- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784864104388
感想・レビュー・書評
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「日本は先進国なのだから食料は海外から輸入すれば良い」「和牛など海外から求められる高品質の食品を輸出するなどして農家は自助努力によって所得を向上させるべき」といった誤った考えを改めさせられた。また、よく理解もせずに農協は既得権益を守るために自由貿易を妨害している団体と看做していた事を反省した。海外では自国の農業を保護するための多額の補助金を農家に給付していること、JAはそれぞれ専門の企業では進出できない(利益が出ない)地域におけるインフラを担っていること、農家はJAから農薬を買わざるを得ない訳ではないことなど、これまでの自分のインプットが開放を推進する側(それによって利益を得る側)の情報に偏っていたことを認識した。この本に書いてあるように、農協の解体が進み、日本の食料が海外資本に牛耳られることとなった場合、まさに新型コロナウイルスのような世界規模の災害が起きた時、国内のマスク不足の問題を上回る食料危機を招くのではないかと危惧している。この問題について逆方面から触れる本を読んで両側面から判断をしたいと思う。また、発刊から数年が経っており、現在の情報にアップデートした改訂版を読みたい。
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先程この本を読み終わったんだけど、全然知らなかった。
JAは悪だみたいな漠然としたイメージを持っていたけどJAが過疎地域にとってインフラとして機能していることや、別に農薬買う必要がないこと、JA全中がアメリカで日本に安心安全なものを輸入するために頑張っていることなどなど、全く知らない事実の連続でした。
そして、JAが非営利団体である事でどれだけの恩恵を消費者が受けているかという事。
株式会社が偉いというような認識は農家の人が税金で守られていない(アメリカやヨーロッパは国から農家へ多額のお金が支払われていて安定的に食物を作れる、輸出出来るようになっている、実質お給料の出どころをみると公務員のようなもの)この国ではJAは必要だと思わされた。ただ、今、農家が株式会社になる事がすごく増えててそれは国からお金が出るからみたいなことを誰かが言ってたけどその辺りは今度調べてみたいと思うが。
いずれにしても、国は六次産業とか諸々良さそうなことを言ってるけどいっこうに農家を守ろうとはしていなくて、モンサントを始めとした穀物メジャーの数十年に渡る戦略にのってしまっているんだなということがよくわかった。
食料安全保障ということを全く考えたことはないけど、そういう大きな問題がほとんどの人が知らない間に何かしら進行しているんだなと思うと、恐ろしくなる。
今度はJAに批判的な人の本を読んでみようと思う。 -
間違って三橋貴明の本など借りてしまったのだが、農協準会員問題も含めて論を展開しており、なかなか面白かった。
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反TPPの主張根拠が良く分かった。納得。しかし、農協を守り抜いたその先に何が待っているのか…
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農業と農協、TPPなどを分かりやすく説明した本ではあるが、対象が善悪ありきで少々偏っている。著者の本全体に言えることだが、データを示すのはいいがもう少し客観的に冷静に物事を記して欲しい。
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世間の人の知らない農協をちゃんと書いて、伝えてた良書。ほんっと世間の人たちは適切に農協批判をしていない。農協が知らせてないし、みんな知ろうともしてないからだけど、農協は意外と素晴らしいよ、ほんとに。しかし、批判すべき点ももちろんあるので、とりあえず批判したい人はこの本読んで、ちょっとでいいんで農業かじって出荷まで持ってくといいと思う。農協の役割がわかるから。
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日本の食料安保の基礎となっている農協の役割について、マスコミの表面的な論調とは一線を画す、歴史の紹介や分析が述べられている。
視点としては正論で説得力もあるが、農業の現場に立ち、実際に農協という組織に接してきた立場から一つ言わせてもらえれば、農協という組織を担っている職員及び管理職そしてトップにまで言えることだが、三橋氏が言う農協のその基本的役割をどの程度理解し仕事をしているかという問題だ。
巨大組織とその歴史に甘えて、組織防衛に眼が眩み、組合員ひいては日本の農業の育成、そして食糧安保の大儀を忘れている農協構成員、そして実際に農業を担っている農業人の意識の問題にも切り込めていれば、なお一層の説得力がもてただろう。
そこのところの分析と具体策を筆者には期待したい。 -
食料自給率 カロリーベース 39% 生産額ベース 65%
日本の穀物輸入のシェア アメリカ 小麦52% とうもろこし 45% 大豆60%
サウジへの原油依存度 30%
レントシーキング 政府の政策により特定の分野に新規参入を果たし、既存のパイから他人のGDPを奪い取っていく行為
1945/8/14-1947にかけての日本の飢餓
鉄道輸送の破壊により都市への食料の輸送が滞った
農民 戦争中政府に無理やり食料を供出され不信。そのため食料供出がすすまず
1945年 40年ぶりの不作
朝鮮半島、台湾からのコメの移動ができなくなる
カロリーベースの自給率 破棄分が分母にはいってしまう
農協
代表機関 JA全中
経済事業 JA全農
信用事業 農林中金
共済事業 JA共済連 -
興味深い内容だった。規制改革を真っしぐらに行った結果が現在。良かったことなどあるのかと疑問になるほど悪い結果になっている。国とは何か、ビジネスとは何か、深く考えさせられる。
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普段この手の文章を読まないので引用が多くて取っ付きにくかった。このたびの農協改革をめぐる1冊。アメリカの日本人の食生活改変計画とかは面白く読んだ。国政と国民とでは「対アメリカ」は違うし、対アメリカ政府と対アメリカという国も違うのでこんがらがるのが、本書はわりとアメリカや諸国と比べて日本はこんなにも素晴らしい。なのに日本政府は、、を繰り返してばかりであれ?さっき読んだ?と感じる。同じ論調で畳み掛けている。
しかし、法案の細部を引き合いに出してこの一文に注目だとかはなるほどなるほどの連続。法案なんて全ての文章に推敲を重ねて意図を含んでいるのは当たり前。読み解けてないこちらの知識不足を痛感する。
全農の株式会社化とまではいかなくても、単位農協は自己改革を図ってもがいているので、この先農協の担う事業の幅は目論見とは反対に成否はわからないにしても、おのずと広がるだろうと思う。
食料自給率の問題よりも、本書でもすこし触れているように、地域の盛衰にはインフラ整備である。採算を度外視した地域のインフラ整備をどこが行うかである。結果的にいまは農協が多く担っているので、農協が縮小したり街に出て行くと行政か社会的責任に力を入れている企業が代わりを務めることとなる。それがスムーズに入れ替わらないとしたら、農協改革の煽りを受けて地方に打撃があるやもしれない。それが著者のいう亡国の序章なのかもしれない。しかし反対にこれを機に、農協自己改革で地方はさらなる活性化するやもしれないので、となると株式会社化という脅しは脅しでとどまれば日本のためになるのかもしれない。わからないので〇〇かもしれない、ばかりの感想。どうなることやら、どうしていったらいいのやら。