キズナキス

著者 :
  • 静山社
3.10
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  • (3)
本棚登録 : 142
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863893986

作品紹介・あらすじ

中学2年の夏。主人公の日々希は吹奏楽部員。想像力が豊かで頭の中ではいろいろな景色を思い描いているが、ひとの輪からはみださないように、ひとから嫌われないように、いつも本心や空想を表に出さずにいる。
日々希たちの暮らす錆猫区では、情報通信技術や人工知能を応用して、人と人との絆を深めようという試みがはじまっていた。その一環として、生徒一人一人に、言葉に出さないひとの思いや頭に思い描いたことを読み取ることができる、マインドスコープという装置が配られる。お互いの気持ちがわからずにすれ違ったり、疑心暗鬼になったりするよりは、本音を読み合えたほうが絆は深まると言うのだ。
一方、転校初日から不登校を続けていた美少女・天狼朱華が突如登校するようになったが、彼女は一般人では手に入らない「マインドプロテクター」で心を読み取られないよう、ガードしていた。一日中パソコン室にこもる朱華。ある偶然から日々希が朱華のモニターを除くと、そこにはクラスメイトたちが測定したマインドスコープの膨大な記録が――。本心を隠すこと、伝えること、つながること、孤独であること。少女たちが抱える痛々しい思いは、やがて恐ろしい結末へと向かっていく。

感想・レビュー・書評

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  • 梨屋アリエさんは「きみの存在を意識する」を呼んで、他の本も読もうと思ったのがきっかけ
    表紙が気になり読み始めた
    登場人物たちの言動から、友達って本当に必要なのかなって思った。日々希の性格の子、現実にもいる。でもキズナキスはその性格を何度も出し過ぎ。ちょっと飽きる。
    結末も微妙だったため星は三つに。

  • 児童図書にしては救いがない内容で終わりも幸せとは程遠い。現実的な内容で主人公も周りの目を気にして生活し、友達を表面ではいい顔し本音を明かさない。性格がひねくれてるけど、大人になった今読むといるよねこういう子とか自分と同じ考えだって離れて読む事ができるけど、中学生の時に読んだらショックかも。夢見る子だったので人の悪の部分を知るのは苦痛だったのでこの本は今読んで正解かも。こういう風に思っていた自分が許せなかった当時の自分、それを引きずっていた現在と今もなんで他人の事否定的に考えるのだろうと思っていたけど、自分だけじゃないって教えてくれた一冊。


    普通の小説だったらただの話と思って読んでいたと思うが児童図書は子どもに考える力など成長を促す本と考えているのですごく心に刺さる本と思ったのかも知れない。

  • 登録もれ。あらすじを見ながら記憶をたどるが、どんな本だったか覚えていない。ただ発売当初に読んだのは覚えている。印象に残らなかったのだろうな。

  • 娘が借りてきた本をちょっと読みんでみたら先が気になって全部読んでしまった。
    最初は読みやすく面白い。少し近未来の設定のよう。中学2年生の日々希が主人公。実験的な試みとして相手の心が読めるという機械が支給される。吹奏楽部やクラスでの人間関係に気を使い、本心を読まれないように行動することは窮屈で読んでいても息が詰まりそう。中学生女子ってこんなにしんどいのか。同調圧力と閉塞感。
    一方で学校で孤立している朱華と徐々に距離を縮める日々希。本音で付き合える友達か…と思うのだが。後半の展開が急な上に、暴走気味でちょっとついていけない。日々希や朱華の家庭環境なんかも明らかになっていくのだけど、結末がなんだか悲しいし、腑に落ちない。なんとなくこわい。希望がないなぁ。
    あとがきを読むとちょっと納得。作者もやや混乱気味でどう物語を終わらせるか迷いのまま仕上げたのではないかという印象。前半は良かったのに後半がやや残念。考えさせられる内容ではありました。

  • かなりつらい物語。前半はひたすら周りを気にする主人公にすごく疲れ、後半、天狼さんとのからみでおもしろくなってきたところで彼女が暴走。どちらにもそれぞれ生育上の問題があるし、絆プロジェクトのこわさやなんかもとても納得のいくものではあるんだけど……そういう意味ではディストピアものなのかな。

  • 他人の心が読める小さな機械を当たり前に受け入れる中学生達の中で、心の表層を取り繕い同じ吹奏楽部の友人達と仲良くあろうとする一方で疲弊もする日々希と、読まれないよう常に保護し孤立している元不登校の朱華の、二人の間では素を曝け合う友情と崩壊。結末が激しい。PC上に想像して作り出す仮想空間がファンタジック。

  • 2018/7/2

    913.6||ナシ (3階日本の小説類)

    中2の主人公たちの暮らす街では、生徒一人一人に、言葉に出さないひとの思いや頭に思い描いたことを、読み取ることができる装置が配られた。本音を読み合えたほうが絆は深まると言うのだ。
    しかし、子どもたちは自分の本心を読み取られないように心を構え、やがて恐ろしい結末へと向かっていく。
    本当の自分はどこに行ってしまったんだろう。 これでいいのか???

  • 浮かぶ映像が綺麗な物語だなというのが全体の感想。
    少女たちが戸惑いながらも気持ちを読み取るという新しいガジェットのある世界で日々の生活を送っている。
    梨屋さんの文章は「キューピッドのような」というような表現や色や満月など、空間の映像を繊細に感じることができ、花火、音楽、絵画などと共に心の中が繊細に描かれていて、独特の世界の中をすーっと旅をした感じがした。
    綺麗なアニメを見ているような感じ?

    結末は悲劇に向かうが、スーッと通り抜けた感じで読み終えられて正直ホッとした。
    実は少し狂気やサスペンス的な方向へ向かって行くシーンでは、ここまでは必要なかったのでは?とかんじた。
    その点で中学生にこの物語を進めるかどうかに最後にクエスチョンが付いてしまった。
    ちょっと怖いという感じがした。
    高校生とか大学生向ならおススメと感じた。

  • Arie Nashiyaさん(@nashiya.arie) • Instagram写真と動画
    https://www.instagram.com/nashiya.arie/

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    http://www.sayzansha.com/jp/books/978-4-86389-398-6.html

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著者プロフィール

栃木県小山市生まれ。児童文学作家、YA作家。
法政大学兼任講師。
1998年、『でりばりぃAge』で第39回講談社児童文学新人賞受賞し、翌年、単行本デビュー。
2004年、『ピアニッシシモ』で第33回児童文芸新人賞受賞。『ココロ屋』が2012年全国読書感想文コンクール課題図書に選ばれる。その他、『プラネタリウム』『わらうきいろオニ』(講談社)『スノウ・ティアーズ』、『きみの存在を意識する』(ポプラ社)など著書多数。

「2020年 『エリーゼさんをさがして』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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