- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784865591460
作品紹介・あらすじ
昨年7月、自選評論集『されどスウィング』刊行と同時に惜しくも世を去った音楽評論の大家・相倉久人の没後初となる著作。
卓抜なジャズ評論で時代を画した著者が自在に語りおろした日本ポップス文化論!
エノケン、美空ひばり、服部良一、坂本九、クレージーキャッツ、軍歌、百恵・聖子・明菜・奈保子、ユーミン、大瀧詠一、シャ乱Q──戦前・戦中のヒット曲・軍歌から、戦後のアイドル、ニューミュージックまで、流行歌を通して昭和を見る!
本書は2012〜14年に行った連続対談を再構成・書籍化したものです。
感想・レビュー・書評
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<blockquote><b>相倉</b> ポップスというのは完全に20世紀の発想で、ポップスはジャンルじゃないんですよ。(P.24)</blockquote>
<blockquote><b>松村</b> 日本の民謡を素材にすれば日本のジャズになるのかというと、そんな単純な問題じゃないですよね。
1980年代に出てきたニューミュージックをそれ以前の歌謡曲とは違う洋楽ぽいものとして捉えてきたけれども、ある中国人ミュージシャンに凄く日本的に聞こえると言われて驚いたという。
「日本のジャズをあえて作る必要はない」と相倉は述べる。
→文化というものは国柄がにじみ出るものなのであろう。風土や言語といった特製がメロディの趣味やハーモニーの志向、リズムの組み立て方などに滲み出てくるのだと思う。
<b>相倉</b>
いつも強調しているんですけど、音楽ってとくにそうで、じつは体質的ににじみ出す色のほうが大切なんです。メロディの作り方やリズムみたいな、そういうものだけで出そうとしても無理なんです。これは、身にしみて知っている人がいっぱいいる。(P.50)</blockquote>
歌が巧いかということに関して、昔は基準がちゃんとあった。不特定多数の人が何となく共有していた。美空ひばりが出てきたときに「グロテスクだ」と評されたのは有名な話だが、それはそういった基準から外れて子どもらしからぬ歌の巧さだったからにほかならない。
→ 何か基準があるという意味ではいまでも変わらないとは思うのだけれど、その基準がより杓子定規な数値化されたモノになっているように思う。
点数が出るカラオケがあるが、当初はそういった共有化されていた感覚に数値を近づけていったのだろうが、カラオケが音楽への接し方の主流になるにつけ、感覚を数字の方に近づけていったように思える。
メロディのピッチの正確さ。テンポの正確さ。声量の有無。
ビブラートしたメロディはNG。走ったりズラしたリズムもNG。声はハツラツとしていればよい。このような一面的な感覚になっているように感じる。詳細をみるコメント0件をすべて表示