366日 文学の名言 (366日の教養シリーズ)

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  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784866732916

作品紹介・あらすじ

言葉にでいないことがあるのを承知のうえで、それでもなんとか言葉で表現しようとすることこそ、文学の本質であり、作家の挑戦でしょう。(本書「はじめに」より)

1月1日から12月31日まで1日ひとつ、古今東西、小説からエッセイ、戯曲、さらには俳句や短歌まで、さまざまな文学作品の中から名言を取り上げて紹介します。
「366日 映画の名言」「366日 アスリートの名言」に続き名言シリーズ第3弾。

感想・レビュー・書評

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  • 「文学作品の中の名言」を集めた本。
    文学とは、自分のなかで思ったり感じたりしていることはあるのだけれど、なんだかもやもやしてうまく言葉にできない、その「言葉にできないもやもや」を、なんとか言葉にしようとするものだと、著者のひとり、頭木弘樹さんは「はじめに」で書いている。

    読書が好きになるきっかけは人それぞれなんだろうけれど、読書をやめられない理由のひとつは、文学で描かれている「言葉にできない思い」と、自分のなかの「言葉にできない思い」がシンクロしたときの、「ああっ、そう、わたしはこれが言いたかったのだ」との感動を知ってしまったということがあるのではないかな。

    この本には、そういう感動を体験できるかもしれない言葉が集められている。
    そしてこの本の特徴は普通の名言集とは違い、明るい言葉よりも暗い言葉のほうが多く紹介されているかもしれないということ。

    言葉の選出をされたのは、品川亮さんと頭木弘樹さん。お二方が半分ずつ言葉を選んでいる。
    とくに文学紹介者の頭木弘樹さんは、『ひきこもり図書館』や『絶望名人カフカの名言』、『食べることと出すこと』などの著書を、ブク友さんのレビューで度々見かけていたので気になっている方だ。
    その頭木さんが、暗い言葉のほうが多いそのわけを書いている。
    『「けっして言葉にできない思い」というのは、それが暗い思いであるときのほうが、言葉にできないことがよりつらいからです。
    嬉しくて仕方ない気持ちをうまく言葉にできなくても、それほどつらくはないでしょう。しかし、落ち込んで死にたくなるようや気持ちを、うまく言葉にできないときは、とてもつらいです。
    そして、その気持ちを誰にもわかってもらえないことで、孤独になってしまいます。』
    その気持ちが文学で描かれていたとき、すごく救われたと。

    文学を読んだからといって、目の前の現実問題がすっかり解決するとはならないだろう。でも文学は、色のないアスファルトの地面をじっと見つめていた視線を、ほんのちょっぴり上げるきっかけにはなるかもしれないと、わたしは思う。少し上げた視線の先に見つけた、道端の名も知らない小さな青い花を可愛いと思える心の余裕が微かに生まれる。そんな「きっかけ」に文学はなるんじゃないかなと思ってる。

    名言集でありながら、この本はブックガイドとして読んでもとても楽しい。
    紹介されている本のうち読了本はたったの数冊だったのだけれど、その数冊のうちに大好きな『てんとろり笹井宏之第二歌集』、『えーえんとくちから』、『海潮音』、『冬の本』が入ってるのだから、わたしとは相性のいいブックガイドだとうれしかった。
    この『366日 文学の名言』から『生きるかなしみ』と『高橋元吉詩集』を知り、両作品とも大切な本となったこともあって、今年はこのブックガイドを中心に本を読んでいくつもりだ。これから出会うたくさんの本に、ものすごくワクワクしている。
    また読みたい本、読了本をチェックしてみたら、わたしは頭木さんセレクトのものが多かったので、頭木さんとの相性がいいのかもしれない。別の著書で紹介されている文学も読んでみようと思ってる。

    • hiromida2さん
      地球っこさん、こんばんは。

      いつも、心にハッとはまる素敵なデビュー
      ありがとうございます。
      本作のレビューも然り…
      あまりに、本当にそう!...
      地球っこさん、こんばんは。

      いつも、心にハッとはまる素敵なデビュー
      ありがとうございます。
      本作のレビューも然り…
      あまりに、本当にそう!と地球っこさんのレビューの言葉が、自分の思ってる思いにシンクロしたような気持ちになりました。

      「読書が好きになるきっかけは人それぞれなんだろうけれど、読書をやめられない理由のひとつは、文学で描かれている「言葉に出来ない思い」と自分のなかの「言葉に出来ない思い」がシンクロしたときの、「ああっ、そう、わたしはこれが言いたかったんだ」との感動…まさに、地球っこさんのレビューが
      それに当たる気がしました。

      本の言葉は自分の思いを代弁してくれるだけじゃなく、誰にも言えない、分かってもらえない気持ちを知ってくれてるって感じた時、とても救われた気持ちになれる。
      少し、希望の光を見つけたような気分になる

      地球っこさんの描かれた
      色のないアスファルトの地面から、ふと、
      少し上げた視線の先に道端の名も知らない小さな青い花が見えた気がしました、、
      素敵な情景に心あたたかくなりました。
      2022/01/09
    • 地球っこさん
      hiromida2さん、こんばんは。

      うわぁ、素敵なコメントありがとうございます。とてもうれしいです♡

      本のなかにわたしが存在すること。...
      hiromida2さん、こんばんは。

      うわぁ、素敵なコメントありがとうございます。とてもうれしいです♡

      本のなかにわたしが存在すること。そのことにも救われる気持ちになれるんだろうなぁと思ってます。
      今年はまだ始まったばかりですが、とても素敵な本との出会いに恵まれてます。
      これからどんな本に出会えるか、とても楽しみな一年になりそうです。

      今まであまり映画には感心がなかったのですが、hiromida2さんやブク友さんの映画レビュー読んで、今年は映画も観ていきたいなぁと思ってます。
      hiromida2さんの年末に書かれた、「王の願い」のレビューは朝鮮王朝好きのわたしにとっては、とても興味津々なものでした。
      ぜひとも観てみたいです。
      チョンミソンさんは、大好きな時代劇ドラマ「太陽を抱く月」や「雲が描いた月明り」で、好きな登場人物を演じておられたので、とても悲しいです。大好きな魅力的な女優さんでした……。

      ではでは。
      今年もどうぞよろしくお願いいたします。
      2022/01/10
    • hiromida2さん
      地球っこさん、こんにちは♪

      ありがとうございます(о´∀`о)
      今年も沢山の素敵な本に出会えるといいですね。 私の場合、映画の世界も…(笑...
      地球っこさん、こんにちは♪

      ありがとうございます(о´∀`о)
      今年も沢山の素敵な本に出会えるといいですね。 私の場合、映画の世界も…(笑)
      地球っこさんの幅広い素敵なレビューも
           楽しみな一年になりそうです。
      地球っこさんの「高橋元吉詩集」のレビューも
      心にグッときました。

      また、史実に基づいた朝鮮王朝の作品は同じようなものでも、色んな視点から捉えられていて、とても面白いです。

      こちらこそ、今年もよろしくお願いします。
      2022/01/10
  • 小説の中の言葉には、様々な名言が偲ばせてある。著者が言いたいことを、登場人物に語らせていると考えれば、これは著者の名言とも言える。
    この本の読んだ印象として、4割ぐらいは今の自分に関係ない言葉であるが、その他の言葉には、色々考えさせられることが多かった。
    たまにはこういう本を読んで自分の人生 や考え方を見直すこともいいと思う。

  • 読んでいると筆者らの好みがなんとなく分かる。

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著者プロフィール

頭木 弘樹(かしらぎ・ひろき):文学紹介者。筑波大学卒。大学三年の二十歳のときに難病になり、十三年間の闘病生活を送る。そのときにカフカの言葉が救いとなった経験から、2011年『絶望名人カフカの人生論』(飛鳥新社/新潮文庫)を編訳、10万部以上のヒットとなる。さらに『絶望名人カフカ×希望名人ゲーテ 文豪の名言対決』(草思社文庫)、『ミステリー・カット版 カラマーゾフの兄弟』(春秋社)を編訳。著書に『食べることと出すこと』(医学書院)、『落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ』(ちくま文庫)、『絶望読書』(河出文庫)、『カフカはなぜ自殺しなかったのか?』(春秋社)、『自分疲れ』(創元社)。ラジオ番組の書籍化に『NHKラジオ深夜便 絶望名言』(飛鳥新社)。名言集に『366日 文学の名言』(共著、三才ブックス)。編者を務めたアンソロジーに『絶望図書館』『トラウマ文学館』(共にちくま文庫)、『絶望書店 夢をあきらめた9人が出会った物語』(河出書房新社)、『ひきこもり図書館』(毎日新聞出版)がある。NHK「ラジオ深夜便」の『絶望名言』のコーナーに出演中。日本文藝家協会、日本うんこ文化学会会員。

「2023年 『うんこ文学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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