人類学者と言語学者が森に入って考えたこと

  • 教育評論社
3.73
  • (5)
  • (3)
  • (5)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 183
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784866240848

作品紹介・あらすじ

東南アジアの狩猟採集民(森の民)を研究している人類学者と言語学者。森の民とともに暮らして得た知見を語り尽くす。性別役割分業や、「持たない」ことが基本原理であることなど、閉塞した日本社会を打破するヒントがここに。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 未開の文明を通じで、人間とは何かを探究する二人による共著。
    原始的な生活をしている人を下にみるのではなく、人間と自然や社会の関わりが文明化する過程でどんなにかわってきたのかそれが人間の意識にどのような影響を与えたのかを探る本。むかしの人類学ではきいたこと見たことを記述する学問が主流であったがこの本ではその先の人間の深淵を覗こうとしていることがわかる。スーパー奢られいヤーの話がでてきたり、ただで米をもらうムラブリの話もあり、持ち物をもたない社会の価値観がよくわかる。
    この二人の別の本も読みたくなった。

  • 自分の中で言語化されていなかったモヤがいくつか書かれていて、少しだけ落ち着いた。

  • 同調してほしい人と会話をしていてよく変な空気になるのはパースペクティヴってしまう癖があるからやなと自覚しました。

  • 誤植が複数箇所あり、とてもテンションが下がる。きちんと校閲されていないのかな、適当に作られた書物なのかなとがっかり。

    内容も、対談なのでそこまで深くはない。
    「文化人類学者がフィールドで出会った所謂『未開の民』から現代日本人は何を学べるか」という問い自体はあらゆる文化人類学本で使い古されたテーマがあり、本書は「ofの人類学からwithの人類学へ」を提唱しているが取り立てて新しい視点だとは感じられなかった。

    ただ、「あわい」で生きる=森の民といる時の自分と日本社会で生きる自分を明確に区別せず、自分の多層性だというふうに捉える
    というのは共感する。
    私も中国にいる時と日本にいる時では振る舞い方が多分結構違うと思うけどどちらも自分自身だとおもっている。
    ていうか、文化人類学者もみんなそう思ってるんじゃないのか?

    あとは、奥野さんの「他者のパースペクティブから世界を見る」の論考は面白かった。
    パースペクティビズムは本来捕食者と被捕食者の「眼」の奪い合いであり、生態的課題を達成するための実用的パースペクティビズムであるという指摘は大変興味深い。
    「他者の視点に立ってものを考えよう」などと言うとこれまた説教くさくなるが、「それは生き残るための生態的戦略だった」と言われるととてもしっくりくるし生き物にとって重要な考え方なんだな!と素直に思える。

  • 『ありがとうもごめんなさいもいらない
    森の民と暮らして人類学者が考えたこと』
    の 奥野克巳さん と
    『ムラブリ 文字も暦も持たない狩猟採集民から
    言語学者が教わったこと』
    の伊藤雄馬さん との 対談集

    このお二人の ぶっつけ対談が
    面白くないわけがない

    わたしたちが 暮らしている
    この世界だけが スタンダードではない
    ことを 気持ちよく 思い知らされる

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

立教大学異文化コミュニケーション学部教授。
著作に『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』(2018年、亜紀書房)、『これからの時代を生き抜くための文化人類学入門』(2022年、辰巳出版)、『人類学者K』(2022年、亜紀書房)など多数。
共訳書に、エドゥアルド・コーン著『森は考える──人間的なるものを超えた人類学』(2016年、亜紀書房)、レーン・ウィラースレフ著『ソウル・ハンターズ──シベリア・ユカギールのアニミズムの人類学』(2018年、亜紀書房)、『人類学とは何か』(2020年、亜紀書房)。

「2023年 『応答、しつづけよ。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

奥野克巳の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ティム・インゴル...
高野 秀行
ティム・インゴル...
松村 圭一郎
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×