- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784865591293
作品紹介・あらすじ
時間と運命が複雑に交錯していく
ミステリアスなミュージック×タイムトラベル小説!
20世紀の音楽史への深い造詣をもとにしながら、
謎をはらんだタイムトラベル・ストーリーの中に、
架空の音楽やミュージシャンたちの日常をリアルに描きこんでいく。
SF? ファンタジー? 音楽小説? ジャンルを軽やかに超えながら、
静かな感動を呼ぶラストまで一気に読ませる上質のエンタテインメント!
──行方不明になった伯母の家で、カズは祖父の遺品達を発見する。
古いスライド映写機を点けると、カズは近未来の地下鉄車内に飛んでいた。
しかも、ヘッドフォンで音楽を聞いている女性の身体の中に。
目の前の光景は本当の未来なのか?
好奇心に駆られたカズはタイムスリップを繰り返していく。
伯母の教え子だったヴァイオリン奏者のリキは親友に励まされながら、
自分自身の音楽を生み出そうとしていた。
ドイツからやってきた伝説のロック・ミュージシャン、ジーモン、
彼の祖父が遺したナチス時代のリボン・マイク、
伯母が愛したベヒシュタインのピアノ、京都の老技師──
数十年の時を超える因縁が人々を結びつける。
そして、生れ落ちる一枚のアルバム…⋯。
感想・レビュー・書評
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音楽評論家のみならず音楽プロデューサー、レコーディング・エンジニアとしても活躍する高橋健太郎による初の小説。
しかもSF仕立てのタイムトラベルもの。
正直意外な展開だったけれど、読んでみると著者のこれまでの活動やTwitterでつぶやかれる原発などの社会問題へのスタンスなどから垣間見れる世の中へのスタンスが出た物語になっていると感じた。
物語の鍵となっているのはドイツからやってきた伝説のロック・ミュージシャンだったり、ヴィンテージのマイクだったりするあたりが正に高橋健太郎という感じだし、タイムスリップというSFの中では古典的な設定もこの物語の中ではダブのような感触を覚える(まぁ、これは穿ちすぎだとは思うけれど)。
贅沢を言えば見ず知らずの新人作品として先入観なしに『ヘッドフォンガール』を読んだら「この著者は何者なんだ!?」という驚きと興奮を覚えられただろうなぁとは思う。更にそれこそTwitterとかで正体暴きが盛り上がったりして。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本当に叙情的な作品として完結する。