- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784866809120
作品紹介・あらすじ
大好評!日記シリーズ番外編!!
翻訳家を夢見る青年が、必死に出版翻訳家の夢を掴み取り、そして一躍 “超売れっ子” になり、しかし業界に失望し、トラウマを抱え、足を洗うまでの軌跡。
感想・レビュー・書評
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出版業界ってこんなにひどいの(涙)
翻訳家って国語力や語学力はもちろん文章力や読解力、不断の努力が必要な繊細で大変尊敬に値する仕事だと思っていたけど、出版社と対峙するとこんな風に扱われてしまうのか。
トラブルの話は、あまりにぞんざいに扱われているので怒りを覚えたし、読むのが辛くなった。
まぁ出版社は売れるかどうかを何より重視するだろうし、翻訳本に対する意識が翻訳家とは違うのだろうね。
とはいえ、洋書も洋画も楽しめるのは翻訳家さんたちのおかげ。
著名かどうかなどはおいておいて、翻訳家さんを大事に扱ってほしい。
それと出版業界に限らず、報酬や契約内容については書面にするのが当たり前にならないといけないね。
翻訳家のような弱い立場に置かれる個人事業主が、法人相手に臆することなく自分の権利を主張できるようにならないと、いつまでたっても泣き寝入りする人が出ることになる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
出版翻訳者の著者が、出版業界でいろいろトラブルに巻き込まれて廃業するまでの話。面白いけど、ちょっと怒り過ぎな感じもした。
僕も出版でいろいろ仕事をしているけど、こういうひどい経験はないな。人に恵まれてきたのもあるだろうし、あまりぴんとこない話は最初から相手しないからかもしれない。
出版業界というのは契約書をちゃんと作らないことが多くて、この人の怒りはちゃんと契約書があれば解消されるのが多いな、と思った。
契約書を作らないことにはいい面も悪い面もあると思っている。僕はわりと、きちんと契約する関係ではなく、人と人との曖昧なやりとりで本ができていくゆるい感じが好きで合っているのだけど(作家か編集者か出版社のどれかのやる気がなくなったらぼんやりと企画が消えたりする、とか)、この著者みたいにきっちりした人には全く合っていなかったのだろう。
たまに出版業界ではないウェブ業界と仕事をすると、契約書をきちんと書かされて驚くことも多い。出版業界の曖昧な仕事のやり方も、前時代的なものとしてそのうち駆逐されていくのだろうか。 -
出版翻訳家という仕事はとても大変なのですね。
外国の著書を簡単に読めるのは
こういう方々のお陰なのですよね。
それにしても 代金払えばいいでしょうというような
出版社の態度もひどいですね。
私も似たような経験があるので とても共感を感じて読みました。
口約束が 簡単に破られてしまう。
でもつい日本人は 口約束を信じてしまいますよね。
欧米のように書類・契約の長い歴史がないからなのかもしれません。
多くの翻訳家の苦労がきちんと実るような
業界になって欲しいですね。
出版不況と言われていますが
私も紙媒体の方が読んでいて きちんと頭に入ってくるので続いて欲しいですが 大量に在庫を残してしまうとかのリスクを考えると
これからは デジタル本が主流になるのですね。
まだしばらくは
AIの翻訳はいまいちだったりするので
人の翻訳は必要ですよね。
翻訳家さんたち 頑張って下さい。 -
ベストセラーになったときはこっちまで嬉しかったけど、著者と出版社のトラブルなどをみてるとめっちゃ可哀想になった。自分が翻訳家であったことに対して「ちょっとやそっとでは他人が真似できないことをやったという自負がある。後悔などあろうはずがない」と思っているのに、もう100%約束を守ってもらえるような誠実な出版社があらわれない限りは翻訳を引き受けることはないと…どれほどまでに出版社に痛めつけられたのかと。出版社のイメージが変わりました。
あと宮崎さんが訳したのに、ある外国人著者が自分の見栄のために自分自身だけで書き上げた本として出版したのはいったい誰の何という本だったのかがめちゃくちゃ気になる! -
身内に翻訳(翻訳校正)者がいることもあり、興味を持って読み始めましたが、出版業界の「闇」を覗くことになり、ざわざわした読後感に襲われました。
昨今の「出版不況」のあおりを受け、「翻訳したのに出版が取りやめとなって印税が入ってこなくなった」「編集者・出版社の不誠実な対応で苦しんだ」というエピソードを読み、驚くと同時に筆者のある意味「頑固」ともいえる強硬な反応にも少し辟易とさせられる、というのが正直なところです。
これまでのシリーズと異なり「なるんじゃなかった日記」と、自身の職業を否定するような(あるいはそのネガティブな面を描く)文章も少なくなく、当時の筆者の苦痛を追体験することになりました。
図書館という、本を扱う仕事をしているものとしては、良質な翻訳書が多く出版されることを願ってやみませんが、同時に「陰の功労者」ともいうべき翻訳者の方々が気持ちよく仕事のできる環境を整えることも不可欠なのだと思います。
図書館という「買わずに本を読む」ことができる場所で働く身でこういうことを言うのはいささかはばかられますが、やはり出版業界を支えるためにも「本を買う」という形で著者・翻訳者へのエールを送るようにしたい、と思います。 -
わたしも苦い水を飲まされました!
なにぶんにも、文がウマい!、というより編集の圧力がかかっていないぶん、自由に自分の文体を駆使できている。
このシリーズは、これまで5冊出ており、そのなかでも、ほぼ例外的な扱いの本だ。というのも、題名をみてもわかるとおり、「日記」というククリはあっても、これまでのようにオロオロだの、ヨレヨレだのといったオノマトぺは用いていない。
そこが、編集者の意図だったとしたら、これまでのはおしなべて平板な文体、というより、凝りのない文体(リーダビリティ)を志向していたのに対し、今回のは遥かに作者の自由意志に任せた文体となっている。
その意味で、これまでの作者は非常に窮屈な思いで、半ば編集者の規制との軋轢を感じながら書いたものと思われる。
それに引き換え、この『〇〇になるんじゃなかった』コンセプトの日記は別のシリーズとなるべく設えられた痕跡がありありとしている。喚くはホタエるは、ダジャレはかますはで、そのノリに思わず、頬が緩むし、クスクス笑いも出てしまう。
笑い上戸のひとは電車の中では読まない方がいいだろう。それほどに面白い。面白いが、腹が立つ。この腹立ち感は『交通誘導員ヨレヨレ日記』にもあったし、『メーター検針員テゲテゲ日記』にもあった。そして『マンション管理員オロオロ日記』にも歴然として顕著であった、あの独特の苛々(ムカツキ?)感だ。
評者も現役の頃、出版社とやりとりをしていたことがあって、この作者ほどではないが、何度か同様な悲惨なメに遭ったことがある。
天下のニューウェイブ社などでは、ああでもないこうでもない、と一年近くも引きずり回され、挙句の果ては400ページ以上にも及ぶ書下ろし原稿をパァにされたのだ。
まさにこの作者だったら、「にゃに~」を通り越して「にゃにおー」と言いたいくらいだった。しかも、この著者の場合もそうだったように、何度も急かされて書き直させられた挙句、念校である4校にまで到達していたのに、である。
ことほど左様に立派な大出版社であっても、そういうことは平然と行われているのである。
なにやら、評者のグチの場のようになってしまったが、出版業界に興味のあるひと、もしくは物書きになろうとしているひとは、必ず一読しておくべき一冊だと思う。
評者もそうだったが、やはりまずは契約をしっかり行ってから、仕事に着手する。これが一番なのだ。いい調子で安請け合いすると、あとで泣きを見るのは作者のほうなのだから。 -
「本を読んだら散歩に行こう」村井 理子著のお勧め本、その1。
実話日記シリーズ、最近よく見かけるけど、この本が初読み。
翻訳というスキルがあるのに、今の業界という背景もありなんとも気の毒。
仕事柄、WEBの技術系を追求していくと、結局英語にたどり着く。翻訳ソフトをもってしても、やはり深くは理解できない・・・このジレンマ。
うーん、なんとも複雑な世の中だ。 -
わかってはいたけど、本を出すってほんとに大変…。
読み初めは原稿料がもらえればいいような気がしてたけど、書いた本が出版されないのは自分を全部否定されたような、ものすごくしんどいことなのが、だんだんわかってきた。
書店の人間として、こうやっていろんな人が関わってようやく出版された本をがんばって売りたいという気持ちはすごくあるけど、実際、なんでこんな本出した??っていう本もある…でも敬意をもって売っていこう!