- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784865810912
作品紹介・あらすじ
著者は、2010年から人工知能を追ってきた新聞記者。コンピューターとプロ棋士との対決を追ったルポが共著としてあるが、単著としては処女作になる。
「カンブリア」は、地球上の生物が爆発するかのうように一気に増えた「カンブリア紀」のこと。また「機械」は、人工知能を搭載したロボットをはじめとする「非人間」のすべてを指す。100年後、200年後、現代は「機械カンブリア」と呼ばれているかもしれないと人工知能の研究者が言ったという。そこから引いたタイトル。
人間の生活環境や労働環境、幸福観をがらりと変えるとされている人工知能。ロボットやインターネット、ビッグデータなど、関連分野の研究現場(企業・大学)を数多く取材し、その現在を一般にわかりやすくまとめた書き下ろし。人工知能がもたらすのはディストピアかユートピアか。技術・研究解説にとどまらず、研究者の迷いや、人間社会の未来像にまで言及した力作。
感想・レビュー・書評
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「人工知能」という言葉が先走り過ぎなのではないかという指摘に同感。「シンギュラリティ=2045年」というセットもちょっと急激な勢いで立て上がっているためか、もう少し早い段階から少しずつAIは徐々に(気づかないうちに)人間の活動に入り込んでくるということは意外と気づきにくい。カーリングの原理が未解明な点が多いとは知らなかった。AIの発展とBI(ベーシック・インカム)が繋がっているとはちょっと「不意打ち」感。
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まだ人間のような汎用人工知能(AGI)は実現していない。Webにある翻訳システムも現在、言葉の厳密な意味や文法を解析しているのではなく、統計的に確からしさを元にした、ある程度正しいだろう答えを出す仕組みになっている。つまり確率的に正しそうだと考えらっれる訳を出している。SNSの書き込みをもとにした選挙結果予測も、こうした肯定、否定を読み取り、統計分析する技術で成り立っている。
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ちょっと冗長。しかも、ほかの人工知能本と比べて、特に目新しさがない。にもかかわらず詳細でテクニカルなことを専門知識をふんだんに使って小難しく説明しているので、人工知能の予備知識がまったくない人の入門書にもなりにくい。いったい誰が、どのような目的で読むことを想定しているのかがよくわからない。結局、著者はあくまでも新聞社出身の記者などで、いろいろな専門家から聞いた話をまとめるにとどまっていて、なにかハッとする提案がないのが書籍としては致命的な部分になっているように感じた。
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AI(一部ブロックチェーン)について、最近の出来事から今後の方向性について、表面的な物事ではなく、なるべく本質をとらえながら述べられている本でした。
その意味で「(人間を模倣するロボットを作るために人間を理解するためには、)哲学の問題にまで踏み込まざるを得ない」という箇所にはすごく共感します。ここまで書いてあるのは好印象でした。