- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784865720082
作品紹介・あらすじ
どこも報じない看板キャスター降板の裏側。
感想・レビュー・書評
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2016年6月2日、優れた放送番組に送られる第53回ギャラクシー賞の
発表が行われた。
大賞は古館伊知郎がキャスター時代の「報道ステーション」の2回の
放送。そして、特別賞はNHK「クローズアップ現代」で23年間キャスター
を務めた国谷裕子氏だった。
このふたりに加え、TBS「NEWS23」のキャスター岸井成格氏の3人は
2016年3月をもってそれぞれに番組を降板している。揃いも揃って
安倍政権から放送内容を問題視された番組だけあって、キャスター
3人の同時降板は一部で問題視された。
本当のところは分からない。それぞれの契約期間もあったのだろうし、
年度の切り替え時期は番組改変時期でもあるのだから。
それでもメディアは委縮しているのではないかと思うことがままある。
権力に対して「おかしい」と思ったことを「おかしい」と言えないように
なっていやしないか。
テレビの報道番組も、全国紙も安倍政権に対して及び腰になってる。
元気なのは「週刊文春」や夕刊紙だけなのではないかと感じることが
多いのだもの。
「政府が右と言うものを左とは言えない」という会長が君臨するNHKが
昨今のメディアの弱体化を体現していると思う。メディアに係わる人間
全てがそうだと言うのではない。
権力が何をしようとしているのかを見極めようとしている記者たちも
いるのだろう。しかし、本書の匿名座談会(昔の「噂の真相」みたい)
で知ったのだが政治家と食事をしたことをステータスだと思っている
記者がいるんだとか。あちゃぁ、こりゃ政治家の質の低下も問題では
あるけれど、記者の質の低下も問題だわ。
本書の内容はタイトル通り。安倍政権によるメディアの締め付けだ。
権力って批判されるのは当たり前なんだけれど、安倍政権というか
安倍晋三は批判されるのが本当に嫌なんだね。
先日も党首討論をテレビでみていたのだけれど、安倍晋三ひとりが
ぎゃあぎゃあ騒いでいてみっともなかった。というか、この人、側近が
書いた原稿がなかったらまともに議論することもできないのではない
かと感じたわ。
本書でも海外メディアの記者が指摘しているのだが、批判を受け止め、
それにまともに答えることが出来ないから外国特派員協会での会見
をしないんだろうな。
尚、本書では最終章に当たる池上彰と佐高信の対談が秀逸。評論家
として語る佐高氏とあくまでも解説者であるとのスタンスを崩さない
池上氏の間に見解の相違はあるものの、メディアや報道の在り様を
今一度考える参考になる。
私は国谷氏の「クローズアップ現代」は必ず見る数少ないテレビ番組
だったんだ。国谷氏の降板は残念だった。
おまけ。「NEWS23」のキャスターだった岸井氏に対して「産経新聞」
と「読売新聞」に一面意見広告を出した「放送法遵守を求める視聴
者の会」なる団体は、例の日本会議の別動隊である。
本当に息苦しいわ、最近のこの国。