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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865282290

作品紹介・あらすじ

政治、経済、科学、芸術など超豪華講師陣が中高生に21世紀の論点を語る
すぐに役立つものはすぐに廃れる時代には、時間がかかるとされても本質的な「考え方」を鍛えなければなりません。

・なぜ本を読むのか?
・なぜ美意識は必要なのか?
・ことばをどう鍛えるか?
・なぜルーツを知るのか?
・AIの先に何があるか?

世界の舞台で活躍する一流の講師陣が中高生に「底力」をつける「大学訪問授業」の記録。世界水準の「学ぶべき本質」と「ルール」とは何だろうか。

感想・レビュー・書評

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  • 英語の勉強、どこからやる?どこまでやる?阿部公彦
    確かに、仕事や旅行の場面では、状況に応じて必要とされる単語がすぐに出てこないといけません。でもワーキングホリデーなのか、証券外車の社員なのか、野球選手になるのかで必要になる単語が全く違ってくる。すべての状況に対応するには、2万5程度は必要でしょう。ただ、それぞれの状況に対応するための初歩的単語はおよそ2、30語位ですから、1週間もあれば覚えられる。そこからスタートして、後は状況の中で身に付ける、とやり方が合理的だと思います。初めから特殊な状況の声ばかりを覚えるのではなく、最初はある程度ニュートラルな単語を勉強する。実用英語のみを追いかけようとするのは葉っぱばかりを見ることです。葉っぱばかりでは、個別の場面のことしか話せず、少し抽象的な話になるとついていけなくなる。英語を使って自分の人生に可能性を持たせるためには、未知の部分も学びながら、状況に応じた英語を習得することが大事です。
    学校で勉強する英語は生で言えば未来に当たります。未来がなければはわ生えて来ません。

  • 不思議の国フランス 野崎歓
    ティーンエイジャーの素晴らしさ
    子どもの気持ちを残していながら、大人の力も持ち始めているところ。子どもの気持ちとは、知らない世界に対して素直に心を開くこと。大人の力とはもう親にばかり頼っていないで、大事なことを自分で考え自分で決められるようになること。自分の好きなものに食らいついて自分信じて進んでいけばいいのです。その一念が皆さんを未来に引っ張り上げていくのです。
    フランスは「自由、平等、博愛さもなければ死」恋愛の自由が進んだあげく、結婚制度は多くの人にとってどうでもいいものになってしまった。今フランスでは、赤ちゃんの半分以上は結婚していない男女から生まれています。

    食事とは 土井善晴(父は土井勝)
    人を幸せにする力
    フランスのブリアサヴァランという人が、「あなたの食べているものを言ってみなさい、私はあなたがどんなひとかいいてましょう」という言葉を残している。まさにその通り。どんなものを食べてきたか、食べたものが自分のアイデンティティを作るんですから。
    自分で一汁一菜を作って自分で料理して自分を守る。ご飯炊いて味噌汁作るだけなら、小学3ねんせいでもできる。味噌汁は濃くても薄くても熱くても冷たくても全部美味しい。毎日食べても飽きない理由は、味噌は微生物という自然が作る発酵食品だから。微生物はアスペルギルス•オリゼという麹菌。麹菌は国菌と言って日本にしかない菌。私は日本の誰もがご飯を炊けて味噌汁が作れればいいなと思っています。一汁一菜を作れるようになれば、家庭でお父さんがつきってもいいし、お母さんが遅くなる日に子供だけで作って、帰ってきたお母さんに僕が作った味噌汁があるから飲んでと言えばいいんです。家庭料理がなければ自分でご飯を作って下さい。そこが自分の居場所になります。ご飯の作ってくれる人がいルールところや自分が作ってもいい場所か有れば子ども同士でもそこに安心ができる。日本だけでなく世界的に家族という単位は変わっていくのかもしれないが、ちゃんと心のこもったお料理のあるところに信頼できる家族が生まれるんです。一汁一菜なら、10人分でも20人分でま作れます。一汁一菜は、自分にとっての一生の武器になるから。 
    本当の対等は、同じだけの仕事をすることというのでなくて相手の立場を理解して自分にできることをするということ。対等でないというのは相手に甘えるということ。自分でできることをして、十分にできなければ、あとは「ごめんね」と言えること。急いでいてすぐ出かけなければならない時に「洗い物今日はできなくてごめんね」と声をかけること。できるときはちゃんとすることです。

    島田雅彦 歩行と時間
    ホモサピエンスが獲得した遊びとはふと路傍の花に目をとめてきれいだなとおもう好奇心のことです。彼女にプレゼントしてみようかななんて考える。ネアンデルタール人は同じ花に気がついても、あわ食えないと素通りしてしまった。この余裕、このあそびごころが大事なのです。今すぐに役立たなくても考えてみたことがあるということ、それを教養と呼びます。蓄積された教養はいつ役に立つ可能性があるのか。それは環境が変わったときです。お前変なこと知ってるなと言われたら褒められたと思うこと。役に立つことじゃなくて、どうでもいいことしか知りたくないね、それくらいの態度をぜひ取ってください。いざというときは来ないかもしれません。でも少なくともそんな教養を持った人は面白いヤツに見えます。面白い人は愛される。

    三輪眞弘 機械じかけの芸術?
    現代では芸術や文化は大事だと口では言いつつ、その実「何の役に立つか」という基準が支配的になってきています。…たとえば音楽はエンターテイメントと同じものなのでしょうか。演奏は観客を喜ばせるために行われているのではない。基本的に芸術は
    捧げるものであり、周りでそれをみている人はその場に立ち会っているという関係。

    波戸岡景太 伝えることの難しさ(と面白さ)
    センダック「怪獣たちのいるところ」について
    この絵本が伝えたいのは「人生は不安だらけ」ということじゃない。もっとシンプルに「人生に不安はつきものだ」と言っているだけだ。

    多和田葉子 いのちとニンゲン
    ドイツでは授業は学生が作るものだということは、わかっていたが、その日は苦手な作家の作品を扱うことになっていたので、きっと誰かが面白い意見を言ってくれるだろうと準備せずに出席。先生はいつも授業の最初に「誰がトップ走者?」と訊くだけです。すると誰かが口火を切り、それに賛成意見や反対意見が出て討論が自然に盛り上がっていきます。先生は無意味な方向に疾走したり袋小路に入ってしまったりすると助けてくれますが、それ以外は口を挟みません。この日は誰も発言しません。先生は動揺せずに「誰も言いたいことはないの?」と念を押して、優しい声で「それならここに座っていても意味がないのでみんな家に帰りましょう」と言ってさっさと教室を出て行ってしまいました。勉強は学ぶ側からしか始まらないのだということを実感させられた授業。

    穂村弘(歌人)ことばの不思議
    Q&A
    僕はメモ魔で、不思議なものや奇妙なものをみると全部メモするようにしています。たとえば、独り言を言っている人の言葉とか。
    つい最近、電車の中でうつむいてつぶやいている人がいました。隣に座って耳をそばだててみると「意外と寒さに強いんだな、意外と寒さに強いんだな」と言っていました。想像を超えている。このような領域は世の中に無数にあります。
    僕は「電車2分遅れています。お急ぎのところ申し訳ありません」というアナウンスを聞くと怖くなってしまいます。2分ぐらいの遅刻で謝らなくても大丈夫だよと。その代わり僕が何か失敗しても怒らないで欲しいと思います。電車が2分遅れたら怒られてしまう世界では僕は生きていけないと思っています。
    TVで、アルプスの少女ハイジの再放送。「次回のアルプスの少女ハイジは「哀しい知らせ」お楽しみにね」と予告。定型にたまたま、悲しい知らせという回が入っていて変なことになっていた。僕は良いものを見たと思った。ゆるさが保たれた世界があったから。

    阿部公彦(英文学者)英語の勉強、どこからやる?どこまでやる?

    英語の勉強ほうの正解はない。それぞれの必要性、希望、適正に合わせた勉強法を選ぶ。しかし、学校の勉強は建物で言うと土台。土台を作ったからと言って住めるわけではない。
    英語は一つの外国語。
    聞こえ方が違う。フランス後は、ドボドボと聞こえる。誌の作法が言語の持つ固有の呼吸運動感覚を反映している。英語と日本語は運動感覚が違う。アクセント。スペル3と意味3、アクセント4。インタレスティング。アンダレステインクでも、エンタレスティングでも通じる。
    音、単語、文法、文章のメリハリ。英語学習の四段階は書き言葉の発展の形態に似ている。まず、単語の意味があり、区切り方が決まってくると、強調したいポイントがわかってくる。人間の精神が洗練されていく過程で最も脳に負担がかかるのは、文章を区切って整理して、何が重要か見極めること。
    日本語は、まるで挨拶を入れながら喋っている。話し手と聞き手の関係を重視するから。
    英語は、センテンス全体を念頭に入れて話す必要がある。口頭で説得力を持って話せるかが重要で、そう言う話し言葉が、そのまま書き言葉になった。
    英語学習
    学問的な勉強はしてないがペラペラor単語文法から勉強
    状況に応じて必要とされる語が出て来るか、二、三十語位。全ての状況に対応は二万語。
    実用英語ばかりは幹がなく葉っぱばかり。英語を使って自分の人生に可能性を持たせるためには未知の部分も学びながら状況に応じた英語を習得することが大事です。

    島内裕子 いま、なぜ、古典を読むのか
    Q&A 思い出の授業
    更級日記 等身の薬師仏 作ったのは孝標女自身か、仏師か?と質問すると、先生はしばらく教科書を見つめて「そうですね。僕も決めかねますね」と静かにおっしゃった。私も兼ねがね、どうしたんだろうと謎だったので、やっぱり謎なんだと。

    大澤聡 本を読めと大人たちは言うけれど

    アナログとデジタルの得意苦手の違いを知る。
    デジタル 知りたいトピックを入れると情報が飛び出す。それをどう扱うかは、ユーザーに委ねられる。文脈、論理を、自分の乏しい空想や妄想で埋めてしまう。乏しい知識から湧き出た勝手な想像力は、他人への暴力へと転化する。
    本は、欲しい情報をすぐには出してくれないかもしれないが、1ページ目から最終ページまで、ラインがあり何かしらの論理で埋めている。
    「ネットは簡単、本は難しい」これは、パッと情報が出てくるかどうかの一点に引きずられている。実は、読者やユーザーに大きな能力。要求して来るのはネット。
    アルベールティポーテ 読者は2通り。ストーリーにとらわれて面白かった面白くなかったで終わってしまう「消費的読者」と語彙の選択や語り口全体の構造などそうした側面にも面向けられる人「精読者」。
    今のうちに精読的態度を鍛えてほしい。世界はストーリー同士によるバトルロワイヤルと化している。どのストーリーが人を惹きつけるかで物事が進んでいて真実が蚊帳の外。ストーリー合戦から降りる勇気を持ってほしい。ストーリー以外も見極めて精読者として世界と対峙する。哲学者の西田幾太郎も言っているようにちょっと難しい本を読むことをお薦めします。読んで全て理解できる本は成長をもたらさないし、ちんぷんかんぷんの本はまだ早いかも。
    課題を出すと、「ネットでめーちゃ調べたけど載ってませんでした」ネットは情報源の一部。全体だと思ってしまう。
    Q&A
    夏目漱石の主人公の画工は、おみくじを引くように適当にパッと開いたページを読む行為を楽しんでいる。ストーリー以外を楽しんでいるわけです。

    若松英輔 読むと書く
    私たちは答えを与えられるのに慣れています。しかし、私たちが生きていくとき本当に重要なのは「答え」ではなく、「応え」。answerではなく、response。
    これこそ人生の答えだという人がいたら、最大限の力で疑わなくてはなりません。書くことを勧めたいのは、人生の手応えを確かなものにしてくれるから。解答は出ない。ないこともある。
    頭のいい人は沢山います。秀でている人から学ぶのは簡単。自分より劣っている人から何を学べるかというスイッチを入れてみる。その人のいいところを見出すことにエネルギーを注ぐ。

  • こんな高校生活を送りたかった。
    文明はプレートテクトニクスと関係あるんだね。
    一汁三菜は西欧的なのね、一汁一菜でもいいのね。味噌汁で勝負しようよ。
    活版印刷すげー。知識の伝播を支えたのね。グーテンベルグ。西洋の活版印刷と東洋の活版印刷。紙は東洋のが良質だが、版をつくるときにはアルファベットのが圧倒的に有利。26字で言葉を作ればいいのだから。一方、東洋の漢字は一字一字型を作っていかねばならず、広がらなかった。

    以上、心に残った部分。

  • 東2法経図・6F開架:KW/2019//K

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