解な作品が多かったように思う。

    それでも得るものはあった。詩は黙読するよりも、声に出して音として耳から入った方が良い。あくまで私にとって有効だった方法だが、黙読だとどうしても意味を考えてしまうところが、音ならイメージをただ頭の中に浮かべる感覚で受け取ることができた。まあ、私の理解力が低いせいで、そのイメージがとりとめのない理解不能なものになってしまうのだけど。

    でも素敵な言葉にも出会った。著者・佐川ちかの詩論が書かれた『樹間をゆくとき』の中の言葉だ。

    ❝詩は言葉の勉強だと思ふ。併しそれは話すやうな言葉とちがつて、表面から見えない心の言葉である。思惟の中から選ばれた言葉で空間を充すことであると思ふ。❞
    (p.221)

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著者プロフィール

詩人・翻訳家。本名川崎愛。1911年生まれ。北海道余市町出身、十勝地方の本別町で幼少期を過ごす。庁立小樽高等女学校卒業後に上京。10代で翻訳家としてデビュー。J・ジョイス、V・ウルフ、ミナ・ロイなど、詩・小説・評論の翻訳を残す。1930年に筆名を「左川ちか」と改め詩壇に登場する。同郷の伊藤整を始め、北園克衛・春山行夫・西脇順三郎・萩原朔太郎らに高く評価、詩誌『詩と詩論』『椎の木』『マダム・ブランシュ』などで活躍した。将来を嘱望されたが1936年に死去。享年24。J・ジョイス著/左川ちか訳『室楽』(椎の木社、1932年)、遺稿詩集『左川ちか詩集』(伊藤整編・昭森社、1936年)。本書は初の全集となる。

「2022年 『左川ちか全集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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